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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
英雄の誕生
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お仕事見学-2

お仕事見学まだ続きます。

 母との挨拶を終えた綾香ちゃんさんは、そわそわした様子を見せながら葵に視線を向けてくる。


 『もしかして、そちらが優華先輩のお子さんの…?』


 『ええ…息子の葵よ。ほら葵、こんにちはしましょう?』


 母にそう言われた葵は、人見知りしているのか母に隠れて顔だけ覗かせながら口を開く。


 『…こんにちは?』


 その言葉を聞いた綾香ちゃんさんは、浮かべていた笑顔をさらに深いものにして葵に目線を合わせてくれる。


 『こんにちは、私は綾香って言うの。綾香ちゃんでもおねぇちゃんでも好きに呼んでね?』


 『んぅ』


 葵は恥ずかしそうにしながら母に隠れるように抱きつく。母は困ったように笑いながら綾香ちゃんさんに声をかける。


 『ごめんね綾香ちゃん、この子最近人見知りが始まっちゃって。すぐに慣れると思うから』


 『いえいえ!とっても可愛らしいですね!最初見た時は女の子かと思っちゃいました』


 そうして母と綾香ちゃんさんが雑談をしている間に興味が出てきたのか、母の影からチラチラと綾香ちゃんさんを見ている葵。二人もそれに気づいて、言葉にはしないが笑みを深めている。


 『それでは、そろそろお時間になるので向かいましょうか』


 『ええ、お願いね』


 すると、綾香ちゃんさんは両手を僕らの方に差し出してくる。


 『葵、おねぇちゃんとおてて繋ぎましょうね?』


 『葵くん、おててつなご?』


 おそらく転移するのに体が接触している必要があるんだろう。母も差し出された片方の手を握っている。蒼もなんとなく察したのか、しれっと綾香ちゃんさんの足に前足を乗せている。


 『ん…』


 葵は恥ずかしそうにしながら、差し出された手を握る。綾香ちゃんさんも笑顔を浮かべながら葵の手をしっかりと握り返し、異能を発動させる。


 『じゃあ行きますね、〈転移〉』


 綾香ちゃんさんが気で僕らを包みながらそう言うと、一瞬で景色が変わる。先程までののどかな広場から一変して、目の前にはかなり大きい超高層ビルが現れていた。


 『到着です!ようこそ【対仮想(たいかそう)】へ!』


 入り口のそばにある看板には、(あかつき)対仮想(たいかそう)生命体機構(せいめいたいきこう)とあった。今更だが、(あかつき)というのが僕が転生したこの国の名前だ。言語などはほぼほぼ僕の前世と同じで、異能をもとにした技術や科学がかなり発展している。


 『久しぶりだけど、みんな変わりないかしら?』


 『はい!今日はほとんど事務所にいるので、声をかけてあげてください!』


 母は少し懐かしそうに建物を見ている。暁対仮想生命体機構、略して対仮想はもともと両親が働いていた職場で、国営の仮想体についての何でも屋のようなものらしい。以前、蒼が悪霊に取り憑かれて暴れていた際に鎮圧に来た人たちも対仮想の人たちだ。


 『今日は見学と検査ですよね、受付に行きましょうか』


 『ええ、改めて今日はよろしくね?綾香ちゃん』


 …ん?検査?なんだろう、見学だけじゃあないのか。


 そんなことを思っても僕じゃあ聞けないし葵も対仮想の超高層ビルに目をキラキラさせてそれどころではなかった。


 母と綾香ちゃんさんは、ささっと受付を済ませてエレベーターに乗り込む。エレベーターはガラス張りで外の様子が見れて、葵も目を輝かせっぱなしだった。


 『ちょうど康太先輩達が訓練しているはずなので、まずは見学にしましょうか』


 『そうね、お願いするわ』


 綾香ちゃんさんが階数のボタンを押すとエレベーターが動き出す。父が訓練をしているのはかなり上階のようで、グングンとエレベーターは上に登っていく。葵のテンションも上りっぱなしである。


 『綾香ちゃん、今日の訓練は何をしているの?』


 『今日は討伐訓練ですね!康太先輩も口には出さないですけど、かなり張り切ってましたよ!』


 『ふふっあの人らしいわね。無理して怪我しないといいのだけど』


 そんな会話をしていると、エレベーターが停止する。扉が開いた先には、以前蒼の鎮圧に来た人たちと、制服を身につけた父の姿があった。


Tips:葵くんちゃんは一見女の子


前回に引き続き閲覧、ブックマークして頂けた方、誠にありがとうございます。

また、評価やいいねをつけて頂いた方も本当にありがとうございます。


作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…。

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