第三十四話「覚醒」
結月の瞳は【藍色】に輝き、龍の気配を身にまとい鋭さを増した。
「……その姿……まさに『イグの行使者』の魂そのもの……」
結月は気配の鋭さを増し、”それ”に襲い掛かった。
電光石火のごとく相手に詰め寄り、双剣をぶつける。
だが、今までとは比べ物にならないほど結月が圧倒する。
相手の双剣をはじくと柱を蹴って相手の横を狙う。
「くっ!」
かろうじて受け流したのもつかの間、再び結月は反対側の柱を蹴り、弾丸のごとく一直線に攻撃をしかける。
「ぐはっ!」
相手の右肩に結月の双剣が入り込む。
だが、結月は手を緩めることなく、そのまま上に飛びあがると双剣で真正面から相手を切り裂く。
もはや結月を誰も止めることはできなかった──
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朔は暗闇の中にいた。
どこからも光が見えない中わずかに自分自身が光を放っていた。
(何者かの気配に気づき、寸でのところでかわしたが、違和感がある)
朔はまだ自分の身に起こったことを正確には理解できていなかった。
暗闇の中に光が見えてきた。
その光のほうから何かと何かがぶつかる凄まじく甲高い声が聞こえる。
(結月……か)
その光はやがて、大きく広がり朔を覆っていく。
まぶしさに覆われたあと、気づくと宮廷の壇上で倒れていた。
横には深い傷を負った琥珀がいる。
「琥珀」
名を呼ぶとわずかに耳を動かす。
朔は治癒の力を琥珀に放つと琥珀は目を開けて主人を見つめた。
そっと朔は琥珀の顔をなでる。
そして自分に向けられた異常なほどの敵意に身体を向ける。
そこには藍色に全身を染め上げた結月の姿があった──
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