表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/42

第37章 ドーラ一族

愛しい娘ヴィーナを吸収されリュウは怒りと悲しみの狭間にいた。


「ヴィーナ!!」

リュウは叫び、手から大きな炎を出し、魔王に放った。

だが、四天王の一人カミューが風の魔法で吹き飛ばした。

「お前の相手は私がするわ」

「リュウ君!」

と、ルーナは叫んだ。

「お前の相手は俺だ」

ルーナにはシンが相手をする気だ。


だが、ナイトがシンに攻撃を仕掛けた。

シンの頭より高く跳び、一回転し、かかと落とし、さらにもう片方の足で蹴り飛ばした。

これは前にもヴィーナがアルテミスと名乗って戦いを挑んできた時に、ナイトがやった技だ。

「ここは僕に任せて、リュウ兄ちゃんを」

「う、うん」

シンが起き上がろうとしたとき、ナイトは神速ですでにシンの間合いに入っていた。

そして鞘に収まっている刀を抜刀した。

刃引きの刀だが、棲ざましい一撃が決まった。

「ぐは~」


魔王はその様子をじっと見つめ、何が何でもナイトを吸収しようと考えていた。


その頃土方たちは……


「土方、さっき魔王だと思うが、急に気が上がったぞ」

「ああ……よく分からんが、何かを吸収したんだろう。ドーラここは俺たちに任せて、アンタもカーワ村へ戻れ」

「うっ……そうだな。ここはお前たちに任そう」

「ああ」

ドーラは浮遊術でカーワ村へ戻っていった。


「さて始めようか」

「土方、キャーロット、魔王さまはお前たちを気に入っておられる。お前たちが魔王さまに忠誠を誓えば、死者復活の術で蘇らせてもらえるぞ」

「いい話だが、お断りだ」

「オイラも」

「愚か者が」

「行くぜ!」


カーワ村では魔王がナイトを吸収しようと近づいた。

ナイトはボロボロな体で立っているのがやっとだった。

リュウはルーナにカミューを任せ、今度は電撃を魔王へ向けて放った。

だが、魔王は避けずにわざと喰らった。

「こんなんじゃ効か……なっ!」

リュウはすでに魔王の間合いに入っていた。

「クソ!」

リュウはそのまま腹を横薙ぎに行き、魔王は避けようとしたが、完全には避けきれず、魔王のお腹から血が流れた。

だが、斬りが浅いため、魔王のお腹の皮を斬った程度だ。

「あの餓鬼よりもお前を吸収すべきだな」

そう呟き、リュウの動きを封じようと氷の魔法で攻撃をした。

リュウは、炎を出し、氷を溶かした。

さらにリュウは全身全霊を籠め、袈裟斬りをした。

「今度は遅い」

魔王は白刃取りでリュウの刀を止めた。

そして土方の時のように刀を折ろうとした。

「二度も折らせないぜ」

そう言って刀を放し、炎の魔法を放った。

魔王は刀を放し、リュウの怒りの炎によって魔王の体を炎が包む。

だが魔王は全身に力を入れ、爆風によって炎を消した。


「クソ餓鬼が!俺様を本気にさせたな」

「うっ……」

「リュウ君!」

ルーナが叫んだ。

「どこ見てんの?」

と、カミューが雷撃を放った。

「きゃー!」

「バトルソルジャー、本気で……殺す気で戦わねば、私は倒せないわよ」

「うっ……私は殺し合いなんかしたくない……でも、私はあなた達を許さない」

ルーナはレイピアで攻撃を仕掛けた。

そしてルーナのレイピアがカミューの体を突き刺した。

ルーナは初めて心の底から人を憎み、そしてカミューを殺した。

リュウと同様に、愛しい娘を失った怒りと悲しみが、彼女を修羅へと変えた。


その頃土方たちは……

殺さない程度にゾイとハンジーを倒した。

「リスポ隊の誰かに頼みがある」

「な、何ですか?」

「たぶんこの二人は1週間くらい起きないと思うけど、念のため手と足を凍らせて、牢屋にでもぶち込んでくれ」

「……わ、分かった。国王様、王妃様お許しを」

ザミー隊長はそう言って、二人の手と足を凍らせて、隊員たちと共に王たちを牢屋へ収容した。


「ローズ、アンタはここで待っていな」

「は、はい」

土方はウーマに乗って、キャーロットは浮遊術でカーワ村へ向かった。


カーワ村……


「リュウ、未来では成長したヴィーナはいない。周りの奴らは、お前もヴィーナも成長したヴィーナは旅に出ているとしか聞いていないだろう」

「それがどうした」

「だが、お前もヴィーナも気づいていた。未来では成長したヴィーナは旅に出ているのではなく、過去で、俺様との戦いで戦死した事に」

「うっ……」

「この女はその恐怖と戦いながら、今日まで生きた。心のどこかに自分の未来が変わると信じてな~」

「ヴィーナ……」

「だが、変わったのは殺され方だけ。俺様が吸収した未来人の情報では、お前らのいた未来では俺様はドラコを吸収し、ヴィーナを八つ裂きにしたとのこと」

「何!」

「リュウ、バトルソルジャー……いや、ルーナ、お前らは未来でもこの時代でも結局娘を守れなかった。娘を犠牲にして勝利を得て嬉しいか~?役立たずな親御さん方」

魔王のその言葉に、リュウもルーナも何も言えなかった。

「俺様は優しい人間だ。娘だけじゃ可愛そうだろう。お前たち二人を吸収してやろう。そうすれば親子3人俺様の中で生き続けられるぞ」

魔王の言葉を聞いているうちに、リュウとルーナはすでに戦意を失っていた。

「ぼ、僕にはどうすることも出来ないのか……」

「安心しろ小僧。この二人を吸収した後はお前もそしてお前の姉も吸収してやる。ありがたく思え」

「そ、そうかい……なら、先に僕を吸収してほしい……体中が痛いから辛いんだ」

「そうか。いいだろう」

魔王はナイトの近くに行き、吸収し始めた。

「(僕に出来る事は、リュウ兄ちゃんたちを正気に戻すこと)」

「どうした?俺様の中で生き、共に世界を支配しようではないか」

「へへっ……嫌だね」

「何!?」

「リュウ兄ちゃん!ルーナお姉ちゃん助けて~!」

「小僧、あきらめろ。奴らはすでに戦意を失っておる」

「僕は信じてる。必ずバトルソルジャーが助けてくれると」

「ほざけ」

「うっ……うわ~!リュウ兄ちゃん、ルーナお姉ちゃん……バトルソルジャー助けて~!」


その言葉に戦意を失っていたリュウとルーナが正気に戻った。

「ナイト君」

「魔王!ここでお前を倒さねば、それこそ娘は犬死だ」

「俺様を倒す?ほざけ!」

「俺もヴィーナも運命が決まっていた。生まれる前から名前と運命がな……そして魔王、貴様が死ぬ運命も決まっているんだ。どう未来が変わろうと、俺がお前を殺すからな」

その時だった。

空から大声でこう叫ぶ者がいた。

「よく言った。それでこそ我が息子、リュウ・シー・ドーラだ」

「ドーラ……」

「父さん……いえドーラ様」

「いいだろう。貴様らドーラ一族全員、この手で殺してやる」


果たして戦士たちは未来を守ることが出来るのか?






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ