番外編 土方総司外伝 前編
どうも生時です^^
7月(おそらく8月も)は仕事が忙しく、なかなかネタを考えてる暇がないんで、今回は土方の過去の話を書きました。
まあ、僕のデビュー作「武勇伝」ぽい感じの話ですが……
土方総司、武道家……
魔王ビルダーにたった一人で戦いを挑み、敗北したものの、あのビルダーに重症を負わせた男。
最後は自らの折れた愛刀で腹を切り裂き自害した享年18歳。
だが、そんな彼も初めから強かった訳ではない。
1992年、日本で彼はこの世に生を受けた。
祖父、父、母と4人で平和に暮らしていた。
ある事件が起きるまで……
総司の祖父は剣道と柔道の有段者であった。
そんな祖父から総司は柔道と剣道を学んでいた。
だが、彼が8歳の時、彼の父親が浮気をし、妻と夫婦喧嘩の最中に妻を殺害してしまった。
それからは祖父と二人きりの生活が始まったのだが、学校では人殺しの子供という理由でいじめられていた。
毎日、学校が終わると堤防に連れて行かれ、上級生や中学生まで混ざっていじめられていた。
「もうやめてよ」
「ああ~!?止めてくださいだろうが」
「俺たちの靴を舐めたらいいぞ」
総司は悔し涙をこらえて、靴を舐め始めた。
すると彼はこう言ってきた。
「汚ね~な!まだオニューの靴なんだぞ!」
と言って、総司を蹴り飛ばした。
「こりゃ~、慰謝料として、明日までに5万円持って来いよ」
「ええ~!そんな~、この前1万円渡したから、僕もうお金ないよ」
「なければヒッタクリでもしろよ!」
「そんな~」
その時だった、一人の女子中学生が現れた。
彼女の名は如月美奈子。
そう、土方総司の初恋の相手だ。
美奈子は総司の5つ上で、総司が幼い頃から遊んでもらっていた先輩だ。
また、彼女の父親如月勇は、少林寺拳法、空手道、合気道の達人で彼女自身も幼き頃から父から武道を学んでいた。
「芹沢君たち、やっぱり総司君をいじめていたのね」
「げっ!如月!」
「年下相手に情けないわね」
「芹沢さん、やばいですよ」
「くそ~」
「私が怒らないうちに消えなさい」
彼女のその言葉に、土方をいじめていた連中は去っていった。
「大丈夫?」
「……僕も美奈子さんみたいに強かったら……おじいちゃんから剣道や柔道を教えてもらっていたけど、いざとなると怖くて……」
「総司君」
「大体僕、何も悪いことしていないのに、何でこんな目に……」
「総司君……」
美奈子は優しく彼の手を握った。
「とりあえず、怪我の手当てをしてあげるから家にいらっしゃい」
「は、はい」
そして総司は彼女の家に行った。
彼女の家には幼き頃に何度も行っていた。
「ただいま」
「お、お邪魔します」
中に入ると居間で彼女の父親がTVを見ていた。
勇の本職は小説を書いている作家であった。
また美奈子の母親は看護師で、美奈子もいつか母親のような看護師になろうと夢を持っていた。
「ん?総司君じゃないか」
「おじさん、こんにちは」
「如何したんだその怪我?」
美奈子は父勇に全てを話した。
「そうか。君も大変だな」
「あ、あのう、おじさん」
「なんだい」
「ぼ、僕にも武道を教えてください」
「君もおじいさんから柔道や剣道を学んでいるのだろう」
「そうですが」
「お父さん、私からもお願い」
勇は悩んだ。
「分かった。いいだろう」
「本当ですか!」
「ああ、ただし、私の教えた武道で弱き者を守ると約束出きるなら教えてやろう」
「はい」
こうして彼は如月勇の弟子となった。