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第四十一話「涼風家の蔵」

 涼風家屋敷跡──


「ここですね」


 結月と凛は涼風家の屋敷跡に到着した。

 結月にとってはあの地獄のような日以来この場所に来ていた。

 記憶が呼び覚まされ、胸の奥が締め付けられるようだった。


「大丈夫ですか?」


 凛が結月の様子を悟ったのか、具合は大丈夫かと聞く。


「大丈夫です」


 結月はそう答えた。

 立ち止まってはいけないと記憶を振り切り、辺りを見渡した。

 開けた場所にあるが、少し進むと各方面に森が広がっている。

 そういう場所に涼風家の屋敷はあった。


「こちらのはずです」


 結月は自分自身の幼い頃の記憶を手繰り寄せ、凛を連れてその場所へと向かう。


 やがて、森を抜けるとわずかに開けた空間が見えてきた。

 その中にひっそりと小さな蔵がある。


「あった……」


 二人は辺りを警戒しながらも、ゆっくりと蔵の中へと足を踏み入れた。


「こほ……こほ……」


 蔵の中はやはりしばらく人が入っていない様子だった。

 床はもちろん棚も埃がたまっている。

 大きな木箱や骨とう品に加えて書物も多くあった。


「凛さん、私は奥を見てくるのでここにある書物を見てもらっても大丈夫でしょうか」


「ええ、大丈夫です」


 結月と凛は二手に分かれて書物を読み漁った。



 数刻読み漁り、ここにある書物は二種類に分けられることがわかった。

 一つは村の年貢等を記した村長むらおさとしての帳簿関連。

 もう一つが涼風家に関わる書物だった。

 凛が手前にある書物が全て前者であることを確認すると、結月の調査している奥へと向かった。


「こちらは年貢等の記録書物のようでした。そちらはいかがですか?」


「はい、こちらは涼風家に関する書物がほとんどですが、妖魔退治や『イグの行使者』に関する書物は出てきていません」


「私も手伝います」


 凛は結月の横に並べられた未読の書物を調べ始めた。



 夕刻に差し掛かった頃、結月が一つの書物を見つけた。


「凛さん!! これ見てください」


 凛が覗き込む。

 そこには涼風家の伝承能力について記されていた。


「伝承されうるは、翠緑の風。治癒を以って民を助ける……」


 そのあとは劣化していて読めなかった。


「翠緑の風。それに治癒って書いてありますね」


「妖魔退治ではなく治癒が主な能力だったのでしょうか……」


「これだけではなんともわかりません。他を見てみましょう」


 二人は再び書物を読み漁った。

 しかし、これ以降わかったのは、涼風家の能力が多岐に渡るということと、その能力は一定の条件のみで習得できるということだった。

 その一定の条件の内容までは書いておらず、その部分は口承されていることが予測された。


「おそらくここにある全ての書物をあらかた見ましたが、これ以上の情報はなさそうですね」


「はい、ただ、治癒の力があることはわかりました」


「朔様であれば何かわかるかもしれません」


「はい」



 二人は一旦その場を後にした。

 月が出ており、もうかなりの深い時間になっていた。


(力の抑制については何も出てこなかった。やっぱり私がまだ力を扱えるところまで到達していない……)


 結月と凛は夜道を歩いていった──

いつも読んでいただきましてありがとうございます<m(__)m>



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見えづらいですが、、、


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