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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
ふたりの異能
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昔の話

はい、自分で言ったことを破って投稿を遅らせて寝こけていたCryです。

本当にすいませんでした。


今回は葵視点です。

 家族のみんなにセラスさんを紹介して、凛月が眠った後に僕はお母さんとお父さんとリビングに居た。


 「どうしたんだ葵?修学旅行で疲れているだろう、早く寝たらどうだ?」


 「大丈夫だよ、それより気になってることがあって…お母さん、修学旅行の前にした約束覚えてる?」


 僕の言葉に不思議そうにしているお父さんからお母さんに目を移せば、お母さんは思い出したように笑顔を浮かべる。


 「そうね、帰ってきたら話すって約束したわね。セラスさんとゆずちゃんの事ですっかり忘れちゃってたわ」


 「ふふ、ごめんね急に色々紹介しちゃって」


 「いいのよ?嬉しいことばっかりだったもの」


 「…なんだ?約束とはなんの事だ?」


 お母さんと話しているうちについていけなくなっていたお父さんが僕とお母さんに聞いてくる。お母さん、お父さんには言ってなかったみたいだな。


 「ごめんなさいね、葵と修学旅行の前に約束をしていたのよ」


 「うん、蒼が家族になった時の話を聞きたくて…それとセラスさんがお父さんとお母さんを助けたって言う話も」


 僕の言葉にお父さんは得心がいった様で、何から話したものかとお母さんと顔を見合わせる。


 「じゃあまずは蒼の話から聞きたい」


「ふむ、ならそちらから話すか…」


 そうしてお父さんとお母さんは蒼の話とセラスさんに助けて貰った時の話を丁寧に教えてくれた。


 そっか…セラスさんが最初に夢で教えてくれた〈浄火〉が元は僕が使っていたものっていうのはそういうことだったんだ。


 しっかしセラスさんも知ってるなら教えてくれればいいのに…。


 『急によくわかんない天使から教えられても疑うでしょ』


 僕の心の声に反応してセラスさんの声が頭に響く。いつの間にか心の中でセラスさんと話すのも慣れていて、話しかけたつもりじゃない心の声に返事が返ってきても驚かなくなって来ていた。


 そんなことないですよ、話してる人が怖い人かは話してれば何となく分かりますもん!


 『……』


 今度はしっかりとセラスさんに返事をするつもりでそんなことを考えたけれど、セラスさんからの返事は無く沈黙だけが帰ってきた。


 …なんかため息をつかれたような気がするんですけど気のせいですか?


 『キノセイダヨ』


 …気のせいならまぁいいか。


 しかし、蒼が元は取り憑かれて暴れていた仮想体だったなんて…。強いのは知っているけど、普段家で凛月と遊んでくれているのを見ると昔そんな事になっていたとは全く思えないな。


 …あれ?そういえば。


 「そういえば、蒼がなんで取り憑かれてたのかって分かってるの?」


 「それがよく分かっていないんだ。葵が取り憑いていたモノを剥がした後は危険性が無いことだけは分かっているんだが…蒼がどこから来た仮想体なのかも未だによく分かっていない」


 「…それ大丈夫なの?」


 僕の言葉にお父さんは腕を組んで難しい顔をしながら僕に何かの画面を見せてくる。


 その画面に映っていたのは暁の地図で、僕らが住む街の辺りから東北の方まで赤い線が蛇行しながら伸びていた。


 「…これは?」


 「対仮想で追跡した蒼の痕跡だ。見ての通り規則性のない動きで、なおかつ蒼のスピードだと追跡にも限度があってな」


 なるほど、ある程度まで追跡は出来たけど蒼が速いから痕跡を追えた最後の地点から元々居た場所を特定するのは難しいんだな。


 「そういうことだったんだ…」


 「かなり強力な仮想体で取り憑いていたモノを取り除いた葵に懐いていた以上、必要以上に刺激するのは良くないというのが当時の対仮想の見解だったな」


 「そっか…後で蒼の住んでたところも探してあげたいね。もしかしたら家族が居るかもしれないし」


 「そうね、今は私達の家族だけど元の家族のところやお家に帰れないのは可哀想よね」


 お母さんの言う通り、真面目な蒼の事だから僕らを置いて帰れなくなってしまっているのかもしれない。


 お家が見つかれば蒼のことももっと知れるだろうし、しっかり時間が出来たら一緒に元のお家を探しに行こう!


 「それで、セラスさんについてだけど…詳しくはセラスさんの方が知ってるんじゃないかしら?」


 「セラスさん、そうなんですか?」


 お母さんの言葉でセラスさんに問いかけてみると、いつものように心の中で声が返ってくることはなかった。…けど、


 「詳しいことって言っても、僕から説明できるのはこれぐらいだけど」


 「「「!?」」」


 さっきまで何もなかった場所に、唐突にセラスさんの姿が現れて当然のように話し始めていた。


 「セラスさん!?僕と変わらなくても出て来れたんですか?!」


 「そうじゃなきゃ葵が生まれる前に僕がその2人を助けられるはずないでしょ?」


 そう言いながらセラスさんはリビングに置かれていた小さい招き猫の置物を取ろうとして…すり抜けていた。


 「異能みたいな力は普通に使えるけど、この通り体がないから物に直接触ったりはできないんだよ」


 そうやってセラスさんは僕らに見えるように手をひらひらと振って見せて来た。物に触れないのは不便そうだけど、これならセラスさんが他人とコミュニケーションを取る分には十分なんじゃないだろうか?


 「なるほど…そういえば、僕が生まれる前からセラスさんはその姿だったんですね?」


 僕の質問にセラスさんは段々面倒くさくなってきたような表情で答えてくれる。


 「僕は基本このままだよ。葵と替わる時は葵の成長度合いが反映されるけどね」


 なるほど…どうして僕が生まれる前から僕より心が成長していたのかとか不思議ではあるけど、セラスさんの存在自体が不思議の塊なのでそれ以上は気にしないことにしておく。


 「…じゃ、もう戻るよ?これ結構疲れるんだ」


 「あっはい!ありがとうございました!」


 そうしてセラスさんは心底疲れたような表情のまま、出てきた時のように忽然と消え去っていた。


 「セラスさん、すごく疲れてそうだったわねぇ…」


 「そうだね…」


 僕とは別に出て来れるなら…と思ったけど、アレじゃあ気軽に出て来れないだろう。


 『うん。だからこれからは…』


 やっぱり僕がやることがない時はいつでも変わりますからね!僕もセラスさんがいろんな人と関われるように頑張るので、セラスさんも遠慮しないでいつでも言ってくださいね!


 『…そう来るかぁ』


 …?どうかしました?


 『なんでもないよ…まぁ僕に変わってる時は葵の体と心は休めるから、休みたくなった時にでも変わってくれれば良いから』


 はい!わかりました!ありがとうございます!


 『…主人公らしいといえばらしいのかねぇ』


 ……?主人公?何か読みたい本でもあるんだろうか?


 その日はもうセラスさんが返事をしてくれることはなかったけど、とりあえず聞きたかったことは一通り聞けた。修学旅行前から気になっていたことも解消できて、その日は疲れもあってか久しぶりの慣れ親しんだベッドでいつも以上にぐっすりと眠れたのだった。


次の更新は明日中にですかね。明日は一日休みですし、流石にまた遅れることはないですよ!

ちなみに次はセラス視点です。

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