表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
英雄の誕生
8/139

転生後の初仕事

ご閲覧頂きありがとうございます。

 「スピリッツ様?そんなに慌てて、どうなさいました?」


 器用にも空中で尻餅をついてみせた女神スピリッツにそう声をかけると、信じられないものを見るような顔でこちらを見る。


 「ど…どうしてセラスさんがここにぃ…?」


 ビクビクとしながらこちらを見てそう言うスピリッツ様。


 どうして女神であるスピリッツ様がただの天使(してんし)である僕にわざわざ敬称をつけたり、ビクビクしているのかというと、スピリッツ様は神の中では中位の中級神にあたり、仕事上の実権で言うと最高神の一人である創造神レンの直属の部下である僕の方が自由が効くのだ。


 まぁ神と天使では、明確に神の方が上位と規則で決まっているのでここまでビクビクする必要はないと思うのだけれど…。


 「創造神レンからの命で、スピリッツ様の管理不足が原因で起きた不具合の解決のために先程この世界に転生してきました」


 「ひぅ…!ご迷惑をかけてすみません…!」


 「いえ、仕事ですので問題ありません」


 流石にビクビクしすぎだろう…。あくまで僕の方が立場は下なんだから、もっと堂々としていていいのに。それはそれとして、


 「それで?スピリッツ様こそ、どうして最高神の方々がお決めになった規則を破ってまで人間に姿を見せようとしているのですか?」


 「あ!えとぉ…そのぉ…」


 「まさか、ご自分の失態(しったい)挽回(ばんかい)しようとした結果、規則を破るという考えに至った…なんてことはないですよね?」


 「あぅ…そのまさかですぅ」


 スピリッツ様の答えを聞いて、思わずため息を漏らす。スピリッツ様はそのため息にもビクビクしているのだけど…。まぁ、ミスの挽回のためにミスを重ねていってしまうのは、上位存在に作られた信仰心マックスの神や天使にありがちなのだ。


 「全く、何をしているのですか…。そんなことを続けていれば、いずれ最高神のどなたかに消されてしまいますよ?」


 「はいぃ…すみません…」


 「第一、あなたは以前に仕事でご一緒した際にも言いましたが…」


 ついつい過去に仕事をした際に気になっていた点や、過去に注意したことや改善点をクドクド言ってしまう。上位存在に作られた信仰心マックスの神や天使にありがちなことのもう一つが、なかなか成長しないと言うことなのだ。


 こういう方達は自分の性能に疑問を持つということをしないから、失敗した時に訳のわからない方向に突っ走って行きがちなのだ。そして周りも失敗した者の間違いを指摘することもしないため、成長しないのだ。


 50億年の間に何度もそのような場面を見てきて、その度に失敗した方の立場関係なく注意してきたため、ある種の癖になってしまっている。


 「…ですから、スピリッツ様にできるのは、失敗を繰り返さないことでしょう?失った信頼を取り戻すには時間がかかるものですよ?」


 「はいぃ…すみません…」


 「…わかっていただけたのなら良いです。僕も立場を弁えない発言をしてしまいました。申し訳ありません」


 少し熱くなり過ぎてしまった…反省反省。


 「この話は一旦終わりとして、人間に姿を見せてまで何を伝えようとしたのですか?」


「えっとぉ…」


 僕の説教で半泣きになっているスピリッツ様はおずおずと語り出す。


 どうやら、自分の管理不足で世界の破滅に繋がったことを、なんとか挽回しようとした結果、ひとまず14年後の異変に備えるように神託をするつもりだったらしい。


 「もうご存知かもしれませんがぁ、この世界では『神の仮想体』がいるためぇ、私への信仰心が薄いんですぅ…ですのでぇ、姿を晒して神託をしようと考えたんですぅ…」


 「あぁ…なるほど」


 先程、情報収集の際に妙に信仰心を集めている人外が引っかかったと思ったらそう言うことだったのか。


 「世界の破滅については、僕の方でなんとかなりそうですので大丈夫ですよ。外から見ていて何か問題がありましたら呼びかけてください」


 「わかりましたぁ」


 しかし…どうしても引っ掛かっている点がひとつだけある。


 「ちなみに、僕が転生することは創造神から聞いていなかったんですか?」


 「はいぃ…セラスさんから聞いたのが初めてですぅ」


 …なるほどね。あのファッキ◯ゴッド本当にさっさとくたばらないかな!

 結局あのク◯神がちゃんと連絡してればよかっただけの話じゃあないか!この仕事が終わったらとりあえず創造神に文句を言いに行こう。


 「はぁ…わかりました。それでは僕は転生先の子の所に戻りますので、スピリッツ様もお仕事頑張ってください」


 「はいぃ。セラスさんもお任せしてしまって申し訳ないですけど、よろしくお願いしますぅ」


 ひとまずスピリッツ様と別れの挨拶をして、彼女が扉をくぐって帰っていくのを見送ってから体の元に帰る。


 …ひとまず母体とこの子の健康維持でもしてるかぁ。


前回に引き続き閲覧、ブックマークして頂けた方、誠にありがとうございます。

また、評価やいいねをつけて頂いた方も本当にありがとうございます。

いや…本当に閲覧数とか評価数を見て夢でも見ているのかと疑っているここ数日です。


Tips:セラス君ちゃんは仕事モードだと無表情で威圧感バリバリ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ