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私が20歳に成るのを待っていたかのようにされた話。
これは相談ではなかった。
報告。
式は2ヶ月後。
6月の吉日。
両家の打ち合わせは済んでいるらしく、私は明日、形だけの《お見合い》と言う段取りを踏まされるらしい。
そんなこと聞いてない。
卒業して直ぐにお婆様の所へ行っていた私に直ぐに帰国するように言ったパパ。
ゆっくりと過ごすつもりが数年前に他界したお爺様のお墓参りに行けただけ。
何もする間もなく帰国したその日の夜…
それが今日…今の出来事
「どうしてこんなことに…」
「ごめんなさい…何の力にもなってあげられなくて」
ママはそう言うけど、多分こうなるまでにママなりに色々と気遣ってくれたんだと思う。
悪いのはママじゃない。
パパでもない。
怒っても、駄々をこねても事態は変わらないだろう。
それに私が通っていた女学院の中でも政略結婚は当たり前の事だった。
早い子は高校生の時から相手が決まり、卒業と同時に籍を入れ、そこから短大、大学に通う人も居た。
いや、もっと上手を言うなら生まれた時から許嫁が居たと言う子も居た。
そこに私たち《娘》の意思はない。
「きっと大丈夫。上手くやれるわ」
ママに心配をかけても泣き言を言っても事態は変わらない。
ならば、運命を受け入れるしかない。
涙を拭って立ち上がり
三条 茉愛沙 〈さんじょう まあさ〉
人生の分岐点に立った。