人生の終わり
初投稿です
人間の人生にはいずれ終わりがやってくる。
人間であれば誰しも成長するにつれてそれを理解し、それに抗おうとする者もいれば、受け入れて短い人生の中で何かを残そうとする者もいる。
僕はそんな人間の中でも、怠惰な方だったと思う。
なんとなくできることの中で進路を決めて行き、平均かそれよりも少し下の成績を残し続けて行き、なんとなくで就職してそれなりに働いていた。
自分が努力しないでもできることだけを続けて、ぼんやりとしたまま歳をとって、特に何も残すことなく人生の終わりが来るのを待つのだと思っていた。
僕、九識湊は自分の人生と、その終わりについて諦めに近い感情で受け入れて生きていた。
だからこそとは言わないが、僕の数少ない友人の人生の終わりが誰とも知らない通り魔が振り回すナイフという形で目の前に迫ってきた時、僕はなんの躊躇いもなく友人の前に体を差し込むことができた。
まぁ黙って殺されてやるほど優しい性格もしていないから、通り魔がナイフを突き刺してきた手をそのまま掴んで気を失うまで顔面を殴り続けていたのだけど。
アドレナリンがドバドバ出て、自分の脳が痛みを認識できていないうちに少しでも相手を痛めつけようと無心で顔面を殴り続け、誰かもわからない通り魔の顔面がさらに判別がつかなくなるまでになったのを確認したあたりで、通り魔からの抵抗を感じなくなり、同時に自分の意識が遠のいていくのを感じた。
…まぁこんなものか
そんなことをなんとなく思いながら僕の意識は消えていき、くだらない人生に終わりを迎えた。
はずだったのだけど…。
「なんだここ…」
なぜか目覚めた意識。目に映るのは果てしない星空と湖面のように揺らいでいるどこまで続いているのかわからない水面。
いつの間にか病人のような貫頭衣を着ており、足元を見ればどういう原理かはわからないが、靴も何も履いていない足が水面にそのまま立っており、自分を中心に波紋が広がっていく。
「死後の世界というのは随分と綺麗なんだなぁ」
誰に向けてでもなくそう呟くと、
「それはそうですよ」
「!!??」
僕の後ろから女性の美しい声で返事があった。驚きながら振り向くと、そこには絵画の中から出てきたような美しい女性がにこやかな表情で立っていた。
「この空間は、私の主がご用意してくださったものですから」
女性はそう言うと、浮かべていた笑みをより深めるのだった。
……うわぁ絶対やばい人だ。
ゆっくり投稿して行きます。