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第九十一話「宝玉」

 ゆっくりと木々の間から姿を現し、不気味な笑みを浮かべるかい


「先に朱羅に会わせてください」


「いいでしょう。朱羅様もあなたに会いたがっていますよ」



 二人はかいの空間操作能力で生じる禍々しい歪みの中へと姿を消した。




 ──朱羅の屋敷。


 かいが朱羅の傍で跪く。


「朱羅様、愁明凛を連れてまいりました」


「連れてきたか」



 凛があたりを見渡すと、そこは意外と質素で暗い和室だった。

 縁側からは庭も見える。



「約束のものを持ってきましたよ」


 凛は【宝玉】を自らの着物の胸元から取り出し、手に取った。

 【宝玉】は木箱に厳重に入れられており、紺色の紐で結ばれている。


 朱羅はゆっくりと凛のほうへ向くと、【宝玉】に目を向けた。


「それが一条家の【宝玉】か……」


「はい」


 凛は朱羅に【宝玉】を渡した。

 朱羅はゆっくりと紐をほどき、木箱の蓋を開ける。


 中には神々しく光る丸い【宝玉】があった。


 朱羅は【宝玉】を手に取り、月の光にかざす。


「綺麗なもんだな……」


「一条家の宝ですから」




 【宝玉】を眺める朱羅に、魁が話しかける。


「朱羅様、一条家の人間たちが【宝玉】に気づいたようですね」


「ふん、凛。あいつらを殺してこい」


「あいつらとは?」


「一条家の犬どもだ」


「守り人を殺せと?」


「ああ……そんな名称だったな」


「涼風結月は?」


「あいつは連れてこい、あいつと朔は俺が殺す」


「わかりました。ですが……」



 朱羅は目を細めて凛を見る。

 凛は強い殺気を宿しながら、朱羅に宣言する。


「朔を殺すのは私だ」


「ふ、ははははは!」


 朱羅は肩を揺らしながら滑稽だというように笑う。


「かつての主人に牙をむくか。そこまで殺したがっているならやってみろ」



 凛はそのまま朱羅に背を向けて、屋敷から出て行った。



 凛のいなくなった屋敷で、朱羅がつぶやく。



「【宝玉】か……」

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