修学旅行1日目:変容
短めですしこんな時間に更新なのは予約投稿ができるか不安だからもう1話更新しちゃえというヤケクソです。
諸事情あって今から寝るので予約投稿できなかったら夜まで起きれる自信がないので。
おみくじを引き終わって境内の写真などを一通り撮り終えて、みんなで感想を言い合いながら出口へ向かっていく。
「最初でこれなら、最後のとこはもっとすげぇんだろうな〜!」
「そうだね〜!」
僕は興奮した様子のみんなから少し遅れて歩く佐々木君にさりげなく近寄り、みんなには聞こえないように小声で声をかける。
「…佐々木君、大丈夫?」
「え、双葉君…?な、何が?」
佐々木君は、僕に声をかけられて驚いたような…誤魔化しているようだけど、図星をつかれたように目を見開く。何であの狐の女性が僕にだけ伝えたのかはわからないけど、ここに来る前から佐々木君は具合が悪いのを僕らに隠そうとしている節があった。
「無理には聞かないけど、困ったことがあったら何でも頼ってね?僕ができることなら何でも力になるからさ」
「双葉君、やっぱり君は…」
そうして何かを言いかけたような佐々木君の表情は、嬉しいようで泣きそうな不思議な表情をしていた。その表情にやっぱり何か辛かったのかと思って追及しようとしたあたりで、来るときにくぐった鳥居を通り過ぎた。
その時、さっきまで感じていた不思議な安心感が消え去ってまたゾワゾワと神経を逆撫でされるような感覚が帰ってくる。それと同時に、佐々木君が歩くスピードを落としながら俯いて黙り込む。
「佐々木君…?」
僕の声に顔をあげた佐々木君は、明らかにさっきまでと様子が変わっていた。前髪の隙間から見える瞳は、ここに来る前に偶然見た時とは違って細く鋭いものになっていて…明らかに濁り切った瞳をしていた。
佐々木君はその目と口元を歪めて笑みを浮かべながら口を開く。
「双葉君、よかったら少し二人で話をしない?」
「…!」
明らかに変わった話し方も、別人のような表情も、佐々木君が悪いものに憑かれていることを何よりも雄弁に語っていた。別人のように、ではなく本当に別人が乗り移っているんだから。
「…いいよ、他のみんなにはうまく言っておくから少し待ってて?」
「うん、お願いね」
不気味な笑みを浮かべる佐々木君のようなナニカに断りを入れてから班の他のみんなのところに小走りで駆け寄る。
「みんな!ちょっといいかな?」
「葵くん?どうしたの?…あれ、佐々木君も後ろにいるし」
声をかけた僕の方に振り向いたみんなは、僕の後ろの方で俯いて立ち止まっている佐々木君に気づいて心配そうに話し始める。僕は流奈ちゃんとケンの方を向いて二人の目を見ながら話す。
「その佐々木君なんだけど、少し体調がよくないみたいなんだ。僕らは戻って少し休んでから行くから、みんなは先に行っててもらってもいいかな?」
「え、それなら私たちも待つよ!」
「いや、少し人混みに酔っちゃったのもあるみたいだからさ。あんまり大人数でかこんでも悪くなっちゃいそうだし…ダメそうならすぐ先生を呼ぶからさ!」
「…そう?それじゃあ私たちは行くけど…何かあったらすぐ連絡してね!」
「うん、ありがとうね」
心配そうなみんなを見送ってから佐々木君のところに戻ると、彼は相変わらず不気味な表情でその場に立って僕を見つめていた。
「大丈夫だったみたいだね。それじゃあ行こうか?」
「…どこに行くのかは聞いてもいいのかな?」
「う〜んそうだなぁ。とりあえず二人だけでゆっくり話せる場所ならどこでもいいんだけど…あぁ、ここからならあそこがいいか!」
僕の質問にそう答えた彼は迷いない足取りでそのままどこかを目指して歩き始める。先導して歩く彼は時折僕がついてきているか確かめるように振り向いて見てくるけど、その度に見える表情が不気味で移動中に彼に何かを聞くことはできなかった。
そうして黙ったまま数分歩いて薄暗い路地に入っていく。彼は周りに人がいないことを確認してから近くにあった箱に腰掛けてこちらを見る。
「さて、それじゃあオハナシしようか?」
変容:姿・様子を変えること。姿・様子が変わること。
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作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…




