第68話 お祭り 御守り
うん、バッチリだと思う!
朝風呂に入ったし服も新しいものにした。
まあセンスが無いので結局似たような服なのだが…
今日はユキさんとお祭りに行く予定、昨日魔獣も追い払ったし流石にもう来ないだろ。
僕はソワソワと午前中を過ごし、正午になるのでギルド前に向かった。
まあ30分も前なワケだが…なんとなく早く来たいじゃん。地下室いてもヒマだし。
するとすぐにユキさんが現れた。この前あげた白のワンピースだ!しかもネックレスも付けてる!もう…なんかもう…良い感じじゃん!
「楽しみで早く来ちゃいました、ショウさんも早かったですね!」
「女性を待たせる訳にはいかないので!」
ユキさんはフフっと笑いショウさんらしいですねと笑顔を見せてくれた。
「因みにこの祭りの名前ってなんなんですか?」
少しだけ気になってたんだよね。
「神光祭ですね、女神様に感謝を捧げるお祭りです」
女神像に石投げたりすんの?あんなのに感謝なんて微塵も無いんだけど…
いや…この世界に生まれ変わったのはアイツのせいでもありおかげでもあるか…
「ちなみに女神の名前って何なんですか?」
「アステリア様ですよ。この世界を創造したと言われています。素晴らしい神様ですよ」
「誰ですか?まあ知らない神様だし祭ってもバチ当たらないな。」
「神様は祭ってバチなんか当たらないと思いますけど…」
なんかバチみたいな神様いるんすよ。しかし世界を創造したの?サキエルが作ったみたいな事聞いたような…
「屋台で何か食べましょうか?ショウさん食べた事無いものいっぱいあるんじゃないですか?」
そう言えばそうだ…異世界に来て異世界のご飯を食べない転生者なんて僕くらいじゃない?
「確かに食べた事無いですね、あの串焼きなんか美味しそう!買いに行きましょう!」
二人で歩いて屋台食べ歩きか…なんて夢のような…
「すみませんユキさん…お金貸して下さい…」
串焼きを受け取り会計となった際、僕は財布というか布袋から金貨を出した。
すると店主に急に金貨かい!?お釣りなんて出せないよ!?
と言われてしまったのだった。
そもそもこの金貨って金使いにくいんだが、僕の感覚で1枚100万円、しかしA級冒険者の報奨金はこの金貨で支払われる事が多いので扱いに困る。
「いつも色々貰っているので私が出しますよ!任せて下さい!これでも貯金結構あるんで!」
頼もしい…こんな金貨持っていたって肉の一本も買えない僕とは大違いだ。
買って貰った串焼きは意外に美味しかった。意外にと言うのは失礼だが少し期待していなかった感はあったのだ。
「美味しそうに食べますね、気に入って貰えて良かったです、コンコン焼き」
そう言って自分も串焼きを食べるユキさん。
なんの肉?キツネ?揚げたらコンカツになる?
案の定キツネの肉らしい、コンコン焼きか…新境地って感じだ。硬いが美味い、肉はこうあるべきだ。
しかしユキさんは人気者だな。どこに言っても声をかけられ、冒険者とデートなんてやるじゃないかとからかわれている。
その度にからかわないで下さい!と顔を赤くしているがニコニコとして嬉しそうだ。
「演劇をやるみたいですよ!行ってみましょう!」
演劇か、どんな話をやるんだろ?
勇者と魔王のお話だ。子供用なのか随分と分かりやすい。
打倒魔王を掲げて修行し強くなる勇者、しかし最後に魔王に負けてしまう。力を失った勇者は家に帰り泣きながら母親に負けてしまったと報告する。
そこに母親は
「無事に帰ってきただけで十分だ、私にとってお前は立派な勇者様だよ」
そう言われ物語は終わった。
「人間側の演劇なのに魔王には勝たないんですね」
最後に覚醒とかなんかで勝つのかと思ってた。
「勇者が魔王に勝った事は無いですからね…しかし勇者の力は絶大なので冒険者としては一流です。みんなに好かれていますしね」
でも最初にホノカ無茶苦茶してたけどね、僕最初急に殴られたんだよ?
「ちなみに勇者が負けると怪我とかするんですか?」
「やはり壮絶な戦いですから怪我はしますね…大怪我をしてしまった元勇者も実際にはいます。」
本当にクソみたいなシステムだな。なんの為に勇者スキルと魔王なんているんだ?今度サキエル…いや、ガブリエルさんとミカエルさんに聞いてみよう。
「お守り屋さんです!ちょっと見てみませんか?」
お守り屋さん?普通に店で売ってるんだ。
「うちの御守りはめちゃ効くで!なんなら一番高いの買っていけばええんとちゃうか?」
どっちだこれ、エセ?それとも本場の方?
怪しげな関西弁を喋る男、ローブを深く被り明らかに怪しい。
「金が必要なんや!頼むで!一番高いの一個で良いんや!」
御守りの店でこんなに懇願される事ある?なんか御利益ありませんって宣伝されてるみたいで買いたく無いんだけど。
「御守り屋さんって感じじゃないですね…なんか怪しい気が…」
ユキさんのそう思います?僕は怪しいって確信してます。
「どんな効果あるの?この御守り、なんか一番高いの金貨2枚とかするけど」
「効果か?そうやな…そっちの嬢ちゃんには恋愛成就、兄ちゃんには…なんや君、何が欲しいんや?」
欲しい物くれんの?何言ってんの君?
「ワイは相手の心が少しだけ読めるねん、せやけど兄ちゃんの心は全く分からん、こんな事初めてやな。」
「相手の心が読めるなんてスキル聞いた事ありません。これはすごく怪しいです。ギルドに報告した方が…」
「怪しくないで!!急に何言い出すねん!ほら!なかなかの好青年やろ!?」
フードを取った男は銀髪に赤い目、そして…
「ねぇその角ってなに?魔族とか?」
「魔族ちゃうわ、聞いて驚け!ワイは嵐鳴竜ゼフィラード!七聖竜やで!まいったか!」
おいおい、短期間で出てくんなよ。この前ガル爺と会ったばっかりじゃん。
「ユキさん、七聖竜の御守りなら結構効きそうじゃないですか?」
「確かに…なんとなく効く気がしますね…」
「じゃあその高いの二つ貰うよ、はいお金。」
「お、おう…おおきに…、さては信じてへんな?七聖竜に会うなんてそうそう無いもんな!」
「いや、信じてるよ。でも出過ぎなんだよ。もう少し間を開けて出てきてくれないと困るんだけど」
「困るってなんやねん…なんか知らんけどショックなんやけど…なんかもっとこう、わぁ!たまげた!みたいな反応欲しいんやけど…」
あの…今はお祭りを楽しませて欲しいから後でいい?




