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第8章 修羅場

マーナが手術のため入院し、夜遅くまでルーナやレイナたちは付き添いをしていた。


「じゃあ、マーナまた明日の朝来るから、ゆっくりお休み」

「うん。お姉ちゃん」


そして6人はレイナの家へ戻った。

だが、レイナの家で6人も寝るには狭すぎた。


「オイラと総司は外で野宿するよ」

「いいのか?」

「ああ、逆に外の方がよく眠れる。なあ、土方」

「ああ、夜襲が来てもすぐ対応出来るし」

「じゃ、じゃあ、僕も……パシリの頃はよく外で寝ていたから」

「そうか。じゃあ、男連中は外で寝るか」

「はい」

そしてリュウたち3人は外に出た。


「なあ、リュウ」

「なんですか?」

「お前、ねーさんの事が好きだろう」

「なっ……土方さん、何を言うんですか」

「違うのか?仲間うちで隠し事はなしだぜ」

リュウは下を向きこう答えた。

「……好きです。でも僕なんかチンピラのパシリだったし、弱いし……」

「パシリは昔の事だろう。それに影で強くなろうと努力している」

「でも……」

「俺にも昔好きな人がいた。共に武道を学んだ兄弟弟子で名は如月美奈子」

「へ~、それは初耳だな」

と、キャーロットは笑いながら言った。

「んで、そいつに会いたいのか?土方」

「会いたくても、会えん」

「えっ?」

「子供を助けようと車に轢かれたんだ」

「くるま?」

「まあ、俺の世界は魔法の変わりに、科学が発達していて、簡単に言えば、物凄いスピードで走るでっかい鉄の箱だ」

「へ~、見てみたいな」

「僕も」

「だけど、その車という物に轢かれ死んでしまった。初めて後悔した。こんなことなら振られてもいいから、自分の気持ちを伝えとけば良かったと……」

「土方さん」

「まあ、お前はいつか自分の気持ちをねーさんに伝えな。振られるかもしれんが、言わない方が後悔する。あんな美人で優しい女性だ。そのうち誰かに取られちまうぞ。その前に告白しとけばよかったと後悔しないようにな」

「は、はい」

「まあ、頑張りな。じゃあ、お休み」

「お休みなさい」


そして次の日の朝……

これからこの村が修羅場となる事を6人はまだ知らない。


6人がマーナの病院の前まで来た時、一人の女性が二人の男性たちに追われていた。


「助けてください」

「大丈夫よ。あんたたち、この子に手を出すなら私が相手よ」

「げっ、あれは、バトルソルジャー!」

そう言って二人は逃げていった。

だが、これはギゾランたちの芝居であった。


「ん?おめ~ギゾランじゃね~か?」

「知っているのか?キャーロット」

「ああ、オイラと共にカーメ先生から魔法を学んだ兄弟でしだ」

だがギゾランは「怖かった」と言いながら震えていた。

「ん~……ギゾランがあんなやつらに怯えるはずないしな~人違いかな~」

「そうだろう。お前はよく人の名前とか間違えるからな」

「それはおめ~もだろう。未だにロンのことをドラゴンって言うし」

「もう大丈夫よ」

ルーナが優しく抱きしめた。

だがその時!

「殺気!ね~さん、そいつから離れろ~」

「え?」

だが、遅かった。

ギゾランはすでにナイフでルーナを刺していたのだ。

ポタポタとルーナの血が流れる。

「この野郎!」

土方が刀を抜いた。

「ダ、ダメよ。総司くん。ウッ……そ、その子の目を見て」

「何?」

「ハアハア……そ、その子は誰かに操られているのよ」

「フッ、あまいな~バトルソルジャー」

そういうとギゾランは宙に浮いた。

そして呪文を唱えると雲ひとつ無かった青空が、暗くなった

「やべ~!皆散れ~!」

キャーロットがそう叫んだ。

そしてギゾランは雷を病院に落とした。

ドーン!

と雷鳴が響く……

病院は廃墟と化した。

「マーナ!」

レイラが大声で叫んだ。

「あの女、殺してやる」

「ダメよ。ハアハア……あの人は……」

「関係ない!」

その時、土方がレイナに一撃を放ち、レイナを気絶させた。

「総司くん」

「辛いだろう……尊敬する人や愛する人を失うのは……だから、お前は休んでな」

「もう一発、お見舞いしてあげるわ」

「やめろ!それ以上あれだけの大きな雷の魔法を使えばお前も死ぬぞ」

「キャーロットか」

「やっぱ、ギゾランなんだな」

「フン」

そういうと彼女は飛び去って言った。

「キャーロット逃がすな!」

「ああ~」

「俺も走って追うか……マリー、ね~さんを頼むぞ!」

「はい」

マリーが回復系の魔法でルーナの怪我を治し始めた。


その頃ギゾランたちは村の近くの森にいた。

「おい、降りて来い。俺は飛べないんだから」

「ハアハア……」

「あれだけの雷の魔法を使ったんだ。当然体力は消耗する」

ギゾランはそのまま、ゆっくりと下りていった。

そしてキャーロットも下りた。


「ハアハア……」

「お前に術をかけたのはクーロンたちだろう。案内しろ!」

「フフッ……」

「何がおかしい」

「クーロン様に会いたいのか?なら、今頃はバトルソルジャーの止めをさしているわ」

「な!しまった!」

「土方、ここは任せろ」

「頼む(間に合ってくれ)」


その頃ルーナは、マリーの魔法で怪我が回復していた。

「ありがとう。マリーちゃん」

「いえ……それよりマーナちゃんや病院の中の方たちがお気の毒で」


「心配いらんよ。マリー姉ちゃん」

と言って現れたのはクーロンだ。

「クーロン!あなた、何てことを」

「どうせ世界はメチャクチャになるんだ」

「そうはさせないわ」

「さすが、姉ちゃん、もう怪我が回復している。でも、怪我は治せても毒は治せたっけ?」

「えっ?」

「ウッ……目、目が霞む」

「くくっ……そのナイフには猛毒が塗ってある。普通の人ならもう死んでいるんだが、さすがバトルソルジャーたいした生命力だ」

「ルーナさん」

「だが、安心しろ。お前のその美しさと姉さんに免じて、2人の氷の棺を作ってやろう」

そういうとクーロンの手からものすごい冷気が……

そして、ルーナとマリーに向かって氷の魔法を使った。

「だ、ダメだわ。毒のせいで、炎が出せない」

「僕は何にも出来ないのか……ルーナさんを守りたい!」

とリュウが叫んだ時、彼の手から大きな炎が……

そしてその炎でクーロンの氷を溶かした。

「なんだと!あの餓鬼!俺の氷を一瞬にして……あれだけ大きな炎の魔法を使うなんて、何もだ?」

「すごい……あんな大きな炎、私でも出せないわ」

「あれ?ぼ、僕……どうやったのだろう」

「クソ!(ギゾラン戻って来い)」


「はっ!クーロン様の声が……」

そういうとギゾランはクーロンのとこへ向かった。

「に、逃がすか!」


「バトルソルジャー、マリー!その餓鬼のおかげで命拾いしたな。と言ってもバトルソルジャーの命はあとわずかだが……」


「てめ~がクローン病か?」

「土方さん、クーロンですよ」

「クローン、覚悟しろ」

「人の名前を間違えるのは失礼だぞ。土方総司」

「俺を知っているのか?」

「俺の部下が裏カジノでアンタの戦いを何度も見たらしいくてな」

「そうかい!」

そう言って斬りかかろうとした。

だが、上からギゾランが電撃を落とした。

ドーン

「うぎゃ~!痺れた……」

「クーロン様ご無事ですか?」

「ああ、一度戻るぞ」

「はい」

そう言って二人は去っていった。

「く、くそ!痺れて追えない……なさけね~」

「土方」

「キャーロット、スマン逃がした」

「それより大変です。ルーナさんが毒に侵されて」

「何!」

「ルーナさん」

「大丈夫よ。リュウくん……それよりさっきはありがとう」

「ルーナさん、死なないで」

リュウがルーナの手を握った。

すると不思議なことにルーナの顔色が良くなっていった。

「おい、ね~さんの顔色が良くなったぞ」

「えっ?本当だ」

「リュウくん、あなた……」

「えっ?あっスイマセン手なんか握って……」


ルーナでも出せないほどの炎を出したり、毒を治したり、一体リュウは何者なのだろうか。


地獄の修羅場から数時間後……

レイラの家……


「うっ……」

「気づいたか?」

「はっ!あの女は?」

「逃げられた」

「すいません。レイラさん。弟のせいで……」

「いや、マリーは悪くない」

「でも……」

「誰かのせいにするならば、ここにいる俺たち全員のせいだ。これだけの強者がいながら、守れなかったのだからな」

「土方の言うとおりだ」

「はい」


その日の夜、レイラは廃墟のなった病院の前にいた。

「マーナ」

「泣きたいなら泣けばいい」

「土方」

「俺だってリーの死に涙を流したのだから」

彼がそういうとレイラは土方の胸に抱きつき泣いた。

「ううっ……まだ、16歳なのに……これから元気になって幸せになってもらいたいのに……ううっ……」

「そうだな」

彼はそっとレイラを抱きしめた。


しばらくすると、この村の長老がやってきた。

「レイラ、お前にはこの村から出て行ってもらう」

「……はい」

「ジジイ、何でだ?」

「今回の事件、お前たちが起こしたのだから、またこのような悲劇が起きぬためにも出ていってくれ」

「分かりました。長老様。今すぐ出て行きます」

「じゃあな」

長老はそう言って去ろうとした。

そして去る前にこう言った。

「お前の妹マーナの墓はこの村で一番高い丘の上に一番大きな墓を作っておいてやる」

そう言って長老は去っていった。

「ありがとうございます」

「ツンデレジジが」

「つんでれ?」

「なんでもない」


その後6人は村を出て、再びマジックに会いに旅に出た。







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