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兎と虎と

作者: とるてぃ

 ある日ある所、1匹のうさぎがいました。このうさぎは努力家で、なまけることはありませんでした。


 また別の所に、1頭の虎がいました。この虎は怠け者で、いつも昼寝ばかりしていました。エサを取りに行くのも面倒だと思い、他の虎が食べている肉を奪って暮らしていました。 


 次の日、虎はうさぎを見つけました。虎はお腹が空いていたので、よっこらせと起き上がり、うさぎを追いかけました。

 うさぎは「大変だ、虎がいるぞ」とあわてました。すぐさまうさぎは走り出しました。うさぎは全力で走りました。 


 一方、虎は「走るのはもう疲れた。うさぎはまた後で追いかければいいだろう」と言いました。すると虎はその場でお昼寝を始めました。


 そのことを知らないうさぎは、どんどん遠くへと走りました。ついには虎が見えなくなるほど遠くまでたどり着きました。しかし、うさぎはまだまだ走りました。


 虎が目を覚ますと、うさぎは見えなくなっていました。歩いてみても、うさぎの姿は見えませんでした。


 虎は、他の虎たちが肉を食べているところを見つけました。肉を奪おうと虎は近づきましたが、他の虎におそわれて大けがをしました。


 虎はその日、お腹はぺこぺこで、さらに傷だらけのままその日を過ごすことになったのでした。「ああ、あの時うさぎを頑張って追いかけていたらなあ」と後悔しながら。


 教訓は「怠け者で他者から利益を得ようとする者は罰を受ける」といったところだろうか。この教訓を聞いて、子どもらは「先生、わかりました」なんて物知り顔で言うんだろう。馬鹿馬鹿しい。

 本当に怠けているのは誰だ?無辜の俺を笑いものにして、悪者にして、勝手に何かを分かった気になっているお前らじゃないか。表面だけを見て呆けた顔をして、真実を追いかけないお前らじゃないか。

 何度この話を繰り返す?どれだけの世代の人間たちが俺を馬鹿にしてきた?お話が終わっても、本を閉じてまた開けばハリボテの教訓はばら撒ける。

 ああ、もう疲れた。



 先日未明、◯市のアパートで女性1人の死体が発見されました。女性の首には深い切り傷が残されており、周囲には穴の空いた絵本と黄色い毛のようなものが見つかっています。警察は事件として調査を進めています。

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