凌辱エロゲーの世界に転生した転生者達が徒党を組んだ話
別作品の主人公と同じ名前ですが...同じ名前の別人です。別サイトに投稿した作品の架空原作版です。作中に登場する架空原作に元ネタはありますが、キャラクターの名前はオリジナルです。某団体の行動を参考にしましたが、揶揄する主旨も肯定する旨もありません。
凌辱エロゲーの世界の転生者達が徒党を組んだ話
「鬼神教?それは何だい?」
此処は県立楠ヶ原高校の学生食堂。今は昼休み中であり、食堂の中では多数の生徒や教職員が食事を摂っている。この学園の高等部に通っている男子高校生『花井一郎』はかけそばを啜りながら友人の男子高校生『下野佐』と話をしており、善逸の口から『鬼神教』という名前を聞いていた。聞き覚えの無い単語に花井は疑問を顔に貼り付けている。花井は真面目な性格の好青年であり、対する下野は少し臆病であるが優しい性格の少年である。
「まぁ...花井には縁が無いか...」
「どういう意味だ?」
「お前はSNSとかあまりしないだろ?」
「?まぁ、偶にGo●gleで調べ物をする位だな...」
下野は少し苦笑しながら言葉を続ける。
「“鬼神教”ってのはなぁ...性質の悪いネット民の集団だよ」
「?性質の悪い...?」
「お前もさぁ...前科者の個人情報を晒したりしている奴等がいるのは知っているだろ?」
「あぁ!そういう奴等なのか...」
「そんな中でも特に過激派って感じの奴等でさぁ~...自分達が“悪人”って見做した連中にスゲー迫害をしているんだよ」
「知っているのか?」
「あぁ、同じ市内の赤松本町に玄間興産という大企業があるだろ?何でも......元華族の名門で今の社長が数々の事業を成功させて大きくさせたってネットに書いてあったな......其処の社長と側近と数名の社員がターゲットにされて会社自体が凄い嫌がらせをされているのを見た事があるよ」
赤松本町とは彼らが住んでいる楠ヶ原市の主要駅の近辺で市内で最も栄えている地区である。地元の大企業である玄間興産の城下町として市民から認知されている。下野はSNSの動画だけでなく、用事で其処へ行った時に実際に見た事を友人に伝える。それを聞いた花井は苦虫を嚙み潰した様な顔をしている。下野は脳裏には敷地内に汚物が投げ込まれ、会社の壁や門に至るまで社長を始めとした社員達に対する罵詈雑言が書かれた本社ビルやSNSにアップされた“犯罪者予備軍に危険物は必要無い”という理由で破壊された社用車の写真が浮かんでいた。他にもGo●gleマップに“鬼の棲家”や“社会のゴミ捨て場”という施設名に変更されているのやレビューには以下の事柄が書き込まれていた。
『此処の社長は人格破綻者のクズ野郎』
『クズが感染するから止めた方がいい』
『社員もクズ』
『人の皮を被った鬼...否...それ以下の人間』
『金で解決出来る事なら犯罪でも平気で行う外道』
『遊び感覚で他人の人生を踏み躙る犯罪集団』
『人間のクズ』
『外見に自信のある女性は入社しない方がいい』
『雰囲気ブサメン』
『会社近くに住んでいる年頃の女の子......特に美少女は男性社員に近付けさせてはいけない』
『そうそう♪レイ●されちゃうよ♪困っても社長が揉み消してくれるからね♪』
『貧乏人には何をしても良いのが社訓♪...な糞会社!』
『生きる価値の無い人間』
『存在してはいけない命』
『俺達がこの地上から消してやる』
それらは読んでいるだけで書き込んだ人間達の怒りと憎しみが溢れているのが伝わって来ており、自分にも感情が感染しそうになっているのを感じて慌てて閉じたのだった。彼らは自分達の事を『鬼神教』と名乗り、彼らの教義は「この世には心有る人を鬼へと堕とす“人の皮を被った鬼”がおり、自分達はそんな奴から心有る人を護る事が役目である」らしい。
「俺もあそこの会社の社長って直接は知らないけどさぁ......どうやったら、あそこまで憎まれるんだ?」
「そっ...そうなのか!」
「こんな事を言ったら...お前に軽蔑されるかも知れないけど、火の無い場所に煙は立たないって言うし...近付かない方が無難だよな」
「別に軽蔑なんてしないよ......俺だって其処までお人好しじゃない」
後輩達がそんな話をしている近くで上級生である男子高校生『矢嶋啓治』が好物の特盛カレーライスを食べながら聞いていた。彼は楠ヶ原高校空手部のエースであり、県大会で優勝した実績もある県下有数の空手選手である。身長180cm超の背丈と体重90㎏超の体躯をした偉丈夫である。彼は自分のペースで食事がしたかったので1人で食事をしている。2人の会話を聞いた矢嶋はある事を思い出しながら小さな声で呟いていた。
「やっぱり...此処は『ツグナエ』の世界だったんだな」
実は矢嶋には前世の記憶がある。記憶があると言っても自分の中に人間一人分の記録があるという感じで自意識は彼自身の物であり、前世の自分の経験や彼が楽しんでいた娯楽の経験をTVを観ている様に思い出す事が出来る位である。彼は二人の会話に出ていた『玄間興産』という会社とその会社の社長『玄間才人』という人物をTVやネットで見た時、“見覚えがある顔だな”という感想を抱くと同時に矢嶋の中の前世の自分が騒いでいるのを感じたのである。それで調べて見たらある事に気付いたのである。
「此処は...『ツグナエ』の世界に似ているな...おっさんの世界にあった凌辱鬱エロゲーの...」
それは早くに両親を亡くし、可愛い妹と支えって一生懸命に生きていた男性教師の主人公が『玄間興産』に拉致され、薬漬けにされながら輪姦された末に植物状態へとなった妹の復讐をする為、社長『玄間才人』の娘『玄間棗』や才人の片腕で実行犯『高本栄二』の娘『高本水樹』を凌辱するというストーリーの18禁PCゲームである。おっさんはこういう作品が嫌いでノベル版とネットで得た知識しか無かったが、主人公の末路は悲惨でしか無かった。玄間の娘である棗も真面目で正義感の強い性格かも知れないが、加害者家族という立場を弁えていない言動が多く、それが鼻に付く人間であった(おっさん目線で)。
「......俺と同じ転生者かな?それとも......イレギュラーって奴か?ゲーム本編には登場しなかった...被害者の会みてぇな」
正直...実際の玄間興産の人間との関わりは無かったが、己の楽しみの為に何の罪も無い兄妹を踏み躙る様な人間なんて世の中から消えた方がいいに決まっている。娘の棗にしたって...彼女本人に何の罪も無いのも確かだが、ゲス野郎の金で生きている癖に自分の父親に人生を踏み躙られた被害者に上から目線で説教をする態度は不愉快である......高本の娘である水樹も知らないとは云え、父親を誇っている時点で同罪だ。
「まぁ......どうなっても俺には関係ねぇな」
矢嶋はそう吐き捨てるとカレーを食べ終わり、食後のお茶を啜ると学食を出て行ったのであった。
「おい......手筈はどうだ?」
「あぁ、メインヒロインの奈々子ちゃんは今中学生だ...多分、後1~2年で!」
「そうか......彼女が高校生になるまでにケリを着けるぞ!!」
「「「「「おお!!」」」」」
翌日...玄間興産の社長室で玄間才人と楠ヶ原署の署長が話し合っていた。いや、玄間が署長に鬼神教を取り締まる事が出来ない警察の失態を責め立てている。
「どうなっているんだ!?まだ、見つからないのか!?」
「えぇ......IPアドレスの開示請求をしても解らないのです」
「私達......玄間興産は鬼神教等という悪質なネット民達から誹謗中傷を毎日受けているのですよ?この間等は私の部下である高本の部署にいる者が正体不明の輩に怪我を負わせられたのです」
「......」
「それを...奴等は武勇伝の様にネット上に流したのです!高本達が私の命令で近隣の女性を拉致して婦女暴行をしている等というデマを主張しながら!!」
「......本当にしていないのでしょうか?」
「......どういう意味です?」
「鬼神教と名乗っているネット民達は本気で貴方を...玄間興産を潰そうとしている......これはそんじゃ其処らのネット民には絶対に出来ません」
「で?」
「私も警察官です。管理職ですが...それなりに犯罪者と接した経験はあります。だから、彼らには強い狂気を感じるんです......自分達が正義だと本気で信じている者だけが持てる狂気をね」
「何が言いたいんです?」
「連中はね......私達の事もあなた方の共犯扱いして疑っているんですよ。私もこの土地へ赴任して数年になりますからね......!」
「......私達はしていません。そんな事をしてもメリットが無いでしょう?このSNS全盛の世の中で悪評判が命取りになる社会で......」
「分かりました...捜査は引き続きします」
「よろしくお願いいたします」
楠ヶ原署の署長はそう言うと玄間興産の社長室を後にしたのであった。残された社長は苦虫を嚙み潰したような顔をしている。
その日の夜......玄間社長の片腕である高本が自身のオフィスで仕事をしており、部下である男性が仕事を終えて席から立ち上がった。
「高本専務...失礼します」
「あぁ...角田君、夜道には気を付けろよ」
「高本専務こそ......専務は奴等曰く“実行犯のリーダー”なんですから特に気を付けて下さい」
「......そうだな」
「奥さんや娘さんの様子はどうですか?」
「相変わらず......口を聞いてくれないよ...まぁ、あの年頃の娘が自分の父親があんな事をしていると聞いたら赦せないのも理解出来るがな」
「......俺も親兄妹に問い詰められましたよ......“幾ら大企業の社員だからって金の為にそんな事をしているのか!?”と」
「鬼神教は本気で私達を“社長の命令ならどんな惨い事でも平気でする犬畜生”だと思っていている......そんな私達を本気で潰す気だ!」
「ヤクザや半グレじゃあるまいし!社長を楽しませる為だけに女の子を拉致して強姦なんてする訳無いだろ!!」
彼らの部署の人間は鬼神教の誹謗中傷によって特に評判が悪く...片腕で実行グループのリーダーとしてネット上で晒された高本と部下数名は社外の人間達は勿論の事、同じ玄間興産の人間(原作ゲームで例えると表側の堅気の社員)からも白眼視されており、特に女性社員からの受けは非常に悪かった。高本は寡黙な性格と強面で大柄な体躯から鬼神教の“玄間社長の命令なら無表情で自分の娘と同世代の少女に麻薬を投与した上で壊れるまで凌辱する人間”というイメージが合致し易かったのである。そして、影響は玄間社長が理事長を務める玄間女学院にも及ぼしており、学院に通う娘の水樹も他の女子生徒から誹謗中傷を受ける羽目となった。彼女の場合は元々高本の身分を笠に着た態度を取る事にもあったのであるが...
「社長のお嬢様も誹謗中傷を受けていましたね......“素行に問題が無いが、それに鼻に掛けた人間”や“例え、父親の怨みで復讐されても正義面して偉そうに相手に説教する様な傲慢な人間”って...殆ど言いがかりですよ」
「今は加害者家族へのバッシングが激しいからな......目に見える謙虚さの無い人間はそれだけで許せんのだろう」
「高本専務はこれからどうするんですか?」
「俺は残るよ...仮に玄間興産を辞めても再就職先は見つからんだろうし、玄間社長に最後まで付き合う事にする...それに」
「それに?」
「あいつらは俺が玄間興産から離れて何処かに逃げようとしたら間違いなく......それを利用するだろう...そしたら、私だけでなく妻子まで!」
「えぇ......この騒ぎが始まって早々に辞めた奴、何人か行方が判らないらしいですからね......」
角田はそんな事を高本と話し合った後、部署を後にして帰宅する為に会社を出たのであった。会社の壁や門には鬼神教の連中が書いた悪戯書きや奴等が捨てたゴミが散乱しており、悪臭が漂っている。聞いた話によると...社長や高本の家にも似たような嫌がらせを何度も行っているみたいである。会社を出た角田は寄り道はしない。何故なら近隣の飲食店で“性犯罪者”として完全に容姿と名前を憶えられているのである。鬼神教の連中は高本と角田といった“実行犯”の全身写真をネット上に掲載して大まかな背丈や体格、髪型等を変えても頻繁に記事を更新して晒しているのである。
「......『俺達はお前達の罪を知っている!その時点でお前達は俺達にとって犯罪者だ!!』...か...」
「そうだぜ」
「!?」
突然の声に角田が振り向くと......全員が黒ずくめの恰好をした男達が立っていた。全員で四人おり、体型や背格好はそれぞれだったが、顔を隠している。男達の1人が声を発して来た。
「こんにちは!鬼神教で~す!!」
「!?」
「二人っきりで健気に生きている...罪の無い兄妹を外道から護る為に参上しました!!」
「?...鬼神教!?」
角田が突然の事に身体を硬直させていると男達の1人でガッチリとした体格をした男Aがボクシングの構えを取ると素早い動きで角田の懐に入った。そして、男Aは角田の腹に強烈なボディブローを叩き込んだのである!!
「ぐっ!?がはっ!?」
突然の事に反応できずに角田は顔面を地面に叩きつけられる。違う男Bが角田の身体を起こすのと同時に羽交い絞めにすると...男Aは角田の身体を連続で殴り始めたのである!!それはまるで何も悪い事をしていないのに...人生を玄間社長に踏み躙られた主人公兄妹の怨みを晴らすかの様に...強烈なパンチの嵐を角田の上半身に連続で叩き込んだである!!
「ぎゃあああああああっ!?」
角田は突然の痛みと苦しみに絶叫を上げる。男Aの容赦の無い殴打で身体中が腫れあがり、顔面も悲惨な事になっていた。そして、角田の身体を投げ捨てると男達B,C,Dと……指一本動かせずに倒れている角田を囲んでいく。鬼神教の連中は原作ゲームで主人公の妹を直接的に手を下した“キャラクター”には特に容赦するつもりは無かった......確実に始末する為に角田の身体を用意しておいたワゴン車の荷台に載せると車に乗り込んで発進して行ったのであった。それから、角田を見た者はいない。
鬼神教の連中が角田を襲撃してから一晩明け、玄間興産の社員達は出勤して業務に励んでいた。世間からの風当たりは厳しいし、騒動が始まってから何人も社員が辞めたが、一度、玄間興産の社員という経歴が付いてしまった以上は今辞めても再就職先を見つけるのが困難という理由で多数の社員が勤務している。そして、会社の中に何人かの清掃員がいた。彼らは社員や監視カメラの眼を盗んで何かを設置しており、仕事を終えると人気の無い場所で制服を脱いでビルを出て行った。今日は社長室に玄間才人もおり、高本も社内にいて事務仕事をしていた。そして、午前10時となった頃に玄間興産本社ビルを監視していたワゴン車の中でスマホを弄っていた男Aがスマホ画面に映っている“スタート”という文字を見ながら呟いた......
「死ね......腐れ外道共が!!」
男Aが“スタート”を押すと......鬼神教が玄間興産本社ビルの内部に設置した爆弾が一斉に爆発した!特に社長室のデスクと高本のデスクには奴等を確実に仕留める目的で強力な小型爆弾を設置しており、それらも同時に爆発してしまう!!
「ぐわあああああっ!?」
「ぎゃああああっ!!」
社内の全員が突然、巻き起こった凄まじい爆発音と爆音に耳と眼を塞がれながら悲鳴を上げる。爆煙が晴れた後……会社の中にいた社員の大半が重傷を負っていた。高本はデスクで書類整理をしていたのだが……彼のデスクには爆弾が設置されており、それが原因で重傷を負っている。玄間社長も同じく自身のデスクに爆弾が仕掛けられていた事に気付いていなかったのか……頭部を負傷しており、意識不明の重体である。本社ビルで爆発が起こっていた頃...玄間社長の自宅で火災が発生しており、家の中には娘の棗が学校が休みだったので母親と一緒に在宅中であった。
「お母さん!!」
「棗……私の事はいい!先に逃げなさい!」
「嫌だ!!私もお母さんと一緒に逃げて来るから待っていてよ!!」
棗は母を連れて避難しようとしたが、家は激しく燃えており、近くに窓が開いている場所が無い。そうこうしている間に火災によって熱せられたガラス等の破片が床へ落下して来て危険な状態になってしまった。壁の外から鬼神教の信者が火炎瓶を連続で投擲しており、玄間家を燃やしている炎の勢いは増々強くなっている。
「お母さん!早く逃げないと!!」
「棗……私はもう助からない……だから」
「嫌だ!!一緒に逃げるの!!」
「棗……貴女は私なんかより遥かに頭が良いわ。だから、お父さんの会社をお願いね」
「……!?」
“ガシャアンッ”と窓が割れる音が外から聞こえ、信者達が燃えている家の壁を破壊して中へ入って来た。鬼神教の信者達は玄間母子を発見すると...自分達の“正義”に狂った眼差しで彼女達を見ながら手に持っている火炎瓶を棗と玄間夫人へと投擲したのであった!!
「棗!!」
「お母さん!!」
炎に包まれながら母と娘は抱き合ったまま、そのまま……燃え盛る家の中で焼死してしまうのであった。そして、鬼神教は信者達と共に燃えている家の前で手を合わせている。その眼には狂気が宿っており、まるで“正義を為した”と云わんばかりの表情であった。
「さぁ!次は高本の家です!!奴等も高本の家族も纏めて始末しましょう!!」
“おおっ!”という掛け声と共に鬼神教の信者達は燃えている家へと向かって行った。そして、鬼神教の連中達が高本の家へ到着すると……全員で火炎瓶に着火したのだった。そして、一斉に火炎瓶を投擲し始めた!!
「高本の家族も纏めて始末だ!!」
「鬼神教の正義を奴等にも思い知らせてやるんだ!!」
“死ね!!”と全員が同時に叫ぶと……火炎瓶が家に向かって次々と投げ込まれていく。そして、その全てが家の中へと吸い込まれる様に入っていく。
「!?」
“ドガアンッ!バゴォンッ!”と爆発音が連続して聞こえ、家の壁や屋根が燃えながら崩壊していく。そして、家の中から黒煙と共に炎が噴き出してきた......高本の家から女性の悲鳴が聞こえて来ており、そんな光景を鬼神教の信者はニヤニヤしながら眺めてから去って行ったという。
『今日未明......●●県楠ヶ原市の玄間興産本社ビルで爆発事故が起きました......この事故で玄間興産の社長『玄間才人(48)』氏が瀕死の重体を負い、同会社の専務『高本栄二(47)』氏が重体となり、搬送先の病院で死亡が確認されたとの事です......そして、同時刻、市内にある両氏の家が複数の男達によって放火をされた事で家にいた......焼死』
「死んだのか......奴等」
「玄間興産って......最近、悪い噂ばかり聞く会社だよな?其処で爆発事故が起きたのか?」
「嫌ねぇ......物騒だわ~!」
「母さん、チャンネルを変えていいか?」
「いいわよ、啓治」
啓治は家族との夕食中にTVで流れたニュースを無表情で眺めた後......リモコンでチャンネルを変えたのであった。それから、地元の経済は少し低迷したが......何かが解放された様な晴れやかな空気が流れていたという。そして、
「おめでとう!奈々子!!」
「今までありがとう!!お兄ちゃん!!」
10年後......楠ヶ原市の外れにある小さな教会でただ1人の家族である兄に見送られながら1人の女性が愛する人の元へ巣立って行った。2人は知らない......自分達に降りかかるかも知れなかった残酷な運命を......それから、自分達を護ろうとした男達の存在を......人生の最期まで知る事は無かったという。
私はこういう転生者達の方が見ていてスッキリするのです。