閑話その2「絶望と喪失、炎央院炎乃海の場合」-破-
◇
ふ~ん、生で見るのは初めてだけど……これがレイの元許嫁さんか、確かに美人、それに一人産んでるのにスタイルが崩れてない。あと私より少し大きいのが余計に腹立つわね。
だけどそんな事はどうでもいい、私のレイを傷付けた元凶がこの人ならやる事は一つ。ちなみに主犯で元凶のお義母様はずっと強制労働だから早めに動く必要が有る。この人はサクッとやらなきゃいけない……実はそれ以外にもこの人には用が有るんだけどね?
「つ、妻っ!? えっ!? 待って、貴女の名前……アイ……リス、さん?」
「そ~だよ!! 母様!! 光の巫女様だよ!!」
それにしても顔はそっくりだけどニコニコ笑顔な真炎ちゃんと驚愕で焦った顔色なのが対照的で面白い。真炎ちゃんにタイミング良く呼んでもらって正解だった。
「はい、光の継承者のパートナーで対なる存在、それが光の巫女です」
「そ、そうなのね……待ってアイリスって、秘奥義の……それに……」
どうやら少し冷静になって来たのかも性悪女さん。いや、そろそろ名前で呼ぼうか炎乃海さん。一応はレイの、夫の身内だしね?
「死んだはず? とでも? レイもまさか技名に私の名前入れちゃうなんて恥ずかしいよ~!! もうっ!!」
「いやっ、気付けば勝手に名前が付いてて、《《故意》》じゃなくて――――「強いていうならそれは私達の《《恋》》の物語の《《軌跡》》かな? ううん《《奇跡》》かも!!」
そう言ってまた後ろに振り返って抱き着いちゃう。ちなみにこれは見せつけるためじゃなくて素でやっちゃいました。そして見るとレイの足元には、ちゃっかり真炎ちゃんも抱き着いてる。やるわね、油断も隙も無い……さすがは親子ね。
「アイリス、さすがに照れる……っと、そうだった。それよりも炎乃海姉さんの腕だ。見てもらわないと」
「それなんだけどね、レイ、真炎ちゃんを連れて出てくれる? ほら、腕の付け根とか上半身とか脱いでもらうから色々とね? レイには入り口で待ってて欲しいの」
「そうか、じゃあ真炎行こう、炎乃海姉さん、そう言うわけで一度出ます。大丈夫、俺の妻は治療系の術式は俺より何倍も上手だから。それでは!!」
それだけ言うとレイは真炎ちゃんと入り口まで素早く出て行った。そして私は結界を三重に張った。音が漏れないように……。
「あっ、黎牙ちょっと――――」
「さぁ~て!! ち・り・ょ・う。開始しましょ?」
幸いこの救護テントは女性用で今は男性が誰も居ない。さて、始めましょうか? お・ね・え・さ・ま?
◇
目の前の美女がテキパキと準備を始めている。なんでも私の腕はまだ不安定らしく色々と安定させなきゃいけないらしい。
「そ、その……アイリス……さん?」
「あっ!? ご質問ですか~? レイとの初デートの話ですか? それともレイと初キスの時の話ですか? それともまさか、きゃっ!! 私達の初めての……」
「いえ、そうじゃなくて――――「それともレイを追放した時の言い訳でもしてくれるんですか?」
声のトーンが1オクターブ低くなった。これは知っている。それはそうだろう私が髪を斬られて黎牙に断罪され許された時に向こうの当主は知っていた。ならばこの黎牙の妻を名乗る女が知らないわけが無い。
「それは……言い訳はしない……私が、私がしたわ」
残念ながら打つ手無し、言い訳も有るし、自分なりの信念も私には有る。だけどそれを話しても無駄だ。なぜなら目の前の女の目は既に覚悟が決まっている人間の目だったからだ。
「あら、意外と素直? もう少し色々と言い訳の一つでもしてくれるかと思ったんですけど、じゃ、治療開始しま~す。あと少し刺激入りますから痛いと思ったら右手上げて下さいね~?」
そして彼女が右腕を含めた全身を光位術で固定して動けなくして私の左腕に触り聖霊力を込め始めた瞬間だった。全身に激痛が走った。
「ちょっと、これじゃ手が――――」
「行きま~す!! 少しビリっとしますね~♪」
「ガアアアアアアアア!! アッ、アアアア……かはっ……」
笑顔でここまでの力を流す辺りとんでもない悪魔、いや、その笑顔は見た目は女神そのもので逆に怖さが際立つ。
「う~ん、だいぶ弱く流したんですけど……あの、炎乃海さ~ん? もしも痛かったら……って聞いてないか」
「はぁ、はぁ、はぁ……ああっ……ぐっ、ううっ……」
祐介に腕を奪われた時の何倍も体中に激痛が走る。真炎に腕を焼かれ治療した時よりも、今まで生きて来た中で一番の激痛が体を襲った。
「う~ん、聞こえてますか? まだまだこれからだったのに、これは思った以上に脆いわね……『調律』を受けたって聞いたんだけどな」
「ふっ、はぁ、はっ……いっ、今の……は?」
まだまだ? これがまだ続くと言うのは正直ゾッとしない。今だって体を弓なりにして体が痙攣していたのだから。
「えっとレイのフォトンシャワー受けた事は有りますか?」
「何度か……は、受、けたわ……」
「う~ん……じゃあやっぱり抵抗力は有るはず……なら、もっと弱くすればいけるかな? じゃあ行きますね~♪」
「ちょっ、待っ――――アアアアアアアアアア!!」
そしてその後も笑顔でこの美女、アイリスは数度の調整をして私に対して終始治療を施した。その間に私は汗と、自らの吐しゃ物、そして失禁したものやらでメチャクチャに濡れて、これが人前なら人生が終わっていたであろう醜態を晒していた。
「あっ……ああっ、がっ……くっは……」
「う~ん、さすがに臭いですね。拭きますね? いや術かな」
「じっ、ぶんで……でっ、きる……わ……」
そう言って彼女は胸のペンダントを輝かせ私の体を光らせると全て無くなって綺麗になっていた。今のも光位術なのだろうか? 疑問に思って尋ねると目の前の女は頷くだけだった。
「ふぅ、それに……しても、中々……ハードな責めだったわ、ね? まん、ぞく……かしら?」
「う~ん、正直言うと色んな意味で期待外れ。本番はこれからだったんで、今は本当に腕を安定させたかったんですよ? それにレイはこの程度の責め苦なら旅の途中で何度も受けてましたから」
せめて皮肉の一つでも言ってやろうと思ったら、彼女は真剣な目をして私の言葉に予想外の回答を出していた。
「えっ……?」
「レイが覚醒するまでの経緯は聞きました? レイはあなたが出した追っ手、あ、少し違ったんでしたっけ? 私が再起不能にした人間以外はレイの……お義母様が差し向けたんですよね?」
「あの追っ手をあなたが? どうやって……」
「レイの傍には常に私の聖霊を付けてましたから……あなたが気持ちよさそうにレイを追放したあの日から、ずっとね?」
そう言われて私も思い出していた。都合の悪い事は忘れていたけど私が一度出した追撃の人員の水聖師、これは水森の家に罪を被せる目論見もあって付けていた。
そうだ、私は黎牙が生きていても死んでいても構わないと思って追っ手を出した。それを守っていたのは、目の前の女だった?
「ええ、レイは最初の襲撃後、泣きながら狂ったように嗤ったんですよ……」
「そう、なの?」
「ええ、自分が弱いから無能だからと自分で自分を……どれだけレイが辛かったか。それでもレイは自分の非を責めて恨まなかった……あなた達をね!!」
その後もアイリスさんの黎牙の妻の独白は続いた。中国での襲撃は彼女の聖霊と流美の誘導で何とか凌いだそうだが、その後の旅路も悲惨の一言だった。フランス行きの貨物船に乗るのは密航で劣悪な環境で向こうの疫病、流行り病にもかかったらしい。
「でも、どうして? クレカは持たされていたわよね? それに現金化したものだってあったんじゃないの?」
「はぁ……レイは数度の襲撃で正規ルート上で待ち伏せされるのを恐れカードとパスポートと中国で買ったサイフに最低限の現金を入れて行動して、最後に密航する際に船員に金を握らせて以降は現金など持ってませんでした」
冷静に考えればそうだ。私や楓果伯母様が放った追撃を考えれば黎牙の行動は当然だが、それでも疑問は残ったフランスに行くなら最低限ユーロくらいは用意している筈だ。黎牙ならそうする。
「ええ、もちろん。その位は今のレイなら簡単でしょうね。でも15歳の、それも実家と学校しか往復しないでいた子供が初の海外で右も左も分からない中で、しかも疫病にかかってボロボロになった彼が判断出来るとでも?」
「それなら……病院に――――「そんなの日本くらいですよ!! 全部取られましたよ荷物も、服もね!! しかも病でボロボロだったレイは満足に抵抗も出来ずに……私が何度助けようと……っ!!」
そんな事に、でも、じゃあ何で実家にカードやパスポートを流美経由で送ることが出来たのだろうか? それの疑問にも目の前の女は答えた。
「疫病で倒れたレイは運良く漁師の青年に助けられて数日振りにご飯を食べてました……泣きそうになりながら、何度もその人にお礼を言ってました。その後回復した後は自力でそいつらを倒して荷物を奪い返しました」
「そ、そう……なのね。でもさすがね、自力で取り返すなんて」
彼女が口を開く度に私には自分の過去の罪が次々と降りかかる。分かってはいたはずだし、覚悟もしていた。自分がやった事を、それでも私の心は後悔で押し潰されそうになっていた。
「その後にレイはその野盗たちを警察に突き出して、賞金を貰ってました。何でも札付きの悪だったそうです」
そんな事も有るのかと感心していたら彼女の話はまだ続いた。黎牙は貰った賞金をバス代とその日の食費だけを懐に入れ、残りを全部漁師の青年に渡したらしい。漁師のくれた料理に対するお礼だと語ったそうだ。
「そしてレイはパリで運び屋、売り子、酒場の用心棒なんて色々やってました。でもお給金なんて外国人で足元を見られていた状態では微々たるもの、日本人のレイは日に一個パンが食べられるかどうかでした。それでも半年の間頑張ってました」
「クレカは……位置がバレると思って使わなかった?」
「ええ、命を狙う貴女や実家から逃れるために、この時のレイは生き残る事に必死でしたから。さて、そろそろ治療再開しますね?」
それだけ言うと彼女の両手が光り出した。
「あの、待って、黎くんのその後は!?」
「教えてあげても良いですけど、治療、終わってからでお願いしますね~!!」
その後、私は体に聖霊力を流し込まれた。かなり凶悪な力だったけど徐々に慣れ始めていた。
「はぁ、はぁ……ぐっ、はっ……なしを……」
「はい、これで第一段階は終了っと!! えいっ!!」
「アアアアアアアアアアアアッ!!!」
私の言葉など一顧だにせずに施術する女の圧倒的な聖霊力の前に私は成す術も無く意識がかなり混濁していた。
「ま、これは始まりです。これで腕とそれ以外もだいぶ頑丈になりましたね? 正直これは炎聖師の力を逸脱して……って聞こえて無いか、ではレイの話は後日に……それでは」
最後にこんな言葉を聞いたような気がするけどよく分からなかった。おそらく気を失ったのだろう。
◇
翌朝、起きるとそこは自室だった。なぜか部屋は片付いていて、お父様が昔の、私の処分前の付き人に掃除をさせたらしい。それだけ説明を聞くと私は何とか自力で起き上がり状況を確かめようとフラフラしていると廊下で妹と遭遇した。
「姉さん!? って、腕が……治ってる?」
「あぁ……炎乃華。そう言えば気絶してたわね……えぇ。腕は治ったわ。安定するまで寝てたのよ……」
その後、私はまずはお父様やエレノアさんを探すが会えず、仕方なく部屋に戻る。この時にはだいぶ体調が落ち着いて来ていた。
そして体にも少し余裕が出て来た。馴染んだと言った方が良いのだろうか、付き人に今日は休むと言って布団に横になって少し休んでいた時に気配を感じた。
「今日は休むと――――」
「ユウクレイドル出張治療の者で~す。昨日の続きに参りました~」
「ました~♪」
ん? 二人とも聞き覚えの有る声だと思っていたら勝手に部屋に入って来たのはナース服姿のアイリスと自分の娘だった。
「なっ、何してんの? あんた達……」
「昨日言った通り第二段の治療ですよ。大丈夫、もう私とマホちゃんで結界は張ったので声も音も漏れませんよ?」
その後、昨日同様に激痛が走る治療を数度、今度は真炎からも聖霊力を流される。さすがにアイリス程じゃないにしても激痛なのは変わらない。
「母様~この程度慣れなきゃダメだよ? えいやっ!!」
「ぐっ、ぎっ、昨日……よりは……くぅ……」
そして話は昨日の続きで黎牙が英国に着くまでの話になった。フランスで差別と屈辱を味わいながらも必死に生きて英国に渡るのにも半年もかかった。この時には既に日本を発って一年弱だったらしい。
「それほどまで搾取をされていたの? さすがに長過ぎない?」
「レイは早くから次の国へ行く気だったみたいで拠点をダンケルクに移したんだけど、そこで三人の兄妹と知り合った。港で働くその日暮らしで行く場所の無いレイを受け入れてくれた三人だったけど、レイと同い年のお兄さんが暴漢に殺害された」
暴漢に襲われ兄が死んでしまい。その後に仇を黎牙が取り、その二人を地元のマフィアに近いゴロツキから守って戦ったりと凄い大立ち回りがあったらしい。本当に、どこまでもお人好しで困った人間に優しかったみたいだ。
「そう……それで、その後、うっ!? 真炎ぉ、もっと、丁寧にいぃ~!!」
「母様うるさい。もう少しガマン!! えいっ!!」
娘に容赦なく聖霊力を流され激痛が走る。段々と体の感覚が無くなって来そうだ。無痛症の人間とかはこう言う感じなのだろうか?
「結局は二人の親戚が見つかって、レイが二、三日様子を見て安全を確認したら二人には何も告げずにフランスから出国してドーバーを越えて私と再会したんだ……」
「再……会?」
最後まで面倒を見たのか……そう言えば私は別としても炎乃華を実の妹のように大事にしていた。何か思う所でも有ったのだろう。そう言った時に初めて目の前の美女の笑みが崩れていた。
「何言ってるんですか? 炎乃華さんもですけど貴女も大事にしてたんですよ!? レイは……その時にレイは『あの二人を守れなかった俺にも守れる人は居るんだ』って呟いたんですから……」
「そっ、そんな……だって……あの頃は……」
私が黙っていると真炎とアイリスさんは帰り支度を始めていた。どこに行くのだろうか。そもそも二人だけで黎牙はどこに? 今になって私はその疑問を持ち出した。
だけど二人がその疑問に答えてくれる事は無く。真炎の呼び出した鳳凰の背に乗ると最後に明日また来ると行って去った。
◇
しかし翌日に、まるでお父様や炎乃華と入れ違うタイミングで来たのはアイリス&光位術士一行だった。
「これは……何事かしら?」
「ああ、昨日、衛刃様にお願いして今日はサンプルデータと予算稼ぎ……ゴホン、社のマーケティングに来ました~」
「アイリス、さん? あなた、休暇中なのでは?」
昨日、拷問……じゃなくて治療中に聞いた話だと目の前のこの女は我が家から予算をふんだくってロイヤルスイートで贅沢三昧らしい。その割に昨日も今日も我が家に来てるから不思議には思っていた。
「お気になさらずに~、それとアイリスで結構ですよ? 私も炎乃海さんって呼ぶんで、今頃は真炎ちゃんはレイと流美さんと一緒だから大丈夫ですよ」
「そう、それにしても今日は大所帯でどうしたのかしら?」
「いえいえ、成果を確認したくて、フロー、それと清花ちゃんも協力よろしく~。あとジョッシュはここで店番ね?」
そうして私達は四人で炎央院の本邸に付属している道場に来ていた。アイリス以外の両名は素早く結界を張ると私を見る。
「じゃあまずは清花ちゃんと軽く模擬戦をお願いしますね?」
「はっ? 何を言ってるの!? あなた達と私じゃ力の差は……」
そう言いながら私は理解した。これはリンチと言う事だろう。わざわざ手下まで連れて来た上で真炎を使って黎牙を釘付けにする辺り性格は私と同じ位は悪いらしい。
「大丈夫ですから、死にはしませんよ? じゃあ開始して。清花ちゃん、まずは牽制で、反応を見たい。フローも計測よろしく」
「じゃ、行きますね? 毒婦さん、じゃなくて炎央院さん!!」
そう言って光の刃で斬りかかるのは水森の家の末の娘、まさか光位術士になっていたなんて、速い、斬られる。
とにかく最低限の守りだけでも、炎障壁で軽減をと思って術を展開、さらに私は炎気放出で自らの力を上げて備える。避けられないまでも少しでも早く離脱出来るように体に力を爆発させる。
「えっ!? どう、して?」
「うわっ!! 予想より速い!!」
目の前の小娘、清花が驚いていたが一番驚いたのは私自身だ。光位術士とは数度、模擬戦をしたが手も足も出なかった。しかし今の私は同じ状態の相手の動きが見えて避けていた。すると道場の隅の二人はノートPCの前で何かを話していた。
「アイリス。想定以上よ……予想スペックの10倍以上!!」
「ふ~ん、なるほど、流美さんもだったけど部分注入でこれだけ効果有るんだ。面白いわね、フロー?」
「あんまりおススメ出来ないわ。今回は合法な実験体が手に入ったからだけど……」
そんな二人の会話中も私達は戦っていた。そう、戦う事が出来ていた。おかしい、自分の能力が格段に上がっている。いや、考えられるのは一つだったが、今の会話ではっきりした。二日間されていた腕の治療しか考えられない。私はキッと元凶の女を睨むが彼女はニヤリと笑うとPCの方を任せてこっちを見て言った。
「あらら~? どうしました? 炎乃海おねえさま~?」
「あなた……私の体に何をしたのっ!! 本当にいい性格してるわね!! 人の体で人体実験なんてね!!」
「さすが、脳筋一族の数少ないまともな頭の持ち主、ま、そう言う事です。実験体の炎乃海お姉さま? せいぜい術師のデータ収集にご協力を~!!」
人の事をモルモット扱いとは恐れ入る。しかしあの様子では上には話を通したと見るべきね。炎乃華が家におらず、黎牙と流美まで真炎に釘付け……どうやら味方は居ない完全にハメられたわ。
「くっ、家で孤立するのは慣れてたけど味方が居ないとはね……」
「日頃の行いって大事ですね~? お・ね・え・さ・ま? さ、清花ちゃん!! キリキリやっちゃってね!! 楽しい楽しい実験をね?」(さてさて炎央院炎乃海さんの真価を見せてもらいましょうかね?)
私はにこやかに笑うアイリスの真意に気付く事無く戦闘を再開する。いくら追いつけると言っても私自身が今の体に慣れていない。このまま蹂躙されるなんて御免被るから私は死力を尽くすしかない。決死の覚悟で私は立ち上がった。




