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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
ふたりの異能
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お土産を渡そう-2

少し空きましたが更新です。

読んでくださっている方々、本当にいつもありがとうございます。

 大量の荷物を抱えて、いつもよりもきっちりとした服装で玄関に立つ。


 「葵、休んでなくて大丈夫なの?」


 「うん。気分転換にもなるし、そろそろ行かないとと思ってたから」


 心配そうに声をかけてくるお母さんにそう返して、僕は家を出る。片桐さんには連絡をしてあるし、そんなに時間はないけどまぁ大丈夫だろう。


 「じゃあお義父さんとお義母さんによろしくね?それと他の人たちにも失礼のないようにね?」


 「うん、それじゃあ行ってきます」


 そうして重い荷物を抱えながら家の前の階段を降りると、片桐さんが車の前で待機していた。片桐さんには朝連絡したばかりだったけど、直ぐに準備をしてくれたのは本当にありがたい。


 こちらに気づいて深々と頭を下げる片桐さんに僕も頭を下げてから声をかける。


 「片桐さん、おはようございます。今日は突然来てもらってすいません」


 「いえ、仕事ですので。お荷物は後ろに積んでしまって構いませんか?」


 「はい、ありがとうございます」


 手早く僕から荷物を受け取ってくれる片桐さんと一緒に車に荷物を積み込んで車に乗り込む。それにしても…本当に片桐さんは予定とか大丈夫だったんだろうか?いつもなら一週間前とか予定が決まった時に連絡しているから、今日みたいに当日に連絡を送ったことはなかったんだよな。


 「…片桐さん、今日は突然の連絡になってしまってすいません。予定、大丈夫でしたか?」


 「えぇ、私は現在葵様の使用人としての業務がメインですから。葵様以上に優先する予定はありません」


 う〜ん…確かにおじいちゃん達からそんなことは聞いていたけど、休暇とかの予定もあるだろうに。そんなことを考えていると、珍しく片桐さんの方から話題を振ってきた。


 「それにしても…ここまで突然の連絡は珍しいですね?」


 「えぇ、ちょっと昨日の件で気分転換をしようと思いまして。あっそうだ、片桐さんには言ってなかったですけど…僕の中にもう1人居て、そっちに引っ張られて昨日は体が変わってしまっていたみたいです」


 「そうなんですか……今なんと?」


 「うわっ!」


 普段の片桐さんからは考えられないような勢いで僕の座る後部座席の方に振り返った片桐さんに、思わず情けない声が出てしまう。まぁ普通に考えて理解できないよなぁ…どうやって説明しよう。


 「私の聞き間違いでなければ、その…葵様の中に、もう1人居る?と聞こえたのですが?」


 「えぇ、そうなんです。実は僕の中にもう1人いるんですが、その方が女性でして。どうやらそちらに引っ張られてしまったみたいで」


 「……???」


 僕の説明に片桐さんが完全に思考停止した様子で固まってしまう。幸い車は自動運転で走行しているので事故の心配はないけど、普段ハンドルから手を離さないで進行方向だけ見ている片桐さんからすると考えられない様子だ。


 「その…申し訳ありません。信じていないのではなく、少し衝撃が大きく…」


 「あはは…そうですよね、僕も色々と驚きましたし。あっ!見てもらった方が早いかもしれないですね!」


 「見て…?」


 まだ飲み込めていない様子の片桐さんには申し訳ないけど、まぁ実際に見た方が理解も早いだろうと思ってセラスさんに呼びかける。


 「(セラスさん、聞いてましたか?ちょっとお願いしたいんですけど)」


 『…まぁ、葵が良いなら良いけどさ』


 「(?)」


 セラスさんのよくわからない返事を少し不思議に思いながらも、セラスさんと交代する感覚が僕を包む。


 「あの…葵様?見てもらった方が早いという…の…は?』


 『…一応、初めましてですかね。セラスです』


 片桐さんが話している途中でセラスさんと入れ替わって、音や視界がセラスさんを通してのものに切り替わる。困惑し切った様子の片桐さんにセラスさんが簡潔な自己紹介をしているけど、片桐さんはセラスさんを見たまま固まってしまっている。


 『まぁ…こうなるだろうね』


 あっ…すいません、説明お願いしても良いですか?よく考えたらセラスさんに変わったら説明できないや。


 『(はいはい)』



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 数分後…セラスさんが一通りの説明と、セラスさん自身の自己紹介を済ませたあと片桐さんも一応落ち着きを取り戻してハンドルを握り直していた。


 『なる…ほど。理解しきれない部分はありますが、納得はしました』


 『ご理解頂いてありがとうございます。まぁ僕はそこまで積極的に出てくることはないので、葵とはこれまで通り接してもらえれば』


 『かしこまりました。…ちなみにセラス様、葵様は今どういった状態なんでしょうか?』


 『ただ僕の中にいて、僕が見聞きしている内容…この会話も聞いていますし、僕となら話せていますよ』


 『そうですか…』


 片桐さんとセラスさんがそんな会話をしているのを聞きながら、なんとなく師匠とか大人の会話って感じだなぁなんて感想を抱いてしまう。やっぱりセラスさんはすっごく長く生きてるって言っていたし、片桐さんもなんとなくそれがわかるのか大人への対応って感じだよなぁ。普段の対応もお仕事って感じだけど、こうして中で聞いていると対応の差がはっきりとわかる。


 『…じゃあ、葵も暇してるみたいだし僕は引っ込みますね』


 えっ?セラスさんもう戻るんですか?


 ちょっと考え事をしている間に片桐さんとの会話も終わったみたいで、セラスさんがそんなことを言って僕とセラスさんが切り替わる感覚があった。


 「…切り替わるのは一瞬ですね」


 「はい、見ての通り今は葵です」


 流石に二回目だからか、片桐さんは感心したような様子すらあった。…そういえば、昨日セラスさんの体であった時に直ぐに僕だと気づいていたのはなんでだろう?何かそういう異能なのかな?


 『違うよ、あれはそういうものなんだ』


 …?どういうことですか?


 『気にしないで』


 …わかりました、セラスさんがそういうなら気にしません。


 まぁとにかく、片桐さんへのセラスさんの紹介は終わったな。よく考えたら、おじいちゃんたちにもセラスさんのこと紹介しなきゃだよなぁ。まとめてすればよかったかも。


 『…え?あの人たちにも僕の紹介するの?』


 え?当たり前じゃないですか?家族ですよ?


 『…えぇ?』


もう1話上げる…かも。

あんまり期待しないでくださいませ。

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