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好きなように生きるのは難しい  作者: もちむぎなこ
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前世の記憶4




おばあちゃんが生きていたときは、おばあちゃんが作った朝ご飯を食べて学校に行き、帰ったら一緒に夜ご飯を作って、お兄ちゃん以外の3人で少しだけ話して、お風呂に入った




それが、おじいちゃんと一緒に起きて、前日の夜作っておいた朝ごはんを食べ、掃除洗濯をして自分とおじいちゃんのお弁当やお兄ちゃんの昼食を作ったら学校へ行く、帰りに食材や日用品で足りない物があれば買い物をして、帰宅したらお風呂の準備と並行して夜ご飯を作り、次の日の朝食やお弁当の具を作り置きして、お風呂に入って自室で勉強後眠るというサイクルに変わった




お兄ちゃんには相変わらず、暴言を吐かれるし殴られるけど、おばあちゃんが亡くなってからは、以前よりも殴られる事が減ったように感じていた




おじいちゃんも大変だろうし、お兄ちゃんも少しずつ変わってきているのかも…




お兄ちゃんの変化は良い方に向かっているのだと無意識に信じていた




何もかも状況が変わるのなんて一瞬のことなのに…




その日おじいちゃんは地域の農家の集まりで、宴会に行っていた




会場は公民館で、車で1時間かかるためお酒も飲むし泊まりになる、畑仕事をした帰りにお風呂に入ったら向かうからと聞いた




前は月に2回ほど行っていた集まりで、おばあちゃんが亡くなってからは久しぶりで初めての宴会だったので思いっきり楽しんできてねと話していた




週末だったので学校も休みだし…と普段は掃除できないようなところを掃除して、おばあちゃんがやっていたようにおじいちゃんが宴会に着ていく服を選び置いておく




昼食と一緒に夜ご飯のおかずを作ってお兄ちゃんの部屋にご飯を運んで自分は台所で食べた




洗い物を終わらせて自室に戻って勉強をしていたらおじいちゃんの帰る時間が近くなってきたのでお風呂を入れる




おじいちゃんを見送って先にお風呂に入り、夜ご飯をお兄ちゃんの部屋へ運んだ




いつもなら声をかけてドアの近くに置いておくのだが、その日は声をかけたときにドアが開いた




中に入って机の上に置けと言われたのでその通りに動く




机にご飯をおいた瞬間、ふとんに突き飛ばされた




一瞬のことだったために何が起こったのかわからなくて体を起こそうとした瞬間、服を捲られ押さえつけられる




殴られることに慣れてしまって怖いと思うことは無かったはずなのに、とても怖くて震えが止まらなかった




服を剥ぎ取られ全身に不快感が襲った、新しい悪夢の始まりだった




嫌がれば殴られる、殴られる方がよほどマシだったけど、おじいちゃんにだけは知られたくなかった




私のことを弄びながらささやくのだ




お前は疫病神 死神だ




みんなを不幸にする女だ




バレたらおじいちゃんもいなくなるぞ




呪いの言葉を吐きながら私を蝕んでいくお兄ちゃんは、怪物のように見えた




殴られることよりも辛かったけど、傷跡も残らないし耐えればいいのだからと我慢した




我慢というか、抵抗するような気力もわかなかった




生きていることが辛かった、いっそ殺してくれたらと何度も思った




おじいちゃんだけが心の支えだったから、おじいちゃんを悲しませない、ただそれだけのために生きていた




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