第6話「二人の距離と初めましてのご挨拶」
本日も三話更新予定です。
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本社ビル前の戦いから既に二ヵ月、あれから色々あった。まずは戦死者の弔いと遺族への補償なども含めてユウクレイドル家が全面的に保障する事になっていたのでその手続きだ。
実際はL&R Group plcから退職金と見舞金が出る事になっている。
日本を含めた下級術師の家系と違い光位術士は国または国家機関も含め、その存在を一部の者にしか知られていない。なのでこう言う場合は会社からの補償しか出せないから大変なのだそうだ。
そして俺は葬儀への参列や慰問などにも行った。これはアイリスの希望だった。
「継承者様と巫女様のために戦えて夫も満足して果てたはずです」
「バートは私を守って最後まで戦ってくれました。私の目覚めがもう少し早ければ……」
このように多くの仲間を失いながらも俺の日常は過ぎていった。会社全体での大幅な人事異動もその一つで主力のSA1は戦力の半数を失った結果SA2を吸収し、新生SA1として再編成された。
人員は増えたが反面、ルーキーが増えた。つまり実戦経験の無い者も増えたから隊の運営が大変らしい。この編入に伴いSA2は一時閉鎖しSA1とSA3の二部隊の体制になった。
そして最後に俺達のSA3にもSA1の元隊員が編入された。
「イザベラ=ヒューイットです。ベラとお呼びください!! 以後よろしくお願いします!! 若輩者ではありますが実戦経験だけは有ります」
「歓迎するベラ。僕は昨日付けで正式にSA3リーダー、つまり部長に着任する事になったウォルター=キャンベラだ。ワリーと呼んでくれ」
「はいっ!! そしてワリーそちらが?」
そう言って彼女の翡翠色の瞳が刺すように俺を見る。品定めするように視て来るのでこちらも視線を合わせた。栗色のショートヘアはキッチリ肩口より上で切り揃えられ規律に厳しい印象を受けた。
「初めまして、炎央院黎牙です。レイと呼んで下さい。ベラ」
「はじめまして継承者様、アイリスお嬢様と二人の戦闘を遠目ながら拝見させて頂きました。私の同僚の仇を討って頂き感謝します。ただ、継承者様は大変慈悲深くていらっしゃるようですので……」
奥歯に物が挟まったようなニュアンスが表情と言動で感じ取れた。だから俺はあえて聞いてみる事にする。これから同僚で戦友になるのに隠し事はお互いに良くないからと判断したからだ。
「すまない。俺は少し鈍感らしいからストレートに言ってくれると助かる」
「はい。では敵は討てる時に撃てと言うのがSA1の……私達の戦い方でした。ですので敵を見逃すのは論外、甘過ぎる。そう申し上げたいのです」
「耳の痛い話だ。心に留めておくよ。ベラ」
ベラは目礼だけするとジョッシュとフローにも挨拶している。随分お堅い、そして彼女の年齢はアイリスの一つ上つまり十六歳だと言う。
SA1は六年以上の実戦経験者しか所属していないはず、つまり彼女は十歳の頃には既に戦場に居た計算になる。ものすごい猛者がうちのセクションに来た事だけは理解した。そして俺はやはり甘いんだろうなと一人反省していた。
◇
あの戦い以降、演習場では別の訓練も行っていた。神器を受け継いだ俺の力はもはや桁違いなので力を抑えて戦うなどの訓練だ。その合間に俺はアイリスに剣術などの近接戦闘について教えていた。
ダークフレイと戦うまでは接近戦などは聖霊力のごり押しで補っていた彼女だったが同格相手に完膚なきまでに敗れた事でキチンと鍛えたいと思ったそうで、なら俺の力の制御と一緒に訓練させてみようとなったのだが……。
「レ~イ~、握りが甘いとはどう言う意味なんですかぁ~?」
「ああ、レイ・ブレードの力場は俺たちの場合はPLDSから出力されるから腕で持つと言うより腕から生えている感覚で振ってしまうからそこに無駄が出来るんだ」
「う~ん、分からないのでもっと詳しくぅ~!!」
何度か訓練用の模造剣や木刀で振りを見せると少しは上達したように見えるけど何か違う。腰が入って無いのか姿勢が悪いとも見れるし、それとも全体のフォームだろうか。
そう言えば昔勇牙や炎乃華に剣を教えていた時もこんな風に悩んだな……あの時は……。
「分かった。構えて、そう、じゃあちょっと失礼」
「はい? きゃっ……あっ!?」
俺は昔、鍛錬の時に後ろから刀をどう見えているのか、視線やその人間の視点に立って教える方法を考えた。言葉で当時の二人では理解してくれなかったからなのだが、幸い二人ともそれで覚えてくれた。
だから俺は構えた彼女の背中から抱きしめるような形で後ろから彼女の手に合わせように木刀を握り込む。ゴルフのコーチとかがよくフォームを教える時のグリップの握りを教える方法の剣術版と言った感じだ。
「あ、あのぉ、レイ……わたっ――――「よく握り込んで。こうギュっと、それで今は姿勢とか考えないで……うん、いい感じだよアイリス?」
この方法は俺が勝手に思いついたもので俺より背が低い相手にしか出来なかったりと欠点も多いのだがアイリスにはその点で問題は無かった。
ただ最近は少し甘えて来る事が多くなっている気がして、放課後はすぐに帰宅しこの演習場に一目散に来て俺と訓練をしている。さて、こんなものかと木刀の握りを放して体も離す。
「あっ……もっと……んぅ~」
「どうした? まだ何か分からなかった?」
「えっと…………はいっ!! まだ分からないのでもう一度――――「アイリスお嬢様、よろしいでしょうか、継承者様も」
俺たちに割って入って来たのはベラだった。彼女はSA1時代から使っている大型の槍の聖具で訓練をしていたようでそれを片手で担いでこっちを睨んでいた。
「お二人が、仲睦まじく訓練をされる事は大変結構ですが……少し、周りを見て訓練して下さると」
「あ~今回は俺もベラに賛成~。お前らイチャイチャし過ぎなんだよ最近さ」
ベラは良いとしてジョッシュは俺と交代で今は業務中の筈なのに何で居るんだと言う質問は普通に無視された。あとでフローに言いつけてやる。
「いや、これは昔俺が考案した訓練方法で――――「お前は問題ねえんだ。問題は姫様の方なんだよ」
「私もレイの方から邪念は感じられません。逆にそれはそれでイラつきますが……お嬢様がその……普段まず見た事ない顔を……」
「うっ、でもベラ……少しくらい良いじゃない。そ、それにレイがこうやって教えてくれるのは良い事でしょ?」
そう言いながら俺を盾にしてアイリスが背中から抱きついて来た。彼女は今はインナーシャツに下はジャージ、髪を後ろでまとめていて運動しやすい恰好なのだがその分、体形が出やすくなっている。
「アイリス……その、前にも言ったけど訓練の時に抱き着かれると……その」
「え? どうしたんですか? 私ぃ? 何かイケナイ事してますか? レイ?」
更に甘えるように笑いかけて来るアイリスに俺は結局いつも全てを許してしまう。二歳下のこの子に上手い事弄ばれている感じがしてならない。
この間までの良い子だったアイリスはどこに行ったのだろうか? 今は可愛い妹が甘えてくる感じがして、これはこれで悪くないと思ってしまう。
「違う意味で姫様の一面を垣間見た気がしたわ……」
「お嬢様ぁ……いくら約束された方とは言え……もう少しこう……慎みを」
ちなみにこの間ワリーとフローにも似たような事で注意されていた。それとは逆にオリファー部長なんかは逆にもっと訓練しても良いとか言われてしまい、SA1の他の隊員たちはむしろ個別トレーニングルームを二人で使えとか言われる始末だ。
その度にベラが顔を真っ赤にして元同僚たちに突っかかって行ったりと色々と複雑な状況だったりする。そんな少しだけ平和を享受していた俺達SA3にバーミンガム支部への緊急出動要請が出た。
◇
ロンドンからバーミンガムまでは大体160キロ、若干の誤差は有るが東京から静岡くらいまでの距離だ。だからイギリス中に張り巡らされている光位術士の移動手段の一つでも有る『光の道筋』を使い移動する。
イギリスの鉄道網の更に地下深くに古代の術師たちが作った連絡路『光の道』に鉄道網を百年以上かけて埋設させ完成したものだ。
この鉄道網及び車両は光位聖霊術を付与され更に光位聖霊の力や加護を受けた物で、英国内ではかなりの速度で移動が可能となる。
そしてこの本社の地下に、そのメインターミナルが有り各支社地下にそれぞれ駅がある。あくまで大都市間を結ぶためだけに作られた光の道なので支社の数と同じで七つしか存在していない。
「SA3!! 全員注目!! 現在はバーミンガム支部及びニュー・ストリート駅で爆破事件が発生、闇刻術士の関与が高い、通常の霊現象では無いと考えられる。恐らく敵の狙いは駅だが支社も襲われているために俺たちが急遽出る事になった!! 質問は!?」
「ワリー、何でアイリスが居るんだ」
「え? 何かご不満? レイ?」
そう、ここに装備を揃えて呼ばれ待機しているとワリーの後から、ひょっこりアイリスが付いて来た。他の三人を代表して俺が聞くと難しい顔をしてワリーも言い難そうにしている。
「いや、その……CEO、ご当主の命令だ……」
「お嬢様……ま、まさか」
「な~に? ベラ? 私はこの間のような災禍が迫るのなら継承者と巫女は常に一緒に居た方が良いとお爺様に進言しただけよ? ね? レイ、私おかしいかな?」
俺の横にトコトコやって来て上目遣いで見て来るアイリスを見ながら考えた。確かに俺たち二人が揃ってやっと戦えるような敵の出現の可能性も考慮するなら間違ってない。
幸いこの本社にはアレックス老達も居るし、神器を守る必要も今は無いから全力戦闘が出来るはずだ。つまり問題は無いということなのか。
「騙されないでレイ、明らかに権力の濫用が起きているわ!!」
「それにレイはあの後も何度か俺たちと一緒に戦ったけど姫様は実戦一回だろ? ワリー!? さすがにマズイぞ」
フローとジョッシュが悲鳴のように声を上げていてベラもワリーを睨んでいる。そんなワリーは命令に従っただけだと最年少のベラにペコペコ頭を下げて謝っている。やはり光位術士も実戦経験の長さで上下関係が決まるようだ。
「だ・か・ら!! レイと私は常に一緒に居るんですよ? ジョッシュ、巫女は継承者に付き従い、継承者は巫女を守る。これが太古からの有り方で、そう、番のような……言わばこれはもう夫婦と言っても過言では無い関係!! だから問題無いのです!!」
「なるほど一理あるな」
「「「「えぇ……」」」」
アイリス以外の四人が呆れているが理由が分からない。これは戦力的に見ても問題は無いし俺がアイリスから離れず護衛をしつつ二人で戦えば問題は一切無いからだと説明する。
するとジョッシュは「はいはい継承者様の言う通り」と言って先に列車に乗り込んでしまった。ベラやフローも後に続いてワリーだけは俺たちを見るとため息をついた。
「さ、行きましょう、レイ!! バーミンガムへ!!」
「ああ、行こうかアイリス!!」
そしてノンストップで160キロを10分弱で走り終えると俺たち六人はすぐに支社の地下から出撃する。俺は少し出遅れたアイリスをお姫様抱っこして戦場に到着した。支社の戦力は充分だったようだが、その中に聖霊以外の化け物が混じっている。
「妖魔と悪鬼の類か!? 英国にも!?」
「そう言えばレイは闇刻術士以外との実戦は初か、だがしっかり頼むぞ。ベラとフローは右翼、レイとお嬢様は左翼に、俺とジョッシュが正面を開く、PLDSは常にオンに、では全員散会!!」
俺達は支社での戦いを終わらせて続いて駅の激戦区へ向かう。主力の部隊が展開しているようなのですぐに救援のために全員でレイウイングを展開してニューストリート駅に飛んだ。
◇
バーミンガム・ニューストリート駅の構内では光位術士と闇刻術士たちの戦闘が起こっていた。支社では暴れ狂う闇刻聖霊と触発されたただの悪霊に近い妖魔の類が暴れていただけだったが、こちらは完全に人間同士の戦いになっていた。
「ふんっ!! させんぞ風の四卿よ。この俺が居る限りこれ以上の被害は出させん!! サラ!!」
「ええ、フォトンシャワー!! みんな立ち上がって!! 援軍がすぐ来てくれるはずよ」
「けっ、前代の奴らが偉そうに言うから期待してたから遊んでやったのに、強いのは後から来たオッサンと、そこの女だけじゃねえか光位術士なんてさぁ!!」
少年、ロード・ダークウィンドーはやって来た光位術士を闇の竜巻をぶつけて蹴散らし、トドメを刺そうとしたら目の前の二人が現れた。今までの相手とは違うと風のロードは考えたが同時に彼のターゲットでは無いと判断する。
「ふ~ん強いけど、継承者とか言う奴はいねえの? あと巫女だっけ? そいつら始末してやろうと思ってたんだけどさ~」
「貴様如きがアイリスと会えるなどと思うなよっ!!」
光位術士、ヴィクター=ユウクレイドルはレイ・ブレードを展開して風の障壁に斬りかかる。すぐに障壁が切り裂かれると判断したダーク・ウィンドーが回避して距離を取ると闇の真空波を飛ばす。
「オッサンやるじゃん? もしかして本気出しても良い系? やっちゃうぜ!?」
「あなたっ!? これは……グリム・ガード!! 正直持つか怪しいわね」
「ならば切り裂くのみ!! おおおおおおおおお!! 闇よ滅せよ!!」
サラ=ユウクレイドルは光の障壁を展開しながら負傷者を庇い、さらに自分の夫にも同様の術をかけていた。しかしダークウィンドーに近付くほどに術の効力は落ちていく。
ロードの闇と風のフィールドの前に光の壁が削られていた。
「けっ、近づくんじゃねえオッサン!! 闇の風よ吹き荒れろ!!」
「ふんっ!! 甘いわっ!! クソガキっ!!」
真空波を一刀両断するとダークウィンドーに肉薄すると、そのままレイ・ブレードで切り裂いた。しかしそれはよく見たらダークウィンドーではない別の術士だった。いつの間にか入れ替わっていた。
「あぶねえなオッサン、物理野郎はこれだから……」
「幻惑か……厄介なガキめ。やはりロードと言う事なのか」
「これだけじゃないぜっ!!」
続いて闇の刃が迫るが、これも闇刻術士の得意な術の一つだ。しかし他の術士と明確に違うのは風聖術の付与のせいで速度が尋常では無く歴戦の光位術士のヴィクターであっても全ては避け切れず防ぐので手一杯になっていた。
「あなたっ!! フォトンシャワー!!」
「くっ、助かる、サラ……しかし」
「厄介だなぁ……まずは女ぁ!!お前からだ!!」
回復手のサラに攻撃を加えるがそれも彼女の術で防がれる。ヴィクターとサラ、このバーミンガム支社長夫妻はアレックスを除けば最近までは『最強の夫婦』と呼ばれていた実力者だ。いくら四卿と言えど簡単には勝てないだけの実力が有るのだ。
しかし両者が膠着状態なのは変わらない。だがここで、その状況を動かす若者たちがこの場所に到着した。その中には二人を上回る聖霊力を持った術士が二人もいた。
「ロンドン本社所属、SA3及び臨時一名現着、これよりバーミンガム支社長夫妻の支援を開始する!! 先ほどと同じように、ただ『四卿』の相手は二人に任せる!!」
このタイミングで黎牙たちSA3が到着した。そしてヴィクターとサラの前には黎牙にお姫様抱っこで運ばれて来たアイリスも合流した。
これは単純にスピードがアイリスはまだ足りないための措置なのだが、この場で納得出来ない人間が一人いたのだった。
◇
「よいしょっと、レイ。ありがと快適な空の旅だったよ?」
「それは良かった。さて、四卿ここからは俺達が――――「きっさまぁ!! 俺のアイリスを抱いて来るとはどう言う了見だっ!! そこに直れっ!!」
「えっ?」
見るとバーミンガム支社長と思しき歴戦の戦士が俺を睨んでいて俺とアイリスの間に強引に割って入って来た。困惑して周囲を見ると横の女性が苦笑いしてる。支社長夫妻って事は、この二人は夫婦なのか? でもこの女性どこかで見覚えがある気が……。
「パパ、もうっ!! やめてよ……レイが驚いてるじゃない!!」
「パパ? えっ!? お、お父さん!?」
「お義父さんだとおおおお!! 貴っ様ぁ!! お前にそう呼ばれる筋合いは無い今すぐ離れろ!! アイリス、パパはこんな結婚断固反対だっ!!」
いや結婚て……どこから出て来たんだその話。俺と彼女はパートナーだがそういう関係では無いのだがな……。
「はいはい、あなた、いい加減にして今は戦闘中よ。ごめんなさいね黎牙さん。私はサラ、この子の、アイリスの母よ。よろしくね」
なるほどアイリスと似てたから見惚れていたのか……納得だ。
「はい、炎央院黎牙です。この間、光の継承者を襲名致しました。本日はお日柄も良く……」
「あっ!! ママ!! 私のレイと勝手にぃ……レイ、なんか見惚れてない?」
俺の左腕に抱き着いて自分の母を威嚇するアイリス。確かにサラさんはアイリスと違って黒髪だがその姿はそっくり生き写しと言っても違和感がまるで無い。アイリスもあと数年でこんな美人になるのだろうか……。
「貴っ様ぁ!! ま、まさかアイリスだけでは飽き足らず妻にまで!! いい加減に」
「いい加減にするのはあなたよ? 娘婿が来たからと慌てないで、今は戦場よ?」
そうだった家族漫才に巻き込まれていたけどバーミンガム・ニューストリート駅は今まさに崩壊寸前だった。俺は神の一振りを抜くと改めて上空で待機してくれていた?風のロードを見る。
「終わったか? オッサンとニーちゃん達の漫才、こっちはその間に回復させてもらったぜ!! 敵に回復のチャンスを与えるとか無能でしょ。アハハハハハ」
「ちょっと、パパのせいでレイと私まで無能扱いなんだけど?」
「アイリスぅ……なんて酷い事を、昔はそんな子じゃ無かった。やはり付き合っている男に染められたのか……許さんぞ貴様!!」
敵の闇の真空波を切り裂きながら俺を睨むヴィクターさん。どうあっても全て俺が悪いらしい。思わずサラさんに助けを求めるとフフッと優雅に笑われた。
やっぱりアイリスに似てキレイな人だなぁ……と、思わず見てしまった。
「痛っ、アイリス何を――――「レイは今後ママを三秒以上見てはいけません!!」
なぜかアイリスに腕を抓られたので見ると彼女は頬をプクっと膨らませて俺を見ていた。その可愛らしさに思わず頭を撫でると不機嫌な顔からすぐに笑顔に戻ってくれた。割とこれが効くんだよなアイリス。
「あらあら、アイリスがこんなに嫉妬なんて珍しい。黎牙さんアイリスをよろしくね。この子ご覧の通り甘えん坊で」
「もうっ、ママぁ~!!」
「さっきからパパしか戦って無いんだけどなぁ~?」
ヴィクターさんが悲痛な声を上げて一人で真空波の対処をしているので、確かにそれはマズい、ではそろそろ光の継承者……炎央院黎牙行きます。
レイ・ウイングを展開して俺は神の一振りにレイ・ブレードを纏わせた。さて、残りのご両親へのご挨拶は風のロードを倒してからだ。
誤字報告などあれば是非ともよろしくお願い致します。
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