第六十三話「父親の影」
瀬那は、はっと目を見開くと、目の前の敵からの攻撃に受け身を取る。
(嫌なこと思い出しちまった……)
瀬那が突如昔の記憶を思い出したのには理由があった。
「くっ……! その姿……」
敵が自らの父親の姿をしていたのだ。
「今見るだけでも反吐が出るぜ……」
瀬那は結界を張り、態勢を整えると、その結界を打ち壊してそのまま敵に刀を打ち込む。
敵はひらりとその攻撃を避けると、同じく刀て瀬那に斬りかかる。
「ったく、気持ち悪い幻想見せてくれるぜ……」
瀬那は父親の姿をした敵を目の前に、昔の記憶を呼び覚まされ、攻撃が鈍っていた。
と同時に、冷静さを保とうとはしているが、父親への恨みで頭に血が上っていた。
『様子を見に行く暇などない』
『お父様っ! お母様がっ!』
子供ながらに父親にすがりたい気持ちを跳ねのけられた記憶が、瀬那の正常な判断を阻む。
「あの……時……あんたがそばにいれば、母さんは……」
瀬那の刀に敵の刀が襲い掛かる。
「死なずに済んだかもしれないっ!!」
結界を張り、刀ごと押し戻す瀬那。
敵は大きく態勢を崩し、膝をついて一瞬動きが止まる。
瀬那はその後も思いをぶつけながら、攻撃を仕掛ける。
その攻撃はいつもより荒く、力任せなものだった。
「……」
敵は何も言葉を発しない。
「その澄ました顔が気に食わねえ!!」
瀬那が父親にためらいなく刀を振りかざすと、その刀は敵の刃によってはじかれる。
「──っ!」
瀬那が地面に飛ばされた刀を素早く拾い上げ、その勢いを殺すことなく刃を敵に向ける。
力は全く均衡を保ち、決着がつかないまま刻が過ぎていく──
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