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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
英雄の誕生
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祖父母の来訪

 なり損ない爆発事件から数ヶ月が経った。


 あれからしばらく両親が目に見えない仮想体が近くにいる可能性を警戒して、常に二人が近くにいるようになっていた。しかし爆発を起こさずになり損ないを浄化できるように回路を改造したことで、少し経てば両親もだんだんと落ち着いてきていた。


 そして葵はというと、すでにハイハイを覚えて子供部屋を縦横無尽(じゅうおうむじん)に這いまわっている。最近では僕がエネルギーを循環させる感覚を覚えたのか、僕がいじっていない時も一人でエネルギーを循環させて回路の活性化をしている。


 幼いうちからこんな英才教育をしていたら、将来神童と呼ばれる日も近いな!


 そうしてなり損ないを浄化しつつ、ハイハイで危ない場所に行きそうになったら仕方なく入れ替わってベッドに戻ったりしながら過ごしていると、珍しく両親以外の人が訪ねて来た。


 見た感じ50代ぐらいの男女で、男性は厳しそうな印象でどことなく父親に似ていて、女性は落ち着いた雰囲気がある。


 『康太、葵はどうだ』


 『はい父さん、不可解なことはありましたがが元気に育っています。』


 『例のあれか』


 どうやら父親の両親が会いに来たらしい。父親は両親に僕が起こした爆発事件を相談していたようで、今日は色々と様子を見に来たらしい。少し輪で探ってみれば、祖父の異能が『強度上昇』で、祖母が『看破』らしい。ついでに父親は康太というらしい。


 多分、現場検証ついでに孫の顔を見に来たんだろう。祖母は異能を使って家の中を調べ始めている。


 祖母が家の中をしばらく回っている間に、両親は祖父に対して事情説明をしていた。十分ほど経って事情説明も終わったあたりで祖母が戻ってくる。


 『環境には特に問題はないわね。最後に葵ちゃんを見せてもらってもいいかしら?』


 『はい…お義母さん、お願いします』


 不安そうな母親が見守る中、祖母が近づいてきて葵を抱き上げる。とても優しい手つきで、葵もかなり安心している。祖母は葵に笑いかけると、『看破』の異能を発動させる。


 『母さん、どうですか?』


 『…なるほど、どうやらあなた達の息子は将来有望みたいね』


 『というと、あの爆発は葵が…?』


 『ええ、おそらく葵ちゃんが無意識のうちに異能を発動させたのでしょうね』


 不安そうに尋ねた両親に、祖母は優しく微笑みながらそう答える。…よかった、僕の存在までは読み取れないらしい。葵がおねしょ的な感じで力を使ってしまったのだと解釈してくれた。


 『私の看破では、葵ちゃんは炎の気と強化系の異能を持っているみたい。何か怖いことがあって、異能を発動させながら気を出してしまったんでしょうね』


 『そうですか…じゃあ何かに憑かれたりしているわけではないんですね』


 『ええ、全く問題ないわ。むしろ元気な証拠よ』


 その祖母の言葉を聞いて、両親はようやく心から安心できたのか、一気に肩の力が抜ける。そんな両親の横を抜けて祖父が葵に近づいてくる。


 葵の視点では、いかつめのおじさんが近づいてきて顔を寄せてくるので、どんどん不安がっている。


 『うむ、元気で良い』


 『あう…?』


 祖父はそっと壊れ物を触るように優しく葵の頭を撫でて一瞬笑顔を見せると、スッと離れていく。


 『よし、あまり長居しても悪い。そろそろ行こうか』


 『あら、もう良いんですか?せっかくかわいい孫に会えたのに』


 帰ろうとする祖父に、祖母が意地の悪い笑みを浮かべながらからかう。祖父は少し表情を崩すが、未練がましそうに葵の方をチラチラと見てくる。


 結局、祖母に両親も加勢して来て根負けした祖父は、夕食まで食べて葵にとんでもない額のお小遣いを渡して帰って行ったのだった。


ネタバレ:葵くんは将来男の娘


前回に引き続き閲覧、ブックマークして頂けた方、誠にありがとうございます。

また、評価やいいねをつけて頂いた方も本当にありがとうございます。


作者プロフィールにあるTwitterで次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 葵くんの性別が男と聞いて、百合スキーの自分は少しがっかりしてしまったのですが、おとこの娘なら全く問題無いですね!!!!!!!!! [一言]  文章も読みやすくお話も面白いので楽しく読ませて…
[一言] 男の娘なのか。成程? 性癖破壊… ガチ恋量産… “葵”という性別… …うむ!将来有望だな!!
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