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光を受け継ぎし者 ―追放された光は導かれ再起す―  作者: ネオ他津哉
断章「継承者の知らない黒アイリス」編
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閑話その3「懺悔と後悔、里中流美の場合」-転-


 どうするかと本気で悩んでいる黎牙様とは対照的に奥様の表情は晴れやかで、なお余裕な態度を崩さずに少し考えた後、何食わぬ顔で言った。


「それはね、光位術士の未来のために大事な儀式をしてたのよ?」


「ふ~ん、だから二人とも聖霊力が凄い上がってるんだ!! すご~い!!」


 間違ってはいない。さすがは黎牙様の奥方様だと感心していた。お二人の行為はまさに将来のためだろう色んな意味で……。


「御もっともなご意見です。奥様」


「おい流美!! いや、ま、まぁ間違って無いが……」

 

「やっぱり流美さんは話が分かる~!! こっちに引き込んで正解だった。じゃ、あなた? スッキリしたし! 今日は完全オフだから、何しよっか?」


「いや、スッキリって、ああっ、もう、真炎も居るんだぞ!! アイリス!!」


 黎牙様、それは自白しているようなものです。冷静で思慮深かったあなた様どこにいかれたのでしょうか? つい数日前までは日本全体を巻き込んだ未曾有の危機を救った英雄とは思えないですが、私は妙に安心してしまった。


「じゃ、今日はトランプでもやろっか? マホちゃんはやったこと有る?」


「学校で聞いたことある……けど」


「なるほど。じゃ、アイリス姉様が教えてあげましょう!!」


 その後、アイリス様の思いつきで始めたババ抜き、大富豪などに夢中になった真炎様に私達三人は六時間以上も付き合わされ、夕食を理由に外に連れ出すまでトランプ三昧となってしまった。もちろん夕食は……いつものファストフードでした。


「じゃあ明日は、また、あの家(炎央院)に行くのか?」


「ええ、大丈夫よ。流美さん、明日もよろしくね?」


「はっ、かしこまりました」


 そして昨晩と同様に真炎様の隣のベッドで寝つつ、夜中にしっかりと起きると私は浅ましくも主である二人を覗いてました。あくまで今回も不信な物音が聞こえたからと自らに言い訳をし、様子を見守るだけにしようと決めてコッソリと扉に張り付く。


(気のせいでしょうか? 一昨日よりも扉が開いてるような気が?)


 しかし、さすがに気のせいだと思い直すと私は今日もお二人の情事を覗きながら自分を慰めた。せめてホテルに居る間はこれくらいの役得が有っても許されると自分を甘やかしながら私の情けない行為は明け方近くまで続いた……。





 翌朝は早くも炎央院邸へ、そして本日は黎牙様に真炎様を送ってもらい、フロントで二人と別れるとアイリス様に今日の目的を告げられた。


「本当……ですか?」


「ええ、どうする? 嫌だったら来なくてもいいよ?」


「いえ……お付き合い致します。奥様」


「ありがと。正直助かります。初対面の人だからね」


 そして炎央院邸に着くと係の者が訝しげに私たちを見るが奥から来た人物によって制せられた。


「その方は私の客人だ。キチンと案内するんだ」


「ですが衛刃様っ!! あの牢は、それに、この女はあの出来損ないの、はっ!?」


 愚かな炎聖師が口走った瞬間に横から圧倒的な聖霊力で地面に縫い付けられるようにその女はひざまずかされた。動けないのか視線だけをアイリス様に向けているのが滑稽だった。


「あなた、次に下らないことを口にしたら三日は立てなくしますよ? その上で何か言うことは有ります?」


「ひっ、す、すいま――――「今はこの場に居ないレイに謝りなさい。私が聞いててあげるから、早くね?」


 炎乃海様に見せた顔より数段は恐ろしい笑顔だった。アイリス様は笑顔が眩しいと黎牙様が言っていたが、これは違うベクトルで恐怖を感じる眩しさだった。


「もっ、申し訳ありま、せんでした……黎牙……さまっ、に謝罪致します」


「アイリス殿、どうか、その辺で許して頂けると」


 衛刃様も横で頭を下げているのを見たのに気づくとアイリス様も聖霊力を抑えて向き直る。その瞬間に地に這いつくばるように術師は解放され呼吸を荒くしてビクビクと震えていた。


「ええ。結構です。出来れば《《レイに》》謝って欲しかったのですが衛刃様の取り成しならば、これ以上言うと私がレイに怒られちゃいますからね?」


「ありがとう。アイリス殿」


「アイリスで結構ですよ。レイの叔父さんなら私にとっても義理の叔父って関係ですからね?」


 そう言ってウインクするアイリス様に若干引き気味の衛刃様、これは中々と面白い絵面だ。ここ最近はご苦労の多い方だったが、そもそもは『獄炎の賢王』と呼ばれるほど冷静な方で、その方がここまで動揺されているのは娘のお二人の関連以外では本当に珍しかった。


「ああ、ではアイリスさんとお呼びしよう」


「う~ん。ま、仕方ないか。では、そろそろ例の場所への案内をお願いしても?」


「ああ、私も途中まで同道する。代わりの者は炎乃海の抜けた穴を埋めるために業務を頼んだ私の秘書だ。安心して欲しい」


 衛刃様に聞いた話だと炎乃海様は今、地下の鍛錬場に籠って美那斗やエレノア様と鍛錬をしているそうだ。鬼気迫る表情で死に物狂いで修行中と聞いてアイリス様が苦笑していた。





 そして私達が案内されたのが本邸の奥、雑居牢と呼ばれる場所だった。その入口には一人の男性が強い聖霊力を辺りに撒き散らすように泰然と佇んでいた。


「兄上、《《また》》こちらにいらしてたのですか?」


「うむ、衛刃よ。さすがにワシもアレが気になってな……」


「そう、ですか……兄上、その、こちらは……」


「あやつの、いや我が師の嫁殿と聞いた。本日はわざわざのご足労感謝する」


 相変わらずの聖霊力で地下から溢れそうな炎乃海様の力を除いてこの家では最高の力を持つ前当主の刃砕様だった。雑居牢の一番近い部屋で寝起きしていると聞いていたが、こんな奥まったジメジメした場所だったとは……。


「いえいえ、お義父様、私もお会いしたかったです」


「失礼ながら師の嫁殿からそう言われても少々困ってしま――――」


「そう接しなければ、今さら実の息子ともお話が出来ないのですね? お義父様?」


「っ!? ワシ、いや私は力に敬服し、畏敬の念をもっているだけで……」


 今日は珍事が多過ぎると私は改めて実感させられた。衛刃様に続いて刃砕様まで慌てている。私が知る限り動揺しているのは黎牙様に負けた時以来だ。それ以外は色んな意味で規格外で、ある意味で最近は黎牙様も割とやり込められていた節があって手を焼いていた印象だ。


 だから刃砕様が追い詰められている光景は不思議で私達は純粋に驚いていた。だけどアイリス様の話はまだ終わって無かった。ニコリと笑うと喜びを抑えきれないといった表情で刃砕様を見るとハッキリと言葉にした。

 

「ふふっ、やっぱりレイと親子なんですね? 頑固なとこも照れ屋さんな所もソックリ。さて、では奥ですね……失礼します」


「奥様っ!? では私も失礼致します。刃砕様、衛刃様」


 颯爽と刃砕様の横を抜けるアイリス様を追うために慌ててお二人に礼をすると私も続いた。しかし少しだけ気になってしまい、さり気無く後ろを振り返ると衛刃様は呆気に取られ、刃砕様は決まりが悪そうに複雑な顔をしていたのが印象的だった。


「あれが、光の巫女……いや、あやつの妻か……ふっ」


「兄上? 頬が緩んでいますが?」


「言うなよ衛刃、耄碌したものだワシもな」


 奥に続く木製の古い扉の前には白い戦闘衣、光位術士が二人立っていてアイリス様に気付いた瞬間に慌てていた。対するアイリス様はため息を付いて一言下がるようにと言うと二人は道を開けた。この光位術士たちは昨日付けで日本入りした人員だそうで、道すがら話してくれてた。


「はぁ、やっぱり……か。ベラ、そこまでよ」


「おっ、お嬢様!? どうしてここが……ですがっ!?」


 さらに奥まで進み最後の鉄扉を開け中に入ると雑居牢には六人ほどの人間が居た。光位術士はベラさんともう一人、今回の戦いの前に負傷していたエレノアさんの副官で私も何度か指南してもらったマックス副長の二人がいた。


「今すぐに四人を解放しなさい。もう風聖師としての仕事は充分に終わったと聞いたのだけど?」


 室内では光の鎖の術、前に黎牙様に聞いたグリムチェインと呼ばれる拘束術で四人の術師が縛り上げられ、まるで奴隷のように扱われていた。


「お嬢様、この人間達は、しかも一人はレイの追放の主犯なのです!! それだけでこの扱いは当然です!!」


「そうだね間違ってないよ。それでも……その人はレイのお母さんなんだよ?」


 どこか悲しそうに言うアイリス様に対してベラさんは真っ向から反対の姿勢を崩さずに叫んでいた。


「お嬢様は甘過ぎます!! レイに影響されてですかっ!? あの時も、初陣の時も、レイが敵を見逃さなければ、お嬢様はここまで酷い目に遭わずに……」


「やっぱり、あの時のことまだ気にしてたんだ。私はもう気にして無いのに……レイも貴女も気にし過ぎよ」


 そう言えば昨晩、寝室を覗いていた時にも黎牙様とアイリス様が二人で似たような話をしていたのを思い出す。確か黎牙様が向こうに渡って一年後の初実戦の時の話だと二人は抱き合いながら話していた。


「レイも悔いていた。それでも考えを変えず継承者として必死に戦ったレイをさらに襲った悲劇、お嬢様は知っているんですよね? だから甘さを捨て戦い抜いたレイの想いを踏みにじるおつもりですか!?」


「うん。全部聞いたよ再会してから毎晩ね? だから私もずっと慰めてお願いもしてたんだ。レイの大事な想いを、心を失って欲しくなかった。だってレイの本当の想いは自分でも分からないほど歪んでるんだよ……長い戦いでね。だからこれ以上阻むなら……ここから先は光の巫女の言葉と心得なさいイザベラ=ヒューイット」


「それが当主様からのご指示でも?」


 ベラさんは最後に確認するようにアイリス様に言った。それはどこか許しを願うような声音にも私には聞こえて、なぜか彼女の気持ちが分かってしまった。シンパシーを感じたのだと気付いたのは少し後だった。


「ええ。昨日の内にお爺様とはレイも交えてキチンとお話をしておいたの、連絡遅れてごめんね」


「なるほど、納得は出来ません……。ですが、分かりました。任務は完了と見なして私達は撤収致します」


 そう言うとベラさんがグリムチェインを解除して外に出ようとする背にアイリス様は逃がさないように声をかけていた。


「ベラ、私とレイのために本当にありがとう。今度お礼にランチでもどう? 二人で久しぶりに話したいこと、いっぱい有るんだ」


「…………後ほどPLDS経由で予定をお送ります。では失礼します」


 二人が出て行き場には四人の風聖師が残った。アイリス様は一人一人に丁寧に謝罪と労いの言葉をかけて拘束具を外して行く。そして一番奥で放心している女性に声をかけていた。


 私もよく知るその人物は最後に見た時とは違い精彩を欠いていたが、きつ目の美貌は健在で、かつて炎央院をクーデターで支配しようと画策していた時のままだった。


「ほんと不器用なんだから。でも、ありがとうベラ。さて……初めまして、炎央院楓果さん……いえ、お義母さま?」





 私がレイと再会した日の夜にお互いの時間を埋めるように愛し合い、話し合ったりした中で気になったのはレイの家族の話だった。本人は過去の事で解決したと言っていたけど傍で見ていた私には分かっていた。


(いつものようにカッコ付けて、全部自分で背負い込んで悪循環。昔はカッコよかった姿だったけどね……私達も、もう、それだけじゃダメなんだよレイ)


 だから私がやるしかないと考えてすぐに行動に移した。本当は一週間タップリと二人の時間を過ごしたかったし、イチャイチャしたかったけど全てはレイの迷いを、炎央院黎牙という過去トラウマを解決しないといけないと心に決めて今日まで行動してきた。そして私は今、最大の難敵と対面を果たした。義理の母との初対面だ。


「くっ、それで、あなたは誰かしら? 生憎、私は……男しか、産んでないわ」


 ここは薄暗く壁や床などは触れるだけで聖霊力が反作用する仕掛けが施された場所、封印牢ほどでは無いにしても、並みの術師では脱走は出来ない仕様になっていると流美さんに聞いていた。


「私はアイリス、アイリス=ユウクレイドル。あなたのご子息、炎央院黎牙がレイと名を変えた私の愛する人の妻です。ご挨拶が遅れました、お義母さま」


「っ!? そう、それで、あなたも私を笑いに来たのかしら? こんな無様を晒している私を!!」


 ジャラジャラと鎖の音が気になり確認すると罪人のように両足首には足環が付けられ、その先には鉄球のような重りが、更には首にもチョーカーのような特製の封印具が付けられていた。これは我が社で開発した闇刻術士を封じるための封印具だ。


「まさかこれを持ち出したなんてね……レイ」


 恐らくお爺様の指示だろうけど、これの使用許可は日本に居た中で指揮権が一番高い者にしか委ねられてないはずだ。つまりはレイの指示だ。


「ここまで恥を晒す気は無いわ……出来れば一思いにしてくれると助かるわ」


「そんなこと致しません。まずは回復します。フォトンシャワー、それとレイエナジーもかな?」


「これは……まさか、回復してる? こんな術が……」


 光位術士が上位と言われる最大の所以がこの回復術と聖霊すら祓うことの出来る高出力な術だから驚くのは当然だろう。下位術師はその術が最初からオミットされているとは私達の間では常識だった。しかし実は例外が最近になって二人も出てしまっているのだが今はそれはいい。


「お義母様、昨晩からの隠蔽術及び、洗脳術の連続行使お疲れ様でした。本日からは通常のお部屋でお休み下さい。監視は付きますがこちらよりは快適かと」


 私は継承者と同権限を持つ唯一の存在。だから拘束具は全てその場で破壊した。あとで経費とか備品管理とかでワリーが顔を青くしそうだし、何より勝手な事をしたからレイが凄い怒りそうだ。


「そう、お役御免か……ふふっ、見せしめと言うことかしら?」


 私は流美さんに他の風聖師を任せて楓果さんと二人だけで話すために炎央院の南邸のレイの部屋へと向かった。あそこはレイの結界が残されていたし邪魔は入らないだろうと思ったからだ。


「ノーコメントで。さっ、参りましょう」


 ここが一番の山場だ。この人を抑えたなら後は従妹ほのかさんだけ、彼女だけは、ちょっ~と私とキャラとポジション被ってるから少しだけ意地悪はする予定なんだけどね。それより今は目の前の嫁姑問題? それの解決だ。





 アイリス様に言われて他の風聖師、おそらくは嵐野家の、つまり楓果様の親戚の方々を医務室に運ぶと露骨に邸内から睨まれる。仮にも炎央院を滅ぼそうと画策した家の人間だ。主犯が裁かれた涼風家と違って楓果様を始めとした嵐野家は別という事なのだろう。


(散々と黎牙様の追放に加担しておいて良くも抜け抜けと他者を責め立てるとは愚かな……いや、私もあの方に何一つ報いる事も無く追放に加担した同じ穴の狢か)


 いつものように自己嫌悪に陥りながら三人を本邸の医務室に預けた後に介抱していると扉が開いて入室してきた人物に私は驚かされた。


「刃砕様?」


「うむ、流美か、あ~……その、楓果は?」


「奥様、いえアイリス様が話が有ると南邸にお連れになりました」


「そうか……ではここはワシに任せてもらおう。お前も行くがいい」


「ですが、よろしいのですか?」


「今は一介の炎聖師だ。気を使う必要も無い。あれの相手は手強い。いくら強かな嫁殿でもな? 助太刀してやれ」


 私は少し悩んだ末にアイリス様の下に向かう事を決め医務室を後にした。そして南邸に向かう途中で予想外の出来事に遭遇していた。


「美那斗!? どうしたの血相変えて?」


「ああっ!! 流美さ~ん!! なんか炎乃華様がいきなり倒れられて、エレノア隊長を探してて、ワリー様が面倒見てて、それから、えっと」


「落ち着きなさい。まずは地下の鍛錬場のエレノア様を呼んで来なさい。手が離せないご様子なら本邸の庭にレイ様の同僚がおられるのでフロー様をお呼びして、とにかく私も一度向かいます」


 事情を聞き出すのも難しいと判断して指示を出すと脱兎の如く走り出す。あの子は光位術士として既に私よりはるかに強い。

 しかし、それでもまだ中学生でこの間までは本家に雑用のために奉公に来ていただけの子だ。こんな火急の事態に対応なんて出来ないに決まっている。


「さて、まずは状況確認と報告ね。どうやら何もしてない様子……仕方ない、か」


 美那斗は聖霊間通信で近くの人間に招集をかけるのではなく走って探していた。いくら力を手に入れても術師となって数週間では混乱するとこうなる。私は素早く聖霊間通信で衛刃様に報告を入れ、次いで炎央院の医療班に話を通して入院の可能性を考慮し待機するよう命令を下した。





 それから数時間後、炎乃華様の気絶の原因は不明で現場のワリーさんと琴音様によると、お二人と予算の話をしている内に倒れたそうだ。そして私は今、炎乃華様の書斎に一人残りその中の書類を精査していた。


「これは、真炎様と私の分の宿泊費ですね。しかもまだ決算は下りてない……こんなにするのですね……」


 特別な討伐任務を五回こなした上に私の月の給金を足した額の数字を見て震えていた。そこで少し考えた後に私は決算済み書類の束の中にそれをコッソリと忍ばせた。

 炎乃華様に心の中で謝りながら、あの金額を黎牙様たちに出してもらうは憚られると考えた末の行動だった。

 ちなみにこういう場合の諸経費は炎乃華様が立て替えている場合が殆どだ。私はそこで本来の用事を思い出し急いで南邸に行くとそこにはアイリス様しか居なかった。


「あの、アイリス様? 楓果様は?」


「うん。色々と話し合って明日来てもらう事になったよ。それで、お迎えに来た刃砕お義父様に連れて行ってもらったんだ。それより随分と騒がしかったけど、どうしたの?」


 そこで私は炎乃華様が倒れた事や聖霊使いの専用病棟に運ばれたことについて簡単に説明した。


「えっ!? 嘘っ!! この後に炎乃華さんの説得だったのに!? う~ん、仕方ない。ちょっと私、炎乃華さんと話して来るから先にホテルに戻ってて!!」


「奥様!! 場所はご存知ですか!?」


「大丈夫! 聖霊が教えてくれるから!! 行くよエルゴ!!」


 庭に出た瞬間に白銀のドラゴンが出現しアイリス様が背に乗って上空に飛び去るとすぐに消えた。おそらくはシャインミラージュ、光学迷彩の術を使って巨体を隠したのだろう。私はしばし呆気に取られた後に大人しくホテルに戻ることにした。

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