第六十九話「殺意の行方」
宮廷の静さに対し、両雄の殺意が立ち込める。
凛は主人である朔の後ろに控えながら、戦況を見守っていた。
(下がっていろと言われたが、本当にそれでいいのだろうか……)
目の前で激しくぶつかり合う両者を見て、そう思った凛。
(しかし、迂闊に手を出しても朔様の攻撃の邪魔になるかもしれない……どうする? なにができる?)
凛は瀬那と蓮人の気配が消えた際に、朔に言われた言葉を思い返していた。
『お前の仕事はなんだ?』
(結月さんたちを呼び戻す? いや、結月さんをわざわざ遠ざけた意味がない。では、どうする?)
静観しながら、頭の中で無数の可能性を考える凛。
朔と朱羅は再び激しく刃を交えていた。
しかし、じわじわと朔が圧されていく。
「大した事ねえな! お前も……お前の親父もっ!」
朱羅は左手にもった刀を大きく振り下ろした。
その刀は真正面から朔を襲う。
朱羅の刀は赤く染まり、血が滴り落ちる。
その血を舐めると、にやりと朔に向かって笑った。
「あの日の味と同じ……お前の中にも醜いあいつらと同じ血が流れているんだよ」
「……」
朔は何も言わず、太刀を持つ右腕の傷を押さえていた。
「あいつらのせいで……あいつらのせいでっ!!」
朱羅は再び声を荒らげ、朔に向かって攻撃を仕掛けようとする。
刀身は臙脂色に染め上がり、まるで自らと一体になったように見える。
臙脂色の刀身は先ほどに比べ、やや身幅が細くなり薙刀のように長くなっていく。
それに呼応するかのように、朔も太刀を大太刀へと変化させた。
両者は刀の形態を変え、再び刃を交えることになった──
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