熾天使さんの初戦闘
戦闘描写とか読み辛かったらすみません…経験ないんです許してください…。
これはもしかしたらまずい状況かな?
天使の輪で知覚した感じ、お腹が膨らんでいる女性がこの子の母親で、母親を庇っている男性が父親らしい。どちらもその身に秘める力、つまり異能の力がなかなか大きいみたいだけど、僕は手を出した方がいいかな?
そんなことを考えている間にも、胎児は僕の腕の中で激しくモゾモゾしている。
「よしよし、何が起きても僕らのパパとママはちゃんと守ってあげるからね〜」
そう言ってゆすってやると少しモゾモゾが落ち着いてきた。…かわいいなぁ。
しかし、そうは言ったものの、僕まだ戦ったことないんだよなぁ。もし戦わないといけなくなったら大丈夫かなぁ。スペック的には全く問題ないんだけど。
…おっと、外の状況が動いたみたいだ。どれどれ。
「ガアアアアァァァァ‼︎!!」
どうやら四足獣が我慢の限界を迎えたようで、父親めがけて牙を突き立てようと大口を開けて飛びかかってくる。対峙する父親は緊張感のある面持ちで口を開く。
「〈能力向上〉」
そう呟くと、父親の体にみるみる力が循環する。父親は腰をグッと下げると、今にも自分を喰いちぎろうとしている牙を鷲掴みにして、足を地面にめり込ませながら四足獣をぶん投げる。
「ふぅん!!」
「ガアァアア??!!」
おぉ…中々パワフルなお父さんだなぁ。あ、またぶん投げた。
そんなパワフルお父さんだが、身重の妻を後ろに庇いながらでは流石に厳しいらしい。自分から攻撃することはせず、防御に徹している。異能の力の消耗も激しいらしく、あと数分で限界を迎えそうだ。
周りの助けも期待できないみたいだし、流石に助けに入るかぁ。僕の空間からだと外に干渉できないから、精神体として外に出ないといけないんだよなぁ…。
そんなことを考えている間にもパワフルお父さんはだんだんと追い詰められて行き、胎児はどんどんモゾモゾが激しくなる。
「しょうがないなぁ…ちょっと待っててな?」
ゆりかごを創り出してそっと胎児を入れる。気合いを入れて天使の正装を纏い、翼と輪を広げて両親の頭上に転移する。
初めに視界に入ってきたのは、四足獣が前足を振りかぶって父親を殴り飛ばそうとしているところだった。よし、とりあえず…
「〈守護〉」
「!?」「ガァ?!」
振り下ろされた前足は、僕が父親の前に生み出した不可視の力場に反射されて大きく体勢を崩し、父親も驚愕の声を上げる。
「グルルル!」
四足獣は何が起きたのかもわからない様子で唸り声をあげて周囲を見渡している。隙だらけだし、さっさと片付けてしまおう。
「〈破壊〉」
「ゴパァ!」
輪で内部構造を把握して重要器官をぐちゃぐちゃにねじって破壊し尽くせば、四足獣は口から血を吐き出して崩れ落ちていく。
べシャッ!
何が起きているのか理解できていない様子の両親の前で情けない音を立てて倒れる四足獣。僕が満身創痍の父親に近づいていくと、二人はようやく僕に気がついたようで、信じられないものを見るような表情でこちらを見る。
「あ…あなたは…?」
困惑しながらもしっかりと自分の妻を後ろに庇う父親を見て、自分たちの親は善人なのだと安心し、そっと手をかざす。
「…っ!何を…!」
「〈治癒〉」
両親の治癒力を極限まで高めて、必要な分のエネルギーを送ればみるみる傷が癒えていく。輪で内部にも問題がないことを確認しておく。
…戦闘は特に問題なし!よし、帰って休もう!
自分たちの癒えた傷を困惑しながら確認している両親から視線を外して、距離を取ってから僕の空間に転移する。
「ふぅ…久々に働くと疲れる気がするなぁ」
正装を解き、ゆったりとした服に切り替えて翼をしまう。ゆりかごの中の胎児を見れば、モゾモゾをやめて落ち着いているようだった。
「パパとママは無事だからね〜」
僕がそう言って抱き抱えてゆすってやると、胎児がくしゃくしゃの顔のまま、うっすらと笑った気がした。
……かわいいなぁ〜!このぉ〜!
Tips:セラス君ちゃんは精神体でもはっきり見えます。
前回に引き続き閲覧、ブックマークして頂けた方、誠にありがとうございます。
また、評価やいいねをつけて頂いた方も本当にありがとうございます。
ブクマ数90件越えって一体何が起きてるんですか???
また、僕の個人的な事情なのですが、今週の金曜まで短め・早めの更新になるかと思います。来週以降に加筆して更新するかもしれません。
作者プロフィールにあるTwitterで次話投稿したタイミングでツイートしているので気が向いたらどうぞ…。




