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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
英雄の誕生
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芽生え

一体なんの芽生えなんですかねぇ

 スピリッツ様の規則違反事件から1ヶ月後、転生先の母子共に健康で、僕は存分に休みを満喫していた。


 ただ読書をするだけの時間をこんなに長く取れるなんて、なんて素晴らしいんだ!この仕事は受けて正解だったな!


 とっくに内容は記憶していて、先の展開がわかっているはずの本がこんなに面白く感じるのは久しぶりだ…!


 読んでいた本を閉じて、次は何を読むかとウキウキしながら本棚に向かっていると、普段は薄暗い僕の空間が唐突に明るくなり始めた。


 何が起きたのかと光源を探してみれば、普段椅子と机を置いて本を読んでいるあたりに発光している球体が浮かび上がっていた。


 「なんだこれ…」


 近寄って見てみると、半透明の球体に人間の胎児が入っているものが発光していたことがわかる。天使の輪を使って調べてみると、この胎児が転生先の子の精神の核らしい。


 どうやら、今精神が芽生えたみたいだ。顔を覗き込んでみると、しわくちゃな顔が見える。


 「うわ〜…ちっちゃい。それに…」


 そっと球体ごと胎児を抱き上げる。少しゆすってみると、くしゃっとした顔で目をつむったまま手足をモゾモゾと動かす胎児。


 「ぶちゃいくだねぇ〜ほれほれ〜」


 僕に馬鹿にされているのが理解できているのかわからないが、ゆすってやるとモゾモゾと手足を動かして反応する胎児。……かわ。


 「よし、胎教ってやつだ。僕が絵本を読んであげよう」


 絵本なら確か、23億年前ぐらいに人間時代の記憶を元に作っておいたのがあのへんにあったはず…。


 …お、あったあった。


 懐かしい絵本を取ってくると、ぱぱっとロッキングチェアとクッションに毛布を創り出して、胎児と一緒に腰掛ける。


 クッションの上に乗せて、毛布をかけて…と。


 「よーし、絵本の始まり始まり〜」


 声に反応してか、胎児がモゾモゾと手足を動かす。……かわい。


 「◯りと◯ら…ぼくらのなまえは◯りと◯ら…」


 こうして読むと、僕も読むのはかなり久しぶり(23億年ぶり)なのでだんだんと楽しくなってきた。どんどんと読み進めて行って、以前に作った分を全て読み終えると、また記憶を元に新しく絵本を創って読み聞かせていく。


 モゾモゾ…かわいい…。


 そんなこんなで胎児に絵本を読み聞かせて半月ほど経って、胎児もだんだんと大きくなってきた頃に、胎児が急にいつもよりも激しくモゾモゾし出した。


 「おぉ…どうしたどうした?よしよし」


 しばらくゆすってやっても胎児は落ち着く様子はない。これはもしかして…。


 最近は本を読む時の照明にしか使っていなかった天使の輪で、僕の空間の外まで知覚の範囲を広げる。


 「おっと…これはちょっとまずいね」


 僕の知覚に映ったのは、倒壊した建物の近くで、お腹を膨らませた女性を庇うようにして立つ男性と、その二人に今にも襲い掛かろうとしている5mを超える大きさの四足獣だった。


…どうやら、母親の身に危険が迫っているみたいだ。


Tips:セラス君ちゃんは子供に激甘デレデレ。


前回に引き続き閲覧、ブックマークして頂けた方、誠にありがとうございます。

また、評価やいいねをつけて頂いた方も本当にありがとうございます。

評価数とブクマ数を見てビビり続けているここ最近です。

また僕の個人的な事情なのですが、今週の金曜まで短め・早めの更新になるかと思います。来週以降に加筆して更新するかもしれません。


作者プロフィールにあるTwitterで次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…。

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