表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
英雄の誕生
12/139

名前と困りごと

先日投稿したものから改変してあります。

 出生から3ヶ月程経ち、あんなにしわくちゃでぶさいくだったあの子も天使のように可愛らしくなり、元気に「あ〜」だの「う〜」だの言ったり泣き喚いたりしている。


 『だぁ〜、あ〜』


 ちなみに、あの子に出生後与えられた名前は「(アオイ)」だった。今まで気にしていなかったけど、両親の苗字を確認したところ「双葉(フタバ)」だったから「双葉(フタバ)(アオイ)」になるわけだ。


 『あう〜』


 『お〜、元気か葵〜』


 名前の由来は、「清廉(せいれん)な人に育ってほしい」や、「歴史上の人物のような大物になってほしい」という意味が葵という字に含まれていて、苗字と合わせて双葉葵にすると、花言葉が「細やかな愛情」のフタバアオイと同名になることからだそうだ。


 生まれてすぐに、胎児あらため葵に両親が説明していた。可愛らしいけど凛々しい感じがぴったりだ。


 ちなみに、フタバアオイは僕の生前の世界では神事の際に使用されたり、徳川家の家紋の「葵の御紋」のモチーフだったりする。


 『きゃっきゃっ!』


 『お〜よしよし!』


 あぁそうそう、葵の性別は男の子だった。僕が見ていたのは、成長の過程の胎児の姿だけだったのであまり気にならなかったのだ。


 …そして、最近困っていることが一つ。


 『ふぎゃあああああ!』


 『お〜お〜、お腹空いたのか?一緒にママの所行こうな〜?』


 これである。葵の五感が僕に直結しているのか、常に葵の見たり聞いたりした情報や、空腹などの感覚が流れ込んでくるのだ。正直、情報はいくらでも処理できるしなんなら自分でモニターを増やして葵を見てるから良いんだけど、空腹などの生理現象については約50億年ぶりに感じていてかなり辛い。葵と一緒に泣いちゃいたい。


 (さいわ)いなのは、両親が二人で育休をとって育児をしていることだ。常にどちらかがついているので、葵が泣いている時に放置されることがないから助かっている。


 そして、五感の共有よりも困っているのが感情の共有だ。赤子ゆえのダイレクトな感情がそのまま僕に伝わってくるのだ。


 『おぎゃあああああ!』


 『あら〜葵くん、どうしたの〜?お腹空いちゃったの〜?』


 今も美人の母親に母乳を飲ませてもらって安心感が半端じゃない。寝ちゃいそう。


 約50億年の間、労働とク◯神に対する怒りを原動力に動いてきてあっという間に時間が流れていっていたけど、ここ五ヶ月ぐらい明らかに時間の流れが遅く感じる。


 ブラックホール企業(天界)での労働で人間性を失いかけていた心がどんどん温かさを取り戻していく。


 今僕の感情には、葵に直結した感情から両親に対する愛情が生まれ始めているし、葵に対しても、初めて生まれた弟を可愛がる姉のような気持ちにもなっている。


 …ん?姉?まずいな、天使でいた期間が長すぎて自分の性別認識が曖昧だな。


 まぁ、これから葵と体を共有してまた男の体に慣れていけばそのうち戻るだろう。僕の精神体も自然と天使の形になってるけど、いつかは「九識湊」時代の姿に戻れるかもしれないな。


 天使の体も、あの◯ソ神に押し付けられてからまともに抗議も出来ずになんだかんだで50億年経っちゃったからなぁ。馴染んじゃってるよなぁ…。


 よし、男の姿に戻れるように僕のリハビリも葵と一緒に頑張っていこう。



……なお、セラスは知らない。現在の精神体には創造神が天使の体を隠しているため、いくら頑張っても自分の姿は変わらないことを。

Tips:セラス君ちゃんは休暇が長すぎると働きたくなっちゃうタイプ


前回に引き続き閲覧、ブックマークして頂けた方、誠にありがとうございます。

また、評価やいいねをつけて頂いた方も本当にありがとうございます。


作者プロフィールにあるTwitterで次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ