第16章 魔王の企み
魔王が封印されていたオウマの洞窟……
「な、何をする気ですか?魔王様」
魔王ビルダーは、逃走中の手下10人のうち4人を、この洞窟に連れ込んだ。
「ま、まさか我々を吸収するつもりでは?」
その言葉に魔王ビルダーは薄ら笑いこう答えた。
「貴様ら雑魚を吸収したって意味はない」
「で、では?」
「お前たちは喜ぶべきだ。この魔王様の役に立てるのだから」
そういうと魔方陣を描き、4つの頭蓋骨を東西南北に並べた。
「ま、魔王様?」
「お前たちは魔方陣の中心に入れ」
「で、ですが」
「俺様を怒らせるな」
4人は魔方陣の中心に並んだ。
「ま、まさか、死者復活の術をするつもりでは?」
「そうだ。なかなかいい勘をしておるな」
不気味な微笑を浮かべ、魔王ビルダーはさらにこう答えた。
「200年くらい前までは当たり前のように使われていたが、今では禁断の魔法だ。それは何故だか分かるよな」
「し、死者を復活させるには、に、人間の若い命を、必要とするからです」
「その通りだ。50年前、マジックたちによって殺された俺様がもっとも信頼している魔の四天王、ハンジー・ナムー、カミュー・ゲンジャー、シン・ターナ、ゾイ・カッターを復活させる。特にカミューは俺様の女だ。美しく、強く、俺様のためなら何でもする出来た女だ」
魔王は薄ら笑いながらそう答えた。
魔王の言葉を聞いて、4人は逃げようとした。
すると氷の魔法を使い、4人の両足を凍らせた。
「おとなしくしていろ。この術にはかなりの日にちがかかるんだからな」
「や、やめてください」
「助けてください」
「魔王様、お願いです」
「た、助けてください」
4人の言葉に魔王は耳を傾けなかった。
そして魔王は呪文を唱え始めた。
その頃ルーナとリュウは折れた土方の刀を直してもらうため、リーゼンの街へやってきた。
「大きい街ですね」
「うん」
「こんなけ大きいと探すのが大変そうですね」
「でも有名な方だから、誰かに聞けばすぐ見付るかもしれないわ」
ルーナたちは街の人に話しかけた。
金髪で青い目をした二十代前半の女性だ。
「ミストの家なら、知っているわ」
「本当ですか」
「ええ、案内してあげます」
「ありがとうございます」
ルーナたちは町に住む女性に案内され、アールケイ姉弟の家へ辿り着くことができた。
「ミスト、お客さんだよ」
女性がそういうと、中から二十代前半で長い髪を後ろに結んだ美女が現れた。
「あら、ニーナじゃない」
「この二人がアンタに用があるんだって」
「はじめまして、私ルーナといいます」
「リュウです」
「ルーナ?もしかして、あのバトルソルジャーでは?」
「はい」
「あっ、どうぞ中へ、ニーナもどうぞ」
「私は用事があるからこれで」
「ありがとうございました」
ルーナとリュウのお礼を聞いて、彼女は去っていった。
「飲み物をどうぞ」
「ありがとうございます」
「それでご用件は?」
「実は……」
ルーナはミストに事情を説明した。
「そういうことですか。分かりました。折れた刀をお貸しください」
リュウがミストに刀を渡すと、彼女は驚き、一言呟いた。
「これは日本刀……」
「ご存知なんですか?」
「ええ」
この世界にはないはずの日本刀を、何故彼女は知っているのだろうか?
そして、魔王は魔の四天王を蘇らせてしまうのだろうか?