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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
英雄の誕生
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熾天使さんと一条という天才

頭痛が取れない今日この頃

 一条先生は、真剣な表情で葵を見つめて来る。検査で何に気づいたのかはわからないけど、どこか確信を持っているような表情だった。


 『君の持つ力と回路だが、力の使い方のわからない1歳半の子供のものではなかった』


 『んぅ〜?』


 大きな力を持つだけで、知性は1歳半の子供そのままの葵は何も理解できていないで眠そうな顔をしている。そんな葵を見てなお、一条先生は話をやめない。


 『君は明らかに異能を使い慣れている。ここまで使い込まれて最適化された回路は、仮想体と最前線で戦っている人間でもなかなか見ないレベルだよ』


 あぁ〜、僕が葵の力を使いやすいように回路を色々いじっちゃったのが不味(マズ)かったか。僕が自分の失敗を確認しているところに、一条先生はさらに言葉を続ける。


 『葵君がここまで異能を使い込むほどの知能があるのだとしたら、君の両親や他の身内が気づかないわけない。何より葵君の祖母は研究者泣かせの看破持ちだしね』


 『だからこそ、さっきから私は葵君ではなく君に話しかけているのだけど。反応はしてくれないのかな?』


 『ほぁあ…』


 呑気にあくびをしている葵に癒されつつも、どう対処するか思考を巡らせる。


 う〜ん…とりあえず出てみないとわからないな。結局一条先生がどうしたいかがわからないし、それを確かめるには僕が出ないといけない訳だし。よし、葵には寝てもらって精神交換。


 「…!」


 精神交換して肉眼で確認した一条先生の表情は、驚愕に染まっていた。…うん、相変わらず女の体になって髪も伸びてるなクソ。


 「わざわざふたりきりにして、ぼくになにをしたいんですか?」


 僕がそうして声をかけると、一条先生は驚愕で目を見開いたまま口を開く。


 「…すごいねこれは、ここまで変化があるとは思っていなかったよ」


 「ここまでへんかがあるからでたくなかったんですけどね」


 僕の言葉に「なるほどね」と納得しつつ、興奮を抑えられない様子の一条先生は何度も質問を投げかけてくる。


 「骨格まで変化しているようだけど、これはどういう原理なんだい?」


 「おしえられません」


 多分あのク◯神のせいだし


 「私の呼びかけが聞こえていたようだけど、普段はどうしているんだい?」


 「あおいのなかにいてあおいとおなじものをかんじているだけですよ」


 葵以上のものも知覚しているけど、嘘は言ってない。


 「葵君に対して敵意があったりはするのかな?」


 「ないですよ、あおいにはできるだけながいきしてほしいぐらいです」


 その方が僕は休暇をエンジョイできるし。


 「回路の最適化や、異能を使い込んでいたのは君なのかな?」


 「ひまつぶしていどですけどね。できるだけあおいにはつよくなってほしいので」


 その方が僕が手を貸さずに世界を救ってくれるだろうから。…っていうかなんで僕はこんな真面目に質問に答えてるんだ。あとで記憶操作したら結局意味なくなるじゃないか。


 「そろそろぼくからしつもんしてもいいですか?」


 「あぁ!すまないね、興奮しすぎてしまったよ。なんでも聞いてくれ」


 未成熟な葵の体では舌足らずになってしまうけど、問題なく受け答えできている。僕の言葉にようやく少し落ち着きを取り戻した一条先生は、僕の次の言葉を待つ。


 「いちじょうせんせいは、このことをしってどうするんですか?」


一条先生は、僕のその言葉に一瞬きょとんとした表情を見せて、すぐに笑って答える。


 「別にどうもしないよ。君が答えたくないことを聞くつもりもないし、君が他人に知られたくないというなら教えるつもりもない」


 「……へぇ」


 驚いたことに、一条先生のその言葉に嘘はなかった。僕が不可視モードの天使の輪でしっかり心の中を確認したんだから間違いない。


 「うそはいっていないみたいですね」


 「…もしかして、心を読むこともできるのかい?!」


 一条先生の心は、バケモノのような知識欲とそれに負けないほどの倫理観と良心を持ち合わせていた。一体どんな生き方をしたらここまで相性の悪いものが両立できるのか、過去視で確認したいほどだ。


 「できますよ…だからといってこころのなかだけでかいわをすまそうとしないでくださいね?いちいちこころをよむのもめんどうなので」


 「うっ…そうか、それはすまないね。好奇心が抑えられなくて…」


 やってたのかよ…。


 「まぁ、ひとまずナノマシンを入れて戻ろうかネ。あまり時間をかけてはご両親が心配するからネ」


 「そうですね、おねがいします」


 そうして落ち着きを取り戻した一条先生に連れられて、ナノテク研究室の中にあった施術台に乗せられ、注入機のようなものを押し当てられる。


 「じゃあ入れるヨ〜、痛みはないからネ〜」


 おぉ…本当に痛くない。科学の力ってすげー!まぁ痛くても別に問題ないけど。


 「使用できるようになるまで5分ぐらいかかるからネ」


 「わかりました。ではもどりましょうか」


 「そうだネ」


 そうして一条先生に抱き上げられて戻ろうとした時、一条先生が「あ、そうダ」と声をあげる。


 「とりあえず、他の人には隠しておけばいいんだよネ?」


 「そうですね、きろくもできるだけのこさないでください。いちじょうせんせいがこじんでつかうぶんにはいいですけど」


 僕の言葉に一条先生は笑顔で頷く。それを確認して僕が葵と精神交換しようとしたところで、また一条先生が声をあげる。


 「そうダ!最後に一ついいかナ?」


 「…こたえられることなら」


 少し警戒しながらそう返す僕に、一条先生は笑顔で言う。


 「君の名前を教えてくれないかナ?」


 あぁ、そういえば言ってなかったな。…別に教えたところで何になるわけでもないし、いいか。


 「…セラスですよ。すきなようによんでいただいでかまいません」


 「ウン、改めて私は一条だヨ!よろしくネ、セラスちゃん!」


 そう言った一条先生は満足そうな表情で扉に向かっていく。…うん、前言撤回。


 「やっぱり、セラスちゃんはなしでおねがいします」


 「エ、かわいいのにネ」


 だから嫌なんだよ!僕はそれだけ言って葵と精神交換したけど、葵の耳にはケラケラと笑う一条先生の声が聞こえていた。


Tips:実は感覚の共有は葵君ちゃんからの一方通行


前回に引き続き閲覧、ブックマークして頂けた方、誠にありがとうございます。

また、評価やいいねをつけて頂いた方も本当にありがとうございます。


作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…。

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