第九十二話「悲しい再会」
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結月たち四人は凛の足取りを追っていた。
「ここで気配が消えている……」
「……」
結月がしゃがんで、気配が消えた地面を見つめる。
それを見た瀬那が声をかける。
「結月ちゃんどうした?」
「わずかですが、先日襲撃してきた魁の瘴気も感じます」
「──っ! 魁にやられたってのか?」
蓮人が信じられないというように声をあげる。
しかし、続いた言葉が至極残酷なものだった。
「いや、争った形跡がないこの状況から推察するに……」
「魁と手を組んでいるとみるのが正しいでしょう」
この場の全員が言いにくい推察を実桜が言った。
「なっ! 実桜! 敵と手を組んでるっていいてえのか?!」
「あくまで可能性の話ですが、非常に高い可能性じゃないかと」
その時、木々に止まる鳥たちが一斉に飛び立った。
異様な空気の変化に、結月たちは武器に手をかけて構えた。
「皆さんお揃いですね」
「──っ!」
そこには凛がいた。
「凛さん……」
「もう気づいているのでしょう? 私が朱羅と手を組んで【宝玉】を盗んだこと」
「信じねえ! 凛さんがそんなことするはずねえ!」
蓮人は叫んだ。
「蓮人、目の前の状況をよく見なさい」
全員が凛の登場に困惑する中、結月は一歩凛に近づき、声をかけた。
「凛さん……私たちはあなたと闘うしかないのですか?」
「ええ、残念ながら、私はここであなたたちを殺します。そして、朔も殺す」
瀬那が拳を握り締め、俯きながら低い声で言う。
「朔様は殺させねえよ、それに、あなたも殺さねえ。俺たちは捕縛して帰るんだ」
「やれるものならやってみなさいっ!」
言い終えると同時に凛は刀を抜き、イグの力を込めて瀬那に向かって攻撃を仕掛けにいく。
瀬那はその攻撃に結界を張ることが間に合わなかった。
しかし、瀬那が凛の攻撃に反応する前に、結月が凛と瀬那の間に割って入り、双剣で凛の刀を受け止めた。
「さすがですね、結月さん」
「凛さんの太刀筋は覚えています。凛さんを殺させないし、凛さんにみんなも殺させない」
「相変わらず甘いですね、あなたは」
「……」
結月は双剣で凛の刀を押し戻す勢いで、自らの身体を一回転させてすばやく凛の懐に入り込む。
「──っ!」
懐に入った結月は双剣で刀を弾き飛ばそうとするが、凛がそれを許さず、身を翻して避けた。
「結月ちゃん……凛さん……」
瀬那の力ない声が蓮人と実桜の耳にも届く。
結月と凛は一旦態勢を整えるため、一定の距離を保ち、動きを止める。
しかし、刀と双剣の構えはやめない。
「ああ、忘れていました。結月さん、あなたは朱羅に連れてくるようにと言われていました」
「──っ!」
「だから、あなたにはまず戦闘不能になってもらいます」
「私に毒は聞きにくいですよ」
「ええ、知っています。ですから特別なものを調合しておきました」
「……」
言葉を交わすのが終わると、再び結月と凛は刀を交える。
今度は凛が結月の双剣を刀で受け止めると、そのまま結月の腕を掴み、自らに引き寄せた。
「──っ!」
結月の唇には、凛の唇が重ねられていた。
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