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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
ふたりの異能
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かわるがわる-2

久々の更新でございます。あとがきで少し自分語りしています。

 朝のホームルームでの騒ぎ以来、僕のクラスのみんなは僕の体について必要以上に騒いでは来なかった。


 体育の時には1人でトイレに行って着替えたりと面倒だったけど、思ったより体のサイズは変わらないみたいで普通に僕が普段着ている体操服を着れた。…まぁ、胸の辺りは張るけど。


 …そういえば、セラスさんが前に「僕はトイレとかは行かないから」と言っていたことがあった。あれはセラスさんが僕に分からないようにどうにかしているのかと思っていたけれど、この体は本当にトイレなどは必要ないようだ。


 朝ごはんもしっかり食べたけど、これまで1度もトイレに行きたくはならなかった。色々と直視しなくて済むので理屈はよく分からないけどとても助かる。


 ……ただ、困ったことはいくつもあった。


 最初に起こったそれは、体育の授業でサッカーをしている時の事だった。


 慣れない体に戸惑いながらも普段通りに男子のチームに入って試合が始まり、ボールに向かって走り出した時から違和感は感じていた。師匠達との訓練や実戦で鍛えた身体能力を学校で出す訳にも行かず、普段から力を押えてやっていた感覚が残っていたから最初だけは上手くいっていた。


 ただ……


 「アオ!パス!」


 「オッケー!」


 僕の走るスピードに合わせて蹴り上げられたボールに向かって地面を踏みしめた次の瞬間、僕はサッカーコートの外にいた。


 「……え?」


 「……はぁ?!」


 思わず困惑の声を上げた時、後ろの方から同じように驚いたケンの声が聞こえて振り返る。


 すると、僕が先程まで居たはずのサッカーコートからは50mぐらい離れていた。…そして僕がいる場所とさっきまでいた場所を繋ぐように地面が軽く抉れている。


 普段学校の皆に合わせている感覚で踏み込んだ地面は何かが爆発したかのように窪んで、周りを走っていたクラスメイトは土埃を浴びてしまっていた。


 ……セラスさんの力が強すぎる。


 幸運なことにクラスメイト達はなんの怪我もしていなくて、グラウンドも盛り上がった土を戻せば修復できた。それでも力を制御出来ないせいで誰かに怪我をさせてしまうことがないように、体育は見学することになったけど。


 「アオの異能ってすげーんだなぁ…」


 「う〜ん…まぁそうと言えばそうなるのかな?」


 何故かサボって僕と一緒に見学し始めたケンとみんながサッカーしているのを眺めながらそんなことを話す。


 「俺の異能はなんかよくわかんねぇんだよなぁ」


 「そういえばケンの異能って聞いたこと無かったね?」


 「言ってなかったか?」


 ケンの異能が何なのかは今まで1度も聞いたことがなかった。特別聞く機会がなかったのもあるけど、ケンが人に言いたくないのかと思って聞かないでいた。


 ただ、ケンとしてはただ単に聞かれなかったから言っていなかっただけだったらしい。聞いてみたらあっさり答えてくれた。


 「俺の異能は『クロノスタシス』って異能らしいぜ?」


 「クロ…なんて?」


 「クロノスタシスだよ。知ってるか?」


 「……なにそれ?」


 ケンの言った異能は聞いた事も無いような名前で、意味もよく分からない。ケンは僕が何も分かっていないのを見て取ると、面白そうにしながら意味を説明してくれる。


 「俺も異能の名前聞いて初めて調べたんだけどよ、なんか時計の針が止まって見えるらしいぜ?」


 「…???」


 「あ〜…時計をぼーっとみてるとさ、さっきまでより時計の針が進む時間が遅く感じるって事ないか?」


 「あ〜…あるかも」


 ケンにそう言われてようやくなんとなくの意味を理解して、確かにそんなことがあるかもしれないと頷く。


 「なんかそんな感じなんだとよ?」


 「…使うとどうなるの?」


 「よくわからん」


 「えぇ…」


 なんとも言えない空気が僕らの間に流れるが、ケンは自分の異能の事でも特に気にした様子もなく僕の異能の事を聞いてくる。


 「まぁ俺の異能はよくわかんねぇしいいけどよ、アオの異能でなんで女の体になるんだ?」


 ケンには僕の『過剰出力(オーバースペック)』の事は言ってあるから、それがどうなればこんなことになるのか分からないんだろう。


 「それが僕も正直よく分からないんだけどさ、僕って実は二重人格?だったみたいなんだ」


 「はぁ?」


 僕の返事にケンは信じられないものを見るような目でこちらを見てくる。だけどすぐに僕の顔を見て嘘じゃないことが分かったのか、真剣な表情に戻った。


 「…なに?もうひとつの人格とやらに悪さされてそうなったってことか?」


 「う〜ん…そうとも言うような」


 「なんだよハッキリしねぇな」


 そこからケンについ最近セラスさんという僕の中にいたもう1人の人格の話を説明する。


 どうせ直ぐには受け入れられないだろうと思って話してみたものの、ケンは僕の話を真剣な表情で聞いてくれた。…動かぬ証拠として僕の体が女になっているということもあってかもしれないが。


 「ほーん…ま、そのセラスとか言うのが戻ったら俺にも紹介しろよ?」


 「…もちろん!」


 そうして体育を見学している間、僕はケンにセラスさんのことを教えたり、ケンの異能のことを聞いたりして過ごした。


 体育ではこんな感じでやらかしてしまった訳だけど、困ったことはまだあった。


お待ち頂いている皆様には大変申し訳ないのですが、これから不定期の更新になるかと思います。

まぁ不定期と言っても今回のように更新頻度が極端に落ちることはないと思いますし、そこまで長い間ではないと思います。

最近の気圧差とかで頭痛がひたすら続いていて集中して執筆できない状況だったり…まぁ単純にストレスが溜まっていたり夏バテだったりします。

完結までは確実に書きますし、今月はちょっともう片方の『昼行灯探偵』に時間を割きたい気持ちもあるので『熾天使さん』の更新頻度はいつもと比べても落ちてしまうと思います。

こんな稚拙な作品を読んで頂いている皆様には申し訳ないですが、たまに見にきて更新されていたらラッキーぐらいで気長に楽しんで頂けると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新してくださるだけでありがたいです。 [一言] 夏バテ、ストレス どちらか片方だけでも軽くなることを願っております。
[良い点] 更新ありがとうございます [一言] 楽しみにしながら気長に待っています
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