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第六十八話「静かなる怒り」

 その場にいた全員がこれまでに感じたことのない、鋭く洗練された妖気に顔がこわばる。


「…………」


 霧のように消えた妖魔との戦闘を話していた、瀬那と蓮人。

 話し終わった直後の圧倒的妖気の発生に、息を飲んだ。


 実桜も静かに気配を読み取り、この先の行動を考える。


「宮廷から……だよな……?」


 蓮人が気配に押されながらも、その場にいた全員に尋ねる。


「……ああ……」


 瀬那、蓮人、実桜の三人が一瞬動けなくなっている最中、結月は何も言わずすでに宮廷へ駆けだしていた。


「っ! 結月っ!」


 蓮人が叫ぶがもう結月の耳には届いていなかった。




 結月は自分自身の意識より早く、身体が動いていた。

 自分の頭を下げて迫る木々を避け、木の根を飛び越えて進む。

 前を向き、ただひたすら真っすぐに森を駆け抜ける。


 冷静な表情を見せる結月だが、頭の中は熱くなっていた。


(まさか……、本当に……、本当に奴が……)


 他の三人とは違い、結月にはその気配に心あたりがあった。


(あの日…………、感じた気配と同じ……。ついに来たの?)





──『朱羅』





 結月は復讐の心を燃やしながら、宮廷へと向かった──






 一方、同じく復讐の心で身を焦がす朔と凛。



「まあ、その時哉ときやもこの俺が殺したんだけどな」



 その発言に明らかに怒気を含んだ表情を見せる朔。

 凛は普段の飄々とした姿からは想像もできないほどのこわばった表情を見せる。


「お蔭様で俺は15歳で当主になった。それだけだ」


「無理しちゃって、可哀そうだな」


「お前に可哀そうだと思われる筋合いはない」


「そりゃそうか、だってお前の親父を殺したのはこのお……」


 朱羅が言葉を言い終える前に、朔は切りかかっていた。

 その攻撃を避けると、朱羅は朔に向かいなおす。


「あ、ぶねえな。いきなり切りかかんじゃねぇよ」


「……」


 朔は右手に持った太刀を振り上げ、朱羅に向かって攻撃を放つ。

 三日月型をした斬撃は、朱羅に到達するが、それを朱羅は余裕の面持ちで振り払う。



 大きな炎のような殺意をまとう、朱羅。

 静かな泉のような殺意をまとう、朔。


 両者の間で、消して交わることのない激流がぶつかっていた──

いつも読んでいただきましてありがとうございます<m(__)m>



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見えづらいですが、、、


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