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平穏な日常

「はぁはぁはぁなんなんだよ! あの怪物は!」


 ここは学校の階段だろうか、まがまがしい円形のよくわからないものがそこにはあった。

俺は一生懸命に逃げた。逃げて逃げて逃げて。

教室に入ったあとだろうか、おれは怪物に足をかまれて死にそうになった。

 その時だった窓から神々しい光をはなった少女が華麗に現れた……


ピィピィピィピィィ


「はぁ~朝か。なんだったんだあの夢は」


 不服そうな言い回しでスマホのアラームを止めた。そのまま体をおこしカーテンをあけると、部屋の中に淡い光が差し込む。

 ドアの先からはパンのこおばしい香りがしている。


「お兄ちゃんおきてますか?」


 隣のリビングで朝ごはんを作っている妹の楓が怒りっぽくたずねてきた。


「あぁ、起きてるよ。今行く」


 俺は、アイロンがけされた制服に着替え寝ぐせをなおし、ドアを開けた。そこには、もう朝ごはんのパンを一口食べている二つ下の妹の楓姿があった。


「おはよう! 口によだれの跡ついてるよ」


 口にイチゴのジャムをつけた妹が微笑みながらそういった。


「お前こそイチゴジャムついてるぞ」

「え、ほんとだ。はやくいってよ!」


 妹は口をとがらせながらそういった。そんな他愛のない会話をしながら席についた。いつも通り片手に食パンもう一方の手にリモコンをもち、テレビをみていた。


[昨年から徐々に失踪者数が増えているので警察は事件性も視野にいれて失踪者を捜索にあたってるとのことです。みなさんもお気をつけください]


 テレビをつけると、物騒なニュースがしていた。近くの町でも失踪者がでたそうだが、僕からしたら他人事だ。


「そういえば、お兄ちゃん! 食器のかたずけはお兄ちゃんの担当だよ」


 うちは親が事故でいなくなり、今は妹と二人暮らしをしている。家事は二人で分担しておこなっている。


「おう、わかった」


 急いで残りのパンを口にほおばり、台所に足をはこび手慣れた手つきで食器をあらっていった。

時計を見るともう家を出なければ、学校に間に合わないので濡れた手をタオルで拭いた。


「おにいちゃーん。はやくー」


 玄関で学校に行く準備をした妹が兄の準備を待っている。


「今行くから少しまってくれ」


 部屋にあるカバンをとり、早歩きで玄関にむかった。


「はい、これお兄ちゃんの分のお弁当だよ! 残さず食べてね!」

「お前が作ってくれた弁当を残すわけないだろ」

 楓は嬉しそうに玄関を開けた。


「行ってきまーす」

「おう」


 元気よく。挨拶した楓は友達との待ち合わせ場所に走っていた。そんな姿を横目でみながら通学路をいつものように歩いて行った。

 桜並木の桜は、もうちりはじめ5月の始まりを知らせてくれている。

 俺はこの春にこの幽蘭高等学校に入学した。一学年5クラスありあまり頭は賢くないが、なんといってもとても広い。それだけが特徴である、この学校。俺は靴から上履きに履き替えクラスに向かった。


「おーっす! 五十嵐ねむそうな顔してんな」


 中学校からの親友である御手洗 修二いつも明るくなにを考えているかまったくわからないが悪い奴ではない。この学校で唯一の友達といっても過言でもないかもしれない。


「おう、お前は朝からいつもいつも元気だな。うらやましぜ」

「いやお前が毎日元気なさすぎるんだよ」


 そんな時だったクラスの前の扉があき市岡先生が入ってきた。いつもは気が強そうで生徒からの人気はあまりないが、実際相談してみると案外やさしく生徒によりそってくれるいい先生だ。


「おいそこ席にはやくつきなさい! 出席をとるぞ」


 先生が出席をとりだした。まだクラスメイトの名前は覚えていない。俺の出席番号は3番で今まで出席番号が5より後ろの番号になったことがない。


「五十嵐 連!」

「はい」


 気の抜けた返事をし、五十嵐は一日の始まりを悟った。出席は終わり授業がはじまった。そこまで頭がわるいわけでもないので授業内容はそこそこわかる。割と集中して授業を受けるとあっという間に昼休憩になった。


「よぉーし、五十嵐昼だぁー」


 まだかまだかと待ち続けたかのように御手洗がこっちに走ってきた。


「またお前は愛妻弁当か?」


 御手洗はクスクスと笑いながら、近所のコンビニで買ったパンの袋をあけた。


「妹は妻じゃないぞ。妻のようなものだ!」

「えぇ~。お前それだから彼女も友達もできないだぞ」


 五十嵐のシスコン発言に御手洗は引きつつパンをかじった。そこからは他愛のない会話ばかりだった。

五十嵐は弁当を米粒ひとつ残さずたべきった。


「お前やっぱすごいわ」


 五十嵐の妹への愛を再確認して御手洗は引くことを通り越して関心に変わった。


「ごちそうさま!」


 手をあわせいつものけだるそうな雰囲気が感じさせないぐらいハキハキとそういった。そうすると丁度授業の予鈴がなった。


「またないがらし~」


 御手洗が満足そうに自分の席に戻っていった。そこから放課後までは早かった。どこの部活にもはいっていない五十嵐は同じくどこの部活にも入っていない御手洗と帰っていた。

 終わりのホームルームが終わり御手洗があの気の強そうな市岡先生に呼び出されていた。


「御手洗君このあと生徒指導室にきてくれる? すぐに終わるから」

「わかりましたー、五十嵐少し待っといてくれよ」

「わかった。図書館にいるよ」


 またなにかやらかしたのかは、わからないがこの手の話は長くなる。五十嵐は図書館でいつものようにねながら、御手洗をまっていた。



 目を覚ますと外はもう日が落ちかけていた。御手洗の遅さに驚き携帯をみた。そうすると案の定メッセージがきていた。


  [急用ができた先に帰るわ。悪ぃ]


「あいつせめて言いに来いよ! 寝すぎちまっただろうが」


 だれもいない図書館で一人そう叫んだ。実際にもう夕方から夜になろうとしていて学校の門もあいているかわからない。急いで五十嵐は図書館をでた。廊下を早歩きで歩き階段までたどり着いた時だった……


「なんだよこれ……夢といっしょ?」


 目の前に広がっているものはこの世のものとは思えない円形のまがまがしいものがあった。その中からは大型犬よりも一回り大きい怪物が首をだしていた。五十嵐はこの怪物はなんなのかということよりも人間の本能で逃げなければいけないと察した。


「はぁはぁぁははぁぁなんだよあれ!」


本能のままに逃げて逃げて逃げた。だがその怪物は一頭だけではなかった。見える限り三頭はいた。

逃げてもおいつかれる。五十嵐は教室へと駆け込み扉に鍵をしめた。五十嵐はもう何か所か怪我をしていたが、恐怖で痛みなど感じなかった。流石に壁は破れないと思っていた五十嵐だったが。


(ドン! バァン!)


「グゥルゥ」


 そこにまるでなにもなかったかのように怪物たちは壁を破ってきた。


「なんなんだよぉ! お前ら! 俺は妹を残して死ぬわけにはいかねぇんだよ!」


 この教室は三階でもう逃げ場所はない。かなうわけないとは分かっていたが椅子を片手にとり武器にした。怪物が襲ってきた。


「ガァルゥ」


 五十嵐は足をかまれ死を悟った。


(なにもしてやれなくてごめんな楓)


 そう考えていた直後だった!

 三階である教室のまだから誰かが入ってきた。神々しい光をまといながらとてもきれいでとても華麗に。

その感動とはうらはらに五十嵐の視界がぼやけてくる。耳もよくきこえなくなてきった。


「だ……じょぅ……か」


 軍服のような軍服にしては華麗な服をまとった少女がめど前にはいた。一人はレイピアのようなものを腰にさげ、もう一人は自分の身長ぐらいある斧であの怪物と戦っている姿が見えた。

 そこでぼくの意識は途絶えた……





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