修学旅行2日目:土御門様
100話だぁ!なんだかんだ言ってあっという間だったなぁ。まだまだ続きますよ!
神様の歴史博物館に到着し、バスの近くで整列する。入る前にチケットを配ったり事前の注意をされるらしく、学年主任の先生が一学年分の生徒の前で声を張り上げている。
「え〜みなさん、この歴史博物館ですが他の一般のお客さんも大勢いるのであまり騒ぎすぎないようにしましょう!」
この修学旅行中に何度か聞いたような説明をされてチケットを配られる。その後滞在時間の説明をされて、朝礼で説明されていた土御門様の訪問について追加の説明があった。
「土御門様ですが、あまり邪魔をするのも申し訳ないとのことで最初に挨拶した後はみんなが歴史博物館を一緒に回っていただけるそうです!土御門様は歴史博物館の館長も務められているので、何かわからないことや気になったことがあったら質問してもいいそうです!」
先生の説明では神様の代行である土御門様が僕らにかなりの時間を使ってくれるとのことで、所々から「何故」「どうして」という声が上がっているのがうっすらと聞こえてくる。
「それでは中にはいってすぐに土御門様にお話をしてもらいます!みんな失礼のないようにしましょう!」
疑問は解消されないまま先生の先導で歴史博物館に入っていく。博物館ということでゆずは入れないかと思ったけど、何故か入っていいとのことでゆずは僕の肩の上で丸まっていた。
移動しながら土御門様についてよく考えてみれば、生徒どころか先生も土御門様がなんで僕らのために時間を使ってくれるのかわかっていないのかもしれない。わかっていれば昨日の夜の時点で連絡されるだろうし、今朝先生達が忙しそうにしていたのも急なことだったからなんじゃないだろうか。
「それじゃあこの中で土御門様が待っているはずなので、みなさん失礼のないようにしましょう!」
どれだけ土御門様に失礼なことをしてほしくないんだ。今日何回目の注意かわからないんだけど。そんなことを思いつつ先生が開けた扉に入り、ネットでも顔写真が見つからなかった土御門様がどんな人なのかと部屋の中を見ると…。
「…え!?」
思わず出てしまった声は、静まり返っていた生徒達の中でかなり目立ってしまった。僕の声に先生達はギョッとしたように、生徒達は不思議そうに…そして壇上の老紳士はにこやかに僕に視線を向けていた。
僕のことを壇上からいたずらが成功したような楽しそうな表情で見ている老紳士は、昨日のお土産屋さんと今日の道の駅で会った老紳士だった。どういうこと!?あの人が土御門様なのか?!
「…?!」
思わず昨日お土産屋さんで一緒に老紳士に会っていた零君に視線を向けると、零君も声は上げていないもののかなり驚いている様子だった。なんの意味もない確認が終わった後にまた老紳士に視線を戻すと、楽しそうに僕に向かって手を振っていた。
僕が声を上げた時に集まっていた視線が、土御門様(?)が僕の方に手を振ったことでもう一度集まってくる。…まだあの人が土御門様じゃないかもしれない。それなら僕は偶然仲良くなった現地の人と再会しただけ!
「…?それでは土御門様、よろしくお願いします」
「はい、みなさん初めまして。私が土御門です」
本人だった。偶然あっただけの優しい人だと思ってたけど神様の代行とかしてる多分人間の中でトップクラスに偉い人だった。下手したら一条家の人達より偉いんじゃないか…?なんでそんな人が護衛もつけずに普通に街中フラフラしてるんだ…。
「突然お邪魔してしまって申し訳ないです。昨日所用で神様の住居に向かった際に修学旅行中の学生さんと縁がありまして」
土御門様の言葉で他の生徒や先生達もある程度察したのか、本日三回目の四方八方からの視線を感じる。そんな様子も気にせずに土御門様は話を続ける。
「私が館長をしているこの博物館に修学旅行生がいらっしゃる予定があったのを思い出しまして、少しでも良い思い出になる旅行になればとお邪魔させて頂きました」
「あまり長く話していてもつまらないでしょうから、後はこの博物館を見学しながらにしましょう。私も一緒に回らせてもらうので、会った際には気軽に声をかけてください」
そうして短めに話を切り上げた土御門様に全員でお礼を言って、すぐに歴史博物館の見学に移ることになった。一度部屋の裏手に消えていく土御門様は、最後までにこやかに僕ら…というか僕の方に手を振っていた。
初めて書く小説で100話も続いてる上に、読んでいただけている方がいらっしゃるのが本当に信じられないし嬉しいです!これからもまだまだ続いて行くのでお付き合いいただけると嬉しいです!
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作者プロフィールにあるTwitterから次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…




