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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
戦闘狂の誕生
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聴取

短めです、すみません。

 あれから師匠に連れられてすごい雰囲気の護衛さん達をかき分けて深山さんのところに行くと、深山さんは初めて見る男の人と一緒に話していた。真剣な表情で話す二人のもとに師匠は割って入っていく。


 「深山、葵を連れてきたぞ」


 「あぁ、守宮様に葵君。お疲れ様です」


 深山さんと挨拶していると、隣に立っている男の人がこっちを興味深そうに見てくる。どうすれば良いものかと迷っていると、深山さんが男の人を紹介してくれる。


 「葵君、こちらは警視庁から来てくださっている福田さんだ」


 「どうも」


 深山さんに紹介されてそう短く答えて頭を軽く下げる福田さん。すごい厳つい人だなぁ…体も大きいし無精髭も生えてて、今まで出会ったことないタイプの人だ。


 「そして、こっちが昨日御息女と同行していた葵君です」


 「よろしくお願いします」


 僕が頭を下げながらそう言って、頭を上げたときに視界に入った福田さんの表情は、驚きの一色で染まっていた。なんだろう、何か変なことしちゃったかな?


 「…この子供が、守宮の嬢ちゃんが取り逃した奴の相手をしていたって言う子供かぁ?!」


 「えっと、多分その子供です…」


 そういうことかぁ…確かに冷静になって師匠が取り逃したってことを考えるとそういう反応になるのかぁ。


 「…まさかこんな綺麗な顔した子供だとは思わなかったぜ」


 「あ、あはは…」


 「とにかく、昨日の詳しい話を聞かせてもらいたい。ついてきてくれ」


 そうして福田さんに連れられて警察のシンボルがついた大きい車に連れて行かれる。車の中は落ち着いて話ができるスペースがあって、そこで話をすれば良いらしい。


 僕は福田さんに言われて何かよくわからない機械に手を乗せながら、昨日の事を覚えている範囲で全て答えた。福田さんは僕の話を聞き終わると、何かの画面を確認しながら頭をぼりぼりとかいて口を開く。


 「なるほどなぁ…とりあえず、言ってることは全部本当らしいな」


 「そうですが…なんでわかるんですか?」


 「あぁ、それは坊主が今手を置いてる装置でナノマシンの情報を読み取ってるんだよ。視覚情報とか聴覚情報とかな」


 「へぇ〜!そんなことできるんですね!」


 「ああ、まぁ一般人の取り扱いは禁止されてるけどな」


 なるほど、確かに手で触っているだけでいろんな情報抜き出せちゃったらまずいもんな。…そういえば、あれってどうなってるんだろう?


 「ちょっと良いですか?」


 「ん?なんだ?」


 「えっと、大した事じゃないんですけど…僕が気を失っている間って記録は残ってるんですか?」


 そう、僕が気を失ったあとどうなったのか単純に興味がある。僕の言葉を聞いた福田さんは、相変わらず頭をぼりぼりかきながら答えてくれる。


 「あ〜、気を失ってる間の記録は残ってねぇぞ?詳しい理屈はよくわかんねぇけど…」


 「あ、そうなんですね。ちょっと僕が気を失った後のことが気になっていたので残念です」


 「まぁとりあえず、聞いた話とナノマシンの情報の食い違いもねぇしもういいぞ」


 そう言った福田さんに追い出されるように車から出て、深山さんや師匠たちのところへ合流しに行く。


 「皆さん、お待たせしました」


 「おう、そんじゃこれから一条家の方々と合流して慰霊碑に向かう」


 今日の予定は、泊まったホテルから40kmほど離れた場所にある龍災による死者の慰霊碑に向かって献花などをすることになっている。テロリストによる襲撃で予定を変更する案も出たけど、僕が気絶して休んでいる間に協議されて予定通りに行うことになったらしい。


 「今日は護衛全員が常に武器の携帯を認められている。全員昨日以上に注意して護衛にあたるように」


 「「「はい!!」」」


 師匠の号令で全員それぞれの武器を取りに一旦解散する。師匠も自分の大鎌を荷物から取り出して日程や隊列の確認をしながら一条家の方々を待つ。


 「今日は仮想体の頻出範囲に行くことになるから…」


 「出現した場合の対応は…」


 諸々の確認をしながら待って数分もすれば、ロビーのエレベーターが開き一条家の方々が出てくる。…幸いなことに、いつものように両親の影に隠れるお嬢様の顔色は悪くなかった。


当然の如くセラスが出ている間の記録は情報操作されています。


閲覧、ブックマーク、評価やいいねして頂けた方、誠にありがとうございます。

感想も励みになっています。誤字報告も助かります。


作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…

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