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少年と死者の森  作者: 柊 里駆
12/19

最奥

カイとアランの旅も終盤になってきました。本作も宜しくお願いします。

その辺一帯は、瘴気を浄化する薬を飲んでいても、何となく呼吸しづらいと思えるほどに、空気が澱んでいた。なるほど、デューイがあれだけ忠告するハズだとアランは思った。アランは様々な場所に行ったが、ここほどに瘴気の濃い場所を知らない。


ここはクレスタン王国とサウランド王国を結ぶ一本道からかなり離れた場所にある奥まった所で、広大な死者の森の中でも一番瘴気の濃い場所。普段人々はこんな所までは入ってこないだろう。


カイの探し求めるミレンの花は、濃い瘴気の中に咲く伝説の花である。ここになければ他に何処にあるのか見当もつかない。そして誰も本物は見たことがない。否、もし見たことがあったとしても、死者の森から帰ってくることができなかったのかもしれない。


アランはあの山小屋を過ぎた辺りから、ずっと頭痛に悩まされていた。森の奥に進むにつれ、頭痛は酷くなっている。そして、既視感……。自分はこの風景を知っている気がする。しかしどうしても思い出せない。大切な何かを忘れているような……。


「アラン、見て。洞窟があるよ。」


そうカイに言われ、洞窟を見たアランの心臓が、ドクンと大きく鳴った。自分はこの先になにがあるのかを知っている。そしてそれを守るかのように現れる………。


そこまで思い出し、アランはバッと後ろを振り返る。それを見た時、驚きと恐怖でアランの目が見開かれた。


ヴヴヴゥゥ……。


うなり声を出し、嫌な臭いを放つ。


足音を立てずに静かに獲物の背後に迫り来る。


そこには巨大な虎型のモンスターがいた。右目は何かが突き刺さったのか、潰れて失明しており、左目は瘴気に侵されたモンスター特有の赤い光を放っていた。


しかし、他のモンスターと決定的に違うのは、肋骨が皮膚から突き出ていて、内臓が腐っているということだ。まるで動物のゾンビだ。


アランから見て、生きているのが不思議なくらいだった。瘴気の力で無理矢理生かされているのだろうか。


アランがふと後ろを振り返ると、カイは恐れおののいて腰を抜かしている。恐怖から目に涙がたまっていた。無理もない。


「……カイ!逃げろ!僕達ではこいつに敵わない!」


カイは首を振った。恐怖で動けないのだ。


アランは必死でカイを逃がす方法を考えた。まずはこいつの意識を自分に集中させなければ。


しかしモンスターは意外にもアランを見ている。普通、肉食獣は弱い者を襲うものだ。それは、より確実に獲物を仕止めるための野生の本能なのである。だが、何故?アランに考えている余裕はなかった。


そしてモンスターはアランに向かって咆哮を上げた。


「ヴオオオオォォォッ!!!」


モンスターは牙をむき、アランに敵意を向ける。


アランの脳裏にチリチリと何かの記憶がちらつく。それは過去、自分がこのモンスターと対峙した時の記憶のようだ。その時のモンスターはまだ右目が開いていた。


自分は過去にこのモンスターと戦ったことがあるのか?アランは混乱していた。


モンスターはその隙を見逃さない。モンスターはその前足を大きく振りかぶり、アランの体を軽々と振り払った。アランの体は高く宙に浮き、あの洞窟の前まで飛ばされた。


「アラーーーーーン!!」


カイの叫び声が森に響く。








アランの異変、凶悪モンスターの登場物語は段々と加速していきます。これからもアラン達をよろしくお願いいたします。

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