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熾天使さんは傍観者  作者: 位名月
境界に立つ
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修学旅行2日目:土御門様からの問題

今日の更新2つ目です!

 「それでは問題です。神の代行はこれまでに何度も世代交代しています。さて、神の代行はどうやって決まっているのでしょうか?」


 「…質問はして良いですか?」


 「はいもちろん」


 にこやかに僕らの発言を待っている土御門様を前にして、みんな頭を抱えて考え始める。


 とりあえず問題と今出ている情報を整理しよう。まず1つ、神様の代行は世代交代する。2つ、そのお役目につくことは生まれる前から決まっている。3つ、神様の代行には名前がない。


 …全然分からないな。とりあえず質問していくか、さっき考えていたのは僕ら双葉家や一条家のような世襲制の可能性。質問を決めて手をあげる。


 「はい葵さん」


 「えっと…土御門様のお父さんかお母さん、もしくは親族が先代の神様の代行だったんですか?」


 「良い着眼点ですが、残念ハズレです。神の代行は特定の一族から選ばれているわけではありませんよ」


 考えていた可能性が完全に潰されてしまった。班員のみんなも同じようなことを考えていたのか、あげようとしていた手をおろして頭を抱え始める。それからすぐに早乙女さんが手をあげる。


 「はい、あなたは確か早乙女さんでしたね」


 「そうです、えっと…今までの神様の代行の人達は全員土御門様と同じ苗字なんですか?」


 「ええそうです。ですが全員元から土御門という姓だったわけではありません。私の両親ももっと平凡な苗字でしたよ」


 「…あ、ありがとうございます」


 う〜ん…世襲制じゃなくて襲名していくものなのか。何か育成機関のようなものがあるのか?でも土御門様は生まれる前からお役目が決まっていたとも言っていたし…と、そこで頭を抱えてうんうん唸っていたケンが手をあげる。


 「はい、桂さんでしたね」


 「うっす、えっと…よくわかんないっすけど、神様の代行なら普通に神様が選んでるんじゃないんスか?」


 「おぉ、素晴らしい!正解ですよ」


 「え、マジ?」


 自分でも正解とは思っていなかったのか、思ったよりも単純な答えにケンも含めて全員驚いていた。


 「桂さんが言った通り、神の代行は神が選んでいます。ですが、選ぶのにはある基準があります。それは何かわかりますか?」


 「え、それって俺らに教えて大丈夫なんスか?」


 「えぇ、特別隠しているわけじゃないですから。考えてみてください、結構単純な仕組みですよ」


 仕組みまで教えてくれるのか…神様が自分の代行を選ぶ基準かぁ。生まれる前から決まっているんだから、何か神様にしか分からない基準があるんだろうけど。逆に言えば生まれる前の子どもでも当たり前に備わっているもの?


 「はい、良いですか?」


 「はい葵さん、どうぞ」


 「神様の代行になるには、何か特別な異能が必要なんですか?」


 僕の質問、というか回答に土御門様は驚いて目を見開く。そしてまた優しい笑顔に戻って話し出す。


 「驚きました、正解です!神の代行にはとある異能が必要なんです」


 「とある異能ですか?」


 「えぇ、人に言うのも少し恥ずかしくなるような異能なのですが…『聖人』という異能です」


 土御門様の言った『聖人』と言う異能は、今までに聞いたこともないような異能だった。異能というのは大体2種類の分類がある。お父さんの『能力向上』や僕の『過剰出力(オーバースペック)』のような効果が元になった名前の異能と、お母さんの『結界師』のようにその異能ができそうなことが大体できるような役職のような異能だ。


 『聖人』という名称は神話などで聞いたことはあるけど、異能としての『聖人』は聞いたことがなかった。確かに神話の中の『聖人』も、神様に選ばれた特殊な人というよりも神様に選ばれるほどの特殊な異能を持っていたと考える方が自然なのかもしれない。


 「その『聖人』って、どういう異能なんですか?」


 「詳しくは言えませんが、大した異能ではないですよ?戦闘能力もないですし、なんなら制約の方が多いぐらいです」


 「そうなんですね」


 「えぇ…おっと、そろそろ昼食の時間も終わりですね。残りの料理も食べてしまいましょうか」


 土御門様に言われて時計を見ると、確かにあと10分ぐらいで昼食の時間も終わってしまうようだった。土御門様との話に夢中であまりご飯を食べられていなかった僕らは急いで残りの料理を食べ始める。


 「ふふ、あまり急いで食べて詰まらせないようにしてくださいね」


 「「「は〜い」」」


 優しい表情の土御門様に見守られながら、僕らは残りの料理を食べていった。少しすると土御門様は先生に呼ばれてどこかに連れて行かれていた。僕らもなんとか時間内で料理を食べ終わり、博物館の外の集合場所に移動できた。


 「それじゃあ最後に土御門様に挨拶して頂きます!土御門様、よろしくお願いします」


 「はい、ありがとうございます」


 先生に促されて土御門様が僕らの前に立つ。見学の前では土御門様が来ることに困惑していた生徒達だったけど、見学中や昼食の時に言葉を交わした生徒達は皆土御門様に惹かれていた。『聖人』の異能のためか元々の人格のためかは分からないけど、全員が共通してこの人の魅力を認めていた。


 「みなさん、見学は楽しかったでしょうか?修学旅行の中で少しでも良い思い出になっていたら私としても嬉しい限りです。この後の予定も、みなさんの中で忘れられないような楽しい想い出が少しでも残ることを願っています」


 「あまり長く話してしまっても申し訳ないですし、私からは以上とさせて頂きます。それでは皆さん、また縁があればお会いしましょう」


 土御門様は最後まで僕らの修学旅行の邪魔にならないように、あくまで助けとなるように一貫して振る舞っていた。最後に全員で土御門様にお礼をして、土御門様に見送られてバスに乗り込み次の目的地に向かっていった。


次の話ですが、人によっては現実の何かと重ねて嫌な気分になる方もいるかもしれません。

あくまで現実の出来事とは一切関係のないフィクションですが、念のため注意してください。


閲覧、ブックマーク、評価やいいねして頂けた方、誠にありがとうございます。

感想も励みになっています。誤字報告も助かります。


作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…

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