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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
ふたりの異能
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覚醒前夜

唐突に葵視点に戻ります。行ったり来たりですいませんね。

 体が宙を舞っている。セラスさんを起こそうと必死に本の隙間を縫って突撃した後、体を襲った衝撃に思わず目を閉じたけれど…不思議と僕の意識は消えていなかった。その理由はすぐにわかった。


 「随分と迷惑をかけたみたいだね」


 「…流石に寝過ぎじゃないですか?」


 珍しく申し訳なさそうな表情のセラスさんの言葉を聞いて、僕は全てが解決したことを確信した。あれだけ激しく衝突してなんで無事なんだろうとか色々と疑問はあるけれど、セラスさんがなんとかしてくれたんだろう。


 「え〜っと…あぁ、そこまで時間は経ってないみたいだね」


 「いや丸一日経ってますけど?」


 「それはごめんなさい。これでも早い方なんだけどね?」


 頭をかきながらそんなことを言うセラスさんに心底起こせて良かったと安心する。寝言であと200年とか言ってたのは本当だったのかもしれない…。流石にそんなに寝ていられたら僕の寿命が足りない。


 「とりあえず体は戻しておいたから安心してよ。いやぁ本当に申し訳ないね」


 「…よかったぁ」


 元々女性に間違えられやすい容姿をしているのが認めざるを得ない事実なのはここまでの人生で諦めていたけれど、流石に性別そのものが変わってしまうのは嫌だったからなぁ。


 「それにしても、なんでこんなに目覚めるまでに時間がかかってしまったんですか?」


 「え〜っと…」


 僕が投げかけた素朴な疑問に、セラスさんは困ったような表情で考え込む。これまでもセラスさんは僕に対して何かを隠しているような様子はあったけど、流石に今回みたいに問題が起きた時ぐらいは教えて欲しい気持ちがある。


 「もしかしてお母さんと出かけた時に何かありましたか?」


 お母さんと出かけた時にお母さんを何かから守るために問題が起きたとかならセラスさんは何も悪くないし、そうでなくても今後同じことが起きた時のために対処法ぐらいは教えておいて欲しいものだ。


 「う〜ん…」


 僕の言葉にセラスさんはさらに頭を抱えて悩みこんでしまう。…聞いちゃいけないことなのかな?やっぱり教えてくれなくていいです、と口を開きかけた時、セラスさんが意を決したように僕に向き直る。


 「よし!もう教えちゃおう!別に良いだろ!」


 「えぇ…?大丈夫ですか?」


 前々から思っていたけど、セラスさんは自分のために何かを隠しているというよりは僕が知らないルールのようなものを守るために隠し事をしているような節があった。それをそんな勢いで僕に話してしまっていいんだろうか…?


 「良い!…はず!言うなとは言われてないし!」


 「…大丈夫かなぁ?」


 心配する僕を置いて、セラスさんはなぜか今までしまっていたのか見えないようにしていた3対6枚の翼を広げ、王冠のような輪を頭上に出して口を開く。


 「僕が天使なのはもう知ってるよね?」


 「えぇ、見ればわかりますし…」


 仮想体に近い存在なのかなぁとか、異能から生まれたとかそんな感じなのかと勝手に想像してたけど…。


 「簡単に言ってしまえば、僕はこの世界の存在じゃないんだ」


 「……はい?」


 僕の予想はすごく簡潔に否定されてしまう。…この世界の存在じゃない?


 「さらに言えば僕は50億年以上存在してる」


 「………はい?」


 ………………はい?



 「葵?大丈夫?」


 「はっ!?」


 しまった、セラスさんと話している途中なのに若干意識が飛んでしまった。流石に色々あって僕も疲れてたのかな?夢の中で夢を見ると言うのもおかしな話だけど、セラスさんが実はこの世界の外から来た50億年以上生きてる天使だなんてそんなおかしな夢…


 「それで僕が外の世界から来た50億年以上生きてる天使だって話だけど」


 「うぼぁ」


 夢だけど夢じゃなかった…何を言ってるんだ僕は?


 「葵…本当に大丈夫?」


 「だ、大丈夫です…僕は大丈夫なので続きを聞かせてくださいお願いします」


 「う、うん…それでなんで丸一日寝てたのかって言うと、単純に久々に寝たら寝過ぎちゃっただけなんだよね」


 「…え?それだけですか?」


 「うん、僕もびっくりしたよ。たかが数千年ぶりに時間を気にしないで寝ただけなんだけどね」


 「…」


 あぁ…理解したくないけどなんとなく理解してしまった。この人(?)はそもそも僕らと生きている尺度が違うんだ。数千年まともに寝てないならそりゃ200年ぐらい寝たくなるだろう…。


 「葵には前に教えたけど僕は睡眠も食事も生物的な行動は元々必要じゃないから、寝るのは僕の趣味みたいなものなんだけどね」


 「…そうなんですね」


 なんか…逆に起こしたのが申し訳なくなってきた。僕の体が変わったのはそりゃあ嫌だったけど、それは僕が嫌なだけだし…もうちょっとぐらい寝かせてあげてもよかったかも。


 「まぁとにかく体は戻したし、これからは色々と僕も気をつけるから安心してよ」


 「…わかりました。セラスさんがそう言うなら僕は気にしないことにします。でも寝たくなったら好きなだけ寝てて大丈夫ですからね?」


 「はは、ありがとう。まだ話したいことは色々あるけど…とりあえず起きる前に話しておくことがもう一つだけあるんだ」


 「はい、なんでしょう?」


 別に起きてからでも話せるし、わざわざ夢の中で話したいこと?そんなことを思いながら次のセラスさんの言葉を待つ。


 「葵には、これから夢の中で僕の力の使い方を訓練してもらいたいんだ」


 「…セラスさんの、力?」


活動報告にただの趣味をあげておきますんで気が向いたらどうぞ

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