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第九十九話「避けられぬ決戦」

あと一話で百話!

「綾城の周りの状況はどうなっている?」


「依然、特に変化はなしです」


 朔の確認に対し、端的に状況報告をする凛。

 金翠の間では、結月たちが招集され、皆『災厄』に備えて心構えをしていた。



 そして、その時は突然訪れた。



「よう、久しぶりだな、結月」



 結月の背後には突如現れた朱羅が立っていた。

 結月は咄嗟に双剣を抜き、朱羅に切りかかろうとするが、その前に結月の首元には朱羅の持つ刀があてがわれていた。



「──っ!」



 その場にいた全員が戦闘態勢に入っているが、結月を人質に取られ身動きできずにいる。

 朱羅に見つからぬよう凛が自らの背中側で式神を作り出そうとするが、朱羅によって牽制される。



「おっと、動くなよ? こいつの首がどうなってもいいのか?」



 凛はおとなしく腕を降ろし、朱羅をにらみつける。



「結月、久しぶりだな」


「ええ、あなたのこと思い出した。昔、会ったことも」


「嬉しいねえ~!! もう忘れてるかと思ったぜ。なんせお前はまだ子供だったからなあ~」


 そう言うと、朱羅は結月を解放する。



「まあ、冗談はここまでだ。どうだ? 闘う準備はできたか?」


 その言葉により一層刀に込める力が強まる結月。



「さあ、宴の始まりだ」



 その言葉と共に、朱羅は結月とは対角線上にいた朔のほうを振り向き、一気に迫る。


「朔様っ!」


 結月たちの駆け寄りを許さないとでもいうかの如く、朔と結月たちの間には魁が立ちはだかる。


「お相手していただきますよ?」


 魁は双剣を構え、結月に向かって攻撃を加える。


 朔と朱羅。

 

 結月たちと魁。

 

 

 短くて長い決戦が今始まった──






 宮廷内に響き渡る轟音。

 

 永遠とわと美羽は戦闘から身を守る緊急避難室で待機を命じられていた。


「こんなときに何もお役に立てないなんて……」


「何も役に立てないんじゃない、立つのよ! 速やかに怪我人の処置ができるように整える。そして、戦闘が終わった時に笑顔でお迎えする。それが私たちにできる唯一のことよ」


「……うん、そうだね。僕たちも一緒に闘おう」


 永遠とわと美羽は薬室へと向かい、走り出した。






 朔と朱羅の闘いは序盤から熾烈を極めていた。


「どうした、ご当主様よ! 早速息が上がってるんじゃねえか?!」


 朱羅の刀は朔を圧してた。

 受け身に回る朔に対し、攻撃の連打を繰り広げる朱羅。


 朔が圧されているのには理由わけがあった。

 朱羅が朔の持つ天牙の太刀の特性を理解し、大太刀へと変化させると動きづらくなる狭い執務室へと最初の一撃で朔を吹き飛ばし、戦いの場を整えていたからだ。

 朔は大太刀にすると可動域が狭くなるのを危惧し、変化させられずにいた。


「大方俺を全員でぶっ潰すつもりだったんだろうが、当てが外れたな。俺は一騎打ちを好む主義なんでね。それと、まずは時哉の息子であるお前から殺す」


「よくべらべらと喋るものだな」


 朔は朱羅に向かってイグの力を込めた波動をぶつけるが、朱羅はひるむことなく朔に攻撃を仕掛けてくる。


「時哉は愚かにも涼風に手を貸した上に、俺を偽善者の如く助けようとした。可哀そうにな……千里のダチでなきゃ死なずに済んだのによっ!」


 朱羅は言い終わるか否かで刀を振りかざし、朔に切りかかる。

 朔はその攻撃を太刀で受け止める。

 二人の表情が刀身に映る。


 朔は太刀で朱羅の刀を強引に押し戻すと、そのまま壁際まで一気に朱羅を追い詰める。


「朱羅、一条家を侮るな」


 朔は大太刀へと変化させるとそのままの勢いで朱羅を大部屋へ押し出した。

 壁は脆く崩れ、部屋と部屋の間には大きな穴があく。


 両者は一定の距離を取り、刀を構え立つ。

 一条家の太刀、天牙の太刀を変化して構える朔に朱羅が嘲笑いながら言う。


「お前ごときが結月を手に入れられるとでも思ったか?」


「──っ!」


 朱羅の言葉に朔は反応を示す。


結月あれはお前ごときが扱える代物じゃねえんだよ。黙っておとなしく俺に殺されていろ!」


 朱羅が再び朔との距離を詰めようとするが、朔の斬撃により阻まれる。

 朔は怒りの表情を浮かべながら、朱羅をすごむ。



「お前ごときが結月を語るな」


 怒気を身にまとう朔に対して、朱羅ですら一瞬の畏怖を感じていた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


現段階で「続きを読みたい!」「面白い!」と思ってくださっている方がいらっしゃったら

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