第七十八話「予言と予感」
「……ぃ、……おい」
「ん……」
「起きろ」
「…………っ朔様?!」
結月は横になる朔の胸に顔を預け、寝ていた。
「本当に本当に朔様ですか……?!」
「俺以外の何に見え──っ!」
結月は朔に勢いよく抱き着いた。
その大胆な行動に朔は内心驚く。
「よかった…………、もう目を覚まされないのではないかと……」
「俺は容易く死なん」
結月は涙を拭い、朔の顔を見つめる。
「はい! 信じておりました」
満面の笑みで返答をする結月。
「皆さんにも、目を覚まされたこと、お伝えしてきますね」
ふすまを勢いよくあけ、廊下を走っていく結月。
「……、廊下は走るなとあれほど……」
見えなくなる結月に、小さな声で婚約者を叱る朔だった。
──泉水の間。
「ご無事で何よりでございました」
「俺は何日眠っていた?」
「四日でございます」
朔を囲み、守り人四人が座っている。
いつもの席順で、五人は話を進める。
議題は主に朔の眠っていた四日間と今後についてだった。
「民衆への影響は?」
「現在は出ておりません。『宮様の重体』も民衆は知らないと思われます」
民部省の長である蓮人が、民衆の様子を語る。
「政のほうは、皆で分担し、滞りなく進んでおります」
「わかった」
朔はわずかに安心したように返答をする。
その様子を見て、凛は言葉を続けた。
「あと、結月さんは三日ほどお休みにしております。ずっと看病をなさっていましたので」
「……聞いてない」
「それは失礼しました」
朔が凛をにらむと、わずかに微笑む凛。
してやった顔をする凛に、瀬那、実桜、蓮人も和む。
「災厄の予言が早まった」
「「「「──っ!」」」」
「いつ頃に……?」
凛は恐る恐る朔に伺う。
「ひと月後だ」
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