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少年と死者の森  作者: 柊 里駆
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追っ手

アランの回想シーンです。デューイとザッケルの活躍にご期待ください。

デューイは森の入り口に戻り、周囲を警戒していた。ザッケルは高い木の上で、更に広範囲を見ている。追っ手は今この時にも迫ってきているのだ。気を抜くことはできない。


「ザッケル、連絡の取れなくなったアンヴィーはどうなった?」


「瀕死の状態で発見されましたが、何とか一命はとりとめました。一人で村を守ろうとしたのでしょう。本当に無茶をします。今回の任務が終わったらきつく叱っておきます。」


「そうか…。あいつも必死だったのだろう。あまりいじめてやるなよ。」


命懸けで村を守ろうとして瀕死になって、その上ザッケルの説教とは、余りに不憫すぎる、とデューイはアンヴィーに心底同情した。


「レイア様達を助けるという任務こそ失敗しましたが、しかし、彼のおかけで隣村に逃げた村人5人は助かりました。」


「…そうだな。最悪の結果となってしまったが、俺もこのままで終わらせるつもりはない。今はアランを無事にハロルドの元に送ることが最優先事項だが、それが終わり次第、盗賊の殲滅作戦をハロルドに提案するつもりだ。」


「…ありがとうございます。」


何故ザッケルが礼を?というデューイの心を察したのかザッケルは続ける。


「アンヴィーは私の部下です。部下の失敗は私の失敗なのです。私共に汚名返上の機会を与えてくれることを有り難く思います。それに……。」


ザッケルの表情が引き締まる。デューイもザッケルが言わんとしていることがわかった。何故ならデューイも同じ気持ちだからだ。


「このような非道な行いをする盗賊共を私も許せません。放っておけば、また同じ様な悲劇が繰り返されるでしょう。」


「そうだな。本来ならばこの様なことは、この国の兵士に任せるべきなのだが、まず国の上層部が腐りきっている。そしてそれが兵士にも浸透している。平民なぞの為に、兵士は動かんだろうからな。」


「本当、この国は腐っていますね。これは早いところアラン様を……。」


そこまで言いかけて、ザッケルは黙った。その目線の先に何かを見つけたらしい。デューイはその意味を瞬時に察し、アランを呼びに踵を返す。


デューイが道の半ばまで進むと、そこにはレイアとの別れを済ませたアランがいた。その首にはレイアの指輪がかけられている。


デューイが追っ手がすぐそこに迫っていることを伝えると、アランは地元民しか知らない抜け道を案内した。デューイは慌てて指笛を吹き、ザッケルを呼ぶ。


「この道は通常の道からは外れるから、追っ手にも気付かれにくい。距離を離し、相手に物音さえ届かなければまず大丈夫だ。」


アランが先頭で道を案内し、次いでデューイ、殿(しんがり)をザッケルの順で、森の中の道なき道を走る。


「ザッケル、兵士の数はどのくらいだ!?」


「ざっと1000…といったところでしょうか。」


「はぁ!?1000!?アランたった一人の為に1000人もか!?」


「まぁ、相手も私達の素性こそわからなくても、誰か仲間が手引きをしていることがわかっているでしょうからね。そりゃ用心もするでしょう。」


ザッケルの答を聞き、ガックリと肩を落とすデューイ。


「デューイ、この森を出た後、何処へ向かうつもりなんだ?」


と、走りながらアランが尋ねる。


「本当は安全な東の国境を超えてシュタインゲルト国に入る予定だったが、ここの位置からならば南の死者の森を抜けてサウランド国に向かった方が早い。死者の森で追っ手を撒けるかもしれないしな。」


「死者の森ですか!?」


と、ザッケルが驚く。


「ザッケル、お前の言いたいことはわかる。確かに死者の森は瘴気も濃く、危険かもしれない。しかし、今から東に向かい、1000人の兵士達と一戦を交えるか、死者の森でモンスターと殺り合うかの違いだ。どのみち戦いは避けられない。」


「………そうですね。」


ザッケルも覚悟を決めたようだ。


三人は森を駆け抜ける。そして光が見えてきて、もうすぐ出口だ。となった時、今まで殿を務めていたザッケルが慌てて二人を止める。


「デューイ、アラン様、お待ち下さい!!」


「どうし……!!」


呼び止められデューイも気がついた。三人はとっさに隠れる。どうやら兵士達に先回りされていたらしい。地元の者しか知らないハズの出口を何故、とアランは不思議に思っていたが、デューイは直ぐに理解した。


相手はこの国の兵士達だ。もしかしたら兵士の中に、この地方出身の者がいたのかもしれないし、そうでなくとも、近くの村の住民達に情報を聞き出す事などとても容易い。例えば『この森に盗賊が逃げ込んだ。抜け道を教えろ。』等と聞けば、人々は何の疑いもせずに話すことだろう。


「どうする、デューイ……?」


アランがデューイに尋ねる。


「ここにずっといても埒があかない。突破する。」


デューイは迷わず即答した。ザッケルはまさか、という顔でデューイを見る。


「……陽動……ですか?」


「…流石、ザッケル。察しがいいな。俺とザッケルで兵士を引き付け、その隙にアランは逃げるって作戦だ。」


「無茶だ!!」


とアランは声を荒げる。するとデューイとザッケルがそろって『しーっ』と人差し指を立てた。アランは慌てて口を押さえる。


「今ここで、アランが兵士に捕まるわけにはいかないんだ。やるしかない。この世界の為に。そして黒斑病で苦しむ人々の為に。」


だからといって1000人の兵士をたった二人でなんて、いくらなんでも無茶すぎる。自分の為に二人を死なせるわけにはいかない。アランはダメだと首を振った。












物語が動きましたね。デューイとザッケルが良い働きをしてくれます。この二人が出る話はホントに書いていて楽しいのです。これからもアラン達をよろしくお願いいたします。

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