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239. 姫は『指名』されるようです

 239. 姫は『指名』されるようです




 今日から2月。忙しさもだいぶ落ち着き、普段通りの日常に戻っていた。そんなある日、オレは事務所に呼び出される。なんでも星乃社長が話があるそうで……しかも重要な案件だとのことだ。いったい何の話なのか……。


 コンコン 事務所に到着したオレは扉を2回ノックしてから社長室に入る。


「失礼します」


「おはよう弟君。忙しいのに悪いわね。とりあえず座って?」


 オレの挨拶に星乃社長はそう答える。そのままオレは指示されたとおり、社長の目の前のソファに腰をかける。いったいなんの話だ?悪い話だと困るんだけど……。


 社長は机から1枚の書類を取りだし、オレに見せながら言う。その書類にはこう書いてあった。


 タイトル:『ソプラノ』バレンタインチョコレートコラボ企画書


 主旨目的

『製菓メーカー『ソプラノ』案件。この企画では当プロダクションから3人のVtuberを出し、ソプラノの新商品であるチョコレートを宣伝し、売上アップを目指すものです』


 企画内容

【3D配信】

 ・内容はお任せしますが、『バレンタインチョコレート作成』と『顧客ニーズのアンケート調査』と『チョコレートプレゼント企画』は配信に含むようにお願いします。


 案件の企画書か。『ソプラノ』と言えば日本で知らない人がいないくらい有名な製菓メーカーだ。そんな大手からも話が来るってことは、うちの事務所もやっと認められたってことなのかもな。頑張ってきたことが認められるのは嬉しいな。


「この案件をやってほしいと言うことですか?」


「結論はそうね……」


「何か問題でもあるんですか?」


「実は『ソプラノ』の社長さんのお子さんがFmすたーらいぶファンでね……色々推しがいるそうよ」


「それは喜ばしいことですね」


「それで、指名されてるのよ。弟君……『姫宮ましろ』『海原あると』『園崎ラビ』の3名で。確か弟君の配信で言ってた『海の迷宮』だったかしら?ぜひ初コラボはこの案件でやってほしいと。企画内容は3D配信。バレンタインチョコレート作成が入っているし、スタジオ収録になる。ディスコードでのやり取りは出来ない」


 ……つまり、オレの素性を衣音ちゃんと一ノ瀬さんに明かすことになるのか。そうしないと配信は出来ない。それに大手の案件を断ることはリスクしかない。


 ここでオレが断るかどうかで、Fmすたーらいぶが危機的状況に陥るのか否かが決まるんじゃないだろうか。なら答えは……


「あの社長……」


「弟君」


「はい?」


「私はね……『会社の指示だから』と言う気持ちがあるなら断ってほしいわ。私にとってFmすたーらいぶのライバーは家族と同じ。だからこそ弟君の意思を尊重する。その上でこの依頼……どうする?」


 社長は優しく微笑みながら、オレに視線を送る。それはまるで『あなたたちだけはどんなことがあっても守るから』と、言っているようだった。本当にこの人には敵わないな……。これが信頼と愛情か。


 そして……もしこの依頼を断ったとしても、星乃社長はきっとオレを責めたりしないだろう。オレは大きく息をはき、星乃社長の目を真っすぐ見る。そしてオレの素直な気持ちと意思を嘘偽りなく答える。


「会社の指示……少し違いますね。オレはこのFmすたーらいぶを誇りに思ってますから、この会社がリスクを負うのは嫌です。それに星乃社長や桃姉さんには感謝してもしきれない恩がある。だから会社の指示ではなく、オレは自分の意思でこの依頼を受けます」


「弟君……」


「……それに、『姫宮ましろ』のファンが1人でも配信を求めてるならやらない選択肢はないですよ。衣音ちゃんや一ノ瀬さんが認めてくれるかは分からないけど、オレの素性はいつか話さないといけない。だから、このタイミングで良い機会だと思います。だからやらせてください社長」


「……ふふっ。弟君は本当に『姫宮ましろ』なのね。じゃあこの案件は正式に受けるわ」


 星乃社長が優しく微笑みながらそう言ってくれた。衣音ちゃんと一ノ瀬さんか……裏でも何回か絡みがあるが、一体どうなるかな……

『面白い!』

『続きが気になるな』


そう思ったら広告の下の⭐に評価をお願いします。面白くなければ⭐1つ、普通なら⭐3つ、面白ければ⭐5つ、正直な気持ちでいいのでご協力お願いします。


あとブックマークもよろしければお願いします(。・_・。)ノ

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