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第二十九話「罠」

 瘴気の渦を巻き、巨大な鎌へと成長した”それ”は一気に三人めがけて横殴りしてくる。


「瀬那!」


 凛が呼ぶのと同時に瀬那が結界を大きく張る。

 だが、三人を守り切るため先ほどよりも大きく張った結界は脆く崩れ去った。

 結界が崩れる寸でのところで三人はそれぞれ後ろに飛び、攻撃を避ける。

 さらに追撃をする鎌は今度は瀬那に向かっていった。


「くっ!」


 瀬那の右足の太ももを割く。

 動けなくなったのを見るとさらに鎌を投げつける。

 避けようとする瀬那だが、太ももを割かれて動けなくなったわずかな瞬間に吸い込んだ瘴気に身体がいうことをきかない。


「がはっ!」


 強い毒気が瀬那を襲う。


「瀬那!」


 凛が向かい、瀬那の周りに結界をはる。

 鎌はその結界にあたり、わずかに勢いを失ったが、そのまま結界を破り襲い掛かる。

 だが、そのわずかな時間で凛は瀬那を抱え、少し離れた場所に距離をとる。

 それを見た実桜がすぐさま剣で切りかかる。


 刃と刃がぶつかり、激しい音が鳴り響く。

 その瞬間を見計らい、凛はイグの力を最大限集中させ、詠唱した。


「汝、我が命に応えよ。水華すいか!」


 水の渦を巻き、実桜と斎のもとへと襲い掛かる。


「実桜!」


 実桜は合図とともに後ろに飛び、避ける。

 凛の放った攻撃はそのまま斎に直撃する。


「くそっ!うわあああーーー!!」


 斎は叫んだが、やがて力を失いその場に崩れ落ちた。

 そのまま妖気が失われていき、灰になっていく──



 凛は瀬那のもとへ急ぐ。


「瀬那、大丈夫ですか」


「はい……俺はなんとか……自分は治癒できるので蓮人のほうをお願いします」


 そういうと離れたところに座り込み重傷を負った蓮人を見る。


「わかりました、すぐに戻ります」


 凛はそういうと自身も各所に切り傷を負いながらも蓮人のところに向かう。


 だが、その瞬間自分が感じた妖気の気配で凛は自らの犯した過ちに気づいた。


「まさかっ!」


 過ちに気づいた凛に斎は最期の言葉をかける。


「そうだよ……僕は……囮…………さ……」


 斎は灰になって完全に消えた。


「朔様っ!」


 凛は敵本体が向かったであろう宮廷を見やって叫んだ──


いつも読んでいただきありがとうございます<m(__)m>

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