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光を受け継ぎし者 ―追放された光は導かれ再起す―  作者: ネオ他津哉
断章「継承者の知らない黒アイリス」編
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閑話その1「残酷な宣告、炎央院炎乃華の場合」(中編)

「えっと、羽田の時以来……ですよね?」


「はい。お久しぶりですね。あの後、私が必死にレイさんからの依頼を果たしている間にレイさんとホテルで同衾していたとか? 羨ましいですわ」


「どっ、どどどど同衾って……そもそも黎牙兄さんはあの時は殆ど……」


「ええ、でしょうねアイちゃんが許すはず有りませんからね? その点は心配していませんの……ふふっ」


 アイちゃんとはアイリスさんの事らしい……でもアイリスさんが許さないとはどう言う意味なのだろうか? しかし聞こうと思えば氷麗姫は他に挨拶が有ると言って行ってしまった。

 行った先は清一さん、つまりはお兄さんの所で良く見ると清花さんも居た。兄妹三人で仲睦まじく羨ましい。思えば昔は私と黎牙兄さん、そして勇牙の三人とあんな感じだった。でも今の私は一人だ……。





 祝勝会の翌朝も晴れる事の無い私の心は曇天のような暗いままだった。本当は黎牙兄さんの事をすぐにでも調べたいけど私にも仕事が有る。他の家の者が負傷者や逗留者の世話をしているお陰で私は本来の家の内外での事務作業に取り掛かるから動き出すと廊下で昨日は会わなかった姉、炎乃海姉さんと会って、そして驚いた。


「姉さん!? って、腕が……治ってる?」


「あぁ……炎乃華。そう言えば気絶してたわね……えぇ。腕は治ったわ。安定するまで寝てたのよ……」


「で、でも……部位の欠損は黎牙兄さんでも治せないって……」


「ええ、黎くん()()私達を治せなかった……そう言う事よ」


 治ったのなら良かったのに終始浮かない顔で姉さんは歩いて行ってしまった。どうしたのだろうか? それに聞いた感じだと流美も治してもらえたのだろう。しかし誰が? 黎牙兄さんですら治せないなら誰が治したんだろう?


「ちょっと姉さん? 仕方ないか……流美は足だったし治っても無理だろうから私がやるしか無い……か」


 最近は黎牙兄さんに任せていた仕事も一人でやるしかない。正直に言うと流美も居ない状況で私一人では荷が重いけどやるしかない。姉さんもあんな状況だから頼れないし頑張るしか無かった。

 書類の整理及び、各方面の調整に三日もかかった。外から戻る度に家の中で色々とゴタゴタしていたけど今はそれ所じゃなかったので全部無視だ。





 三日後、私は死に体だった。ブラック企業も真っ青な書類の量を片付けて、さらに動けない姉さんに変わって久々にお父様の秘書業務もしていた。


「ふぅ、何とか……終わった」


「すまないな炎乃華。炎乃海は一日くらい安静にしていれば良いと思っていたが、まるで無気力になってしまってな……」


「良いんです……それにしても通常の業務も他の雑務も昔に二人でやってた時より仕事増えてません?」


 これは気になっていた。確かに忙しかったが前はここまでの激務では無かったのに今は何倍も忙しい、一応は日本は通信障害を含めて大混乱が起きてその収拾に忙しい状況だから分からないでも無いが忙し過ぎた。


「ふむ、単純に黎牙の能率の高さが原因だろうな。彼は英国で今の会社に勤めて書類整理や薬剤研究それに戦闘訓練と忙しかったそうだ。昔から器用だったが向こうでさらに処理能力が高くなったらしい」


「え? そ、そうなんですか?」


「ああ、あちらは我らと違って国とは密接な関係では無いからな。企業体として毎日やる事は多かったのだろう」


 それを16歳の頃からやっていたなんて、やっぱり黎牙兄さんは凄いんだ。と、思っていたら横からさらに恐るべき情報が入る。


「それと流美からの報告で知ったのだが……黎牙は睡眠時間が極端に少なかったらしい。それで暇な時は素振りか書類整理を延々としていたそうだ。酷い時は流美が朝餉の支度を終えて呼びに行った時には仕事をしていたらしくてな……」


「それって……?」


「寝て無かったらしい。ショートスリーパーと言う名の不眠症だったそうだ。分からないでも無いな……」


 何でそんな事になってたんだろう? 今思い出してみれば夜中に素振りしてたり、変な時間に起きていたりと夜中に黎牙兄さんを見かける事も多かった。そんな疑問が顔に出ていたのかも知れない。お父様は私の目を見て言った。


「不眠症にもなるだろうな。大事な妻が昏睡状態でそのために奔走している最中に自分は何も出来ずに、この家に縛られていたのだから……」


「えっ、縛られてたって……でも、それは……」


「私も自分が情けなくなる。いくら家を建て直すためとは言え、そんな重責を担っていた黎牙を察する事も手助けすら出来なかった。むしろ助けられた身だ。この家の騒動に巻き込まれていなければ、もっと早く二人は再会出来ていたのだからな」


 つまり黎牙兄さんがイラついてた一番の原因って……私は、やっと理解すると頭を抱えていた。つまり……実質的にアイリスさんを助ける邪魔をしていたのが私達で、その上で助けてもらっていた事になる。


「私も黎牙、いや……レイとアイリス殿に簡単に挨拶されたが、彼女は凄まじい聖霊力と同時に慈愛に満ちた人格者だったよ。私の足も治せると言ってくれてな。断ったのだが情勢が落ち着いたらまた伺うと言われてな……レイも恩を返せるからと乗り気でなぁ……本当にいい妻を持った……」


「そ、そう……ですか」


「ああ、お前は気絶していて知らなかったろうが救助活動も二人で一緒にしていて息もピッタリでな。炎乃海や流美の怪我も治していた光位術も凄まじかった」


 術や強さも上で、おまけに黎牙兄さんと息がピッタリ……そ、そんな。これじゃ勝てる要素が、ほとんど無い。


「そうそう。二人と話をした時に英国で戦いが激化していて新婚旅行が、まだだと聞いてな、いつも我らが使う都内のホテルを取ろうとしたのだが二人共に遠慮してな、仕方ないから向こうのレイ達の同僚にコッソリと予約してもらったんだ」


「えっ!? お父様!? いったい何してやがってくれるんですか!?」


「うむ? 当家だけでは無く日本を救った英雄なのだ。さらには今も私を叔父と慕ってくれている甥なのだからこの位はしてやらねばな……。せっかく当主になれたのだから、この程度は報いねば、お前こそ何を言っている?」


「えっ? あ、い、いえ……わっ、私は……」


「ふぅ、まさか未だに黎牙に懸想しているわけではあるまいな? お前にはキチンとした許嫁が居るのだぞ?」


 このままじゃ色々マズいから咄嗟に私は嘘を付く。報告義務やら色々有るのは事実だし全部が嘘じゃないと自分に言い訳しながら、しどろもどろになって言い返す。


「そ、それは……えっと、ふっ、二人とも戦後処理とか色々有るし、あとは直接二人に色々と報告も聞かなきゃ――――」


「バカ者が!! 護国の英雄で、しかもアイリス殿は目覚めて数日、黎牙に至っては力の半分を抑えられた上で、睡眠不足や過労などが原因で全体の力の三割程度しか出せんほど弱体化していたのだぞ!! 休ませるのが当たり前だろう!!」


 は? 目覚めてすぐ? 一応はアイリスさんが数日前に目覚めたらしい事は聞いていたけど、それに黎牙兄さんが三割しか力を出せていない? 何の冗談だろうか、だって黎牙兄さんはあんなに強かったのに。


「お父様、黎牙兄さんは凄まじい強さで他を圧倒していたんですけど……その、三割とはさすがに……信じられないかと」


「これもレイから説明されたのだが三日前の『四卿』と戦った際には自分の限界を超えて無理やり五割以上の力を絞り出していたそうだ。そして当時のレイは、どうやっても五割以上の力が出せない誓約が有ったらしい」


 誓約、つまり枷が有ったと言う事なのは理解した。でも何で五割? つまり半分しか出せて居ないのか? そのまま聞いていると、お父様の話は続いて行く。


「そもそもがレイはアイリス殿と二人で一組の術士であるらしい。故に彼女が居ないと本来の力の半分が最大限の力と言う事になるらしい……だが二割から三割の力で我らは圧倒されたのだがな……」


「そ、そんなに……あ、あの、じゃあ、お父様? つまりアイリス……さんも黎牙兄さんと同じくらいの力を?」


「ああ、力の本質は違うが同等の力、即ち、唯一無二のパートナーと言う訳だ。あの二人こそ比翼連理、どちらかが欠けても力が発揮できないが、逆に言えば二人が揃うとどのような敵にも負けない100%の力が発揮出来るそうだ。お前も見ただろう? あの二人が揃ってから神の偶像を一撃で倒したのを、さらに単独では苦戦していた四卿を一瞬で倒した。あれもアイリス殿の力の付与が有ったそうだ」


 な、なんなのそれ……それじゃあ、どうあがいても。そもそも最初から、いや、違う、私には小さい頃からの思い出が、有るはず……。


「どうした? 炎乃華。明日も会議が有る今日は休んでおくように。ああ、そう言えば流美から聞いたが、レイとアイリス殿から差し入れが有ったそうだ。休む前に貰っておくと良い」


「は、はい……」





「安いよ安いよ~!! 今なら継承者と巫女からの差し入れ付きだぜ!!」


「当社、L&R社の聖霊力増強ドリンク『エリク汁』試供品で~す!! 昨日届いたばかりの新製品で~す!!」


 なんか金髪男ことジョッシュさんと清花さんが変な半被を着て売り子をしていた。我が家の庭で……。これが差し入れなのだろうか?


「おっ? そこの負け犬臭がするお嬢ちゃん!! 今ならこれで一発逆転も!!」


「はぁ、帰ろうかなぁ……」


 何か全部が嫌になって来た。黎牙兄さんからの差し入れとか聞いて来たけど何か変な出店で違法スレスレな販売してるのが居るだけだし帰ろう。


「あっ!! もうジョッシュさん余計な事言わないで下さいよ!! 彼女は炎央院の金庫番なんですよ!! ただでさえSA3は切迫してるんですから!!」


 そう言った瞬間に目の色が変わったのは後ろで二人を監視していたフローレンスさんで、いきなり立ち上がってクワっと目を見開いていた。


「それは本当なの!? 清花!!」


「そりゃもう、炎央院は他の三家とは違って国と特に結び付きが有って予算は一番配布されてましたからね。父さんも愚痴ってました!!」


「そう言う事……風聖師や土聖師はやたらケチ臭いのに炎聖師だけ羽振りが良かったのはそう言うわけね!! と、言う訳で、いかがかしら!! お嬢様~!!」


 何か三日前は随分な態度だった気がしたけど、この人達、そりゃ自分の友人がコケにされてたら怒るのは当然か、私達の行為は最低だった訳だし、ま、嫌味半分と謝罪半分で試しに買ってみるかエナドリみたいだし、疲れてるし……。


「何か三日前とは偉い態度違いますね……ま、良いですけど。私も仲良くする気無いですし変に気を使わないで結構です……取り合えず一つ下さい。はぁ……」


 別にこの人達にどう思われようと関係無い。私は仕事疲れのOLのやさぐれ感を少しだけ理解しながら一本購入して、その場で飲んでみた。何か味はイマイチだけど体が熱くなって活力が湧いてくる。


「ほら、フロー先生とベラ先輩があんなにキツク当たるから~!! あ、炎乃華さん。これが、おまけの二人のブロマイドです!!」


「ブッ~!! ゲホッ、ごほっ!! なんて言う物を……うっ、これって……?」


「はい。二人の結婚式の時の写真です。実は親類に紹介がまだだから先に写真だけでもって、アイリスさんから朝方に送られて来まして。先ほど勇牙さんと刃砕様には渡したら好評でしたよ?」


 あの脳天気な二人なら喜ぶでしょうけど……私としては、すっごい笑顔の黎牙兄さんと、横で泣き笑いして心の底から幸せで、お似合いなこの人を同時に見なきゃいけない悪夢に襲われてるんですけど。


「あ、それと簡単なアンケートお願いしま~す」


「アンケート?」


「はい、まだ試供品なので味とかの改良とかしたいんで」


「そんなの売ってたのね……あんた達、しかも人ん家の庭で……」


「許可は当主の衛刃様に頂きましたよ~」


 お父様は黎牙兄さんのやる事は全面的に信用しているから当然のように、この人達のやる事も許可したのだろう。それ以上に我が家にはユウクレイドル家から様々な機器や聖具や人員も貸与されているから、これくらいのサービスはすべきだろう。


「ま、良いわ。じゃあこれで」


「あ、それとこっちが本物の差し入れです。なんか滞在先から届いたので、菓子折りみたいなんですけど」


「え? あっ!! これって……」


 私の大好物の老舗の和菓子屋の羊羹だった。黎牙兄さん私が好きなの知ってたんだ。嬉しくなって私はそれを受け取ると部屋に戻る。流美は居ないけど自分でお茶くらい淹れられるようにしろと前に言われてから覚えたので早速お茶を淹れて楽しむ事にした。





 翌日、エリク汁が効いたのか、それとも差し入れの羊羹が効いたのか分からないけど元気が充填された。相変わらず炎乃海姉さんは部屋に引き籠っていて腕がイマイチらしい。そして流美は朝早くから出かけている。


「仕方ない、今日も頑張りますか!!」


 そう言って私は本邸の庭で伸びをしていると琴音が声をかけてくる。早馬さんは既に昨日、本家の立て直しのために戻ったらしいが彼女は事情が有って残る事になったそうだ。


「ああ、いたいた、炎乃華!! あなたを探してた人が居て……その」


「ん? ああ、確か黎牙兄さんの同僚の方でしたか? えっと名前が……ウォルターさん?」


「ああ。それと呼称はワリーで構わない。皆がそう呼ぶ」


「はぁ、そう、ですか……ではワリーさん。ご用向きは? っと、そうですね琴音も私の執務室にどうぞ」


 そう言って私はすぐに自分の書斎に二人を通した。琴音は特に用事も無いらしく偶然、声をかけられ案内していたらしい。


「粗茶ですが……」


「ご丁寧に……っ!?」(まさか、嫌がらせなのか?)


「炎乃華、最近お茶淹れるの上手くなったよね~」


 ワリーさんの表情が露骨に厳しいものに変わったけど琴音は大丈夫そうだ。どうしたのだろうか?


「うん。何だかんだで黎牙兄さんが緑茶の淹れ方教えてくれたしね……では、ご用向きを……あの? ワリーさん、どうしました?」


「いえ、グリーンティーは余り嗜まないもので……」


「そうだ炎乃華!! 外人さんは緑茶とか苦いの苦手なはず!!」


「えっと、そうか紅茶か黎牙兄さんいつも飲んでたし、えっと……」


 こう言うのは流美がやってくれてたから困った。本当に優秀な人が付いてないと危険だ。私が全部出来れば良いんだけど……今更ながら流美の重要性が分かって来た。


「いえ、気を遣わずとも結構、その、砂糖などあれば……」


 棚から角砂糖とスプーンを渡すと4個も入れてやっと飲んでいた。私は水の用意とかを考えていたら「失礼します」と、声をかけられ襖が開いた。


「あの、炎乃華様? 今、鍛錬から戻りましたので私が流美さんに変わってお茶とか……え?」


「ああ、美那斗!! お水と……あと紅茶の両方を大至急でお願い!! 私、気付かずに緑茶出しちゃって」


 それだけで伝わったようで「はい。畏まりました~」と言って慌てて出て行くとワリーさんは彼女を見ていた。


「今のが……エレノア隊長の、そしてレイが見出した子か……」


「はい……では、すいませんが早速、本題をお願い出来ますか? 少し私の方も立て込んでまして」


「ええ、でしょうね。事務方が足りないのは日本も英国も共通なようで……では、まずはこちらを……」


 そう言って渡されたのは決算書類と各種貸与された装備の諸経費などの伝票だった。それを受け取ると私はすぐに『国家予算申請』の箱に入れる。


「うわぁ……豪快」


「命張ってるんだから当然よ。向こうも逆らえないし……って、これ何ですか!?」


 私は数百枚の書類の中から明らかに怪しいのを見つけた。これも気付けば身に付いていたスキルだ。そしてその書類は……。


「これは、国際新帝都ホテルTokyo……しかもロイヤルスイート二名分っ!!」


「あ、ああ……その、諸経費に……」


「はぁ……これは流石に通す訳には……他のは認めますが……ちなみにこれって……あの二人のですか?」


 黎牙兄さんとアイリス……さんの新婚旅行の費用よね。なんで私が、いや炎央院の家の予算だけど管理は私だし……ううっ、もう嫌だ……。


「あ、ああ……すまない。私の部下が勝手に申請してな。その、こちらのご当主からのご許可も頂いたと……後から聞いて」


「はい。一応は聞いてますが……ふぅ。分かりました。こちらは特別予算で下ろします。財源はお父様のお小遣いを半年は七割カットした上で刃砕伯父様の分も五割カットです。連帯責任だから」


 ま、本当は楓果伯母様の諸経費が浮いているので、そこまでひっ迫はしていない。むしろ今頃は伯母様は無償で延々と風聖術を使わされてるから違う意味で地獄なのだろう。


「う、うわぁ……えげつない」


「一族経営みたいなもんだからね……強権使うわ……それにお父様も黎牙兄さんのお祝いしたいって言ってたしね? 当然よね?」


 こっちはこれだけ苦労した上に散々酷い目に遭ってるんだからこれ位は良いだろうと、そこで美那斗が水と紅茶の両方を持って来てワリーさんはそれを飲んで落ち着いていた。


「ふぅ、では、まずは個人的な、と言うよりも部下の態度について謝罪しようと思いまして」


「え? 何をですか……いまさら?」


「いえ、特にイザベラが相当やり過ぎたと聞きまして」


 三日前の撤退行動時にワリー自身は相当忙しくイライラして冷静では無かったそうで戦闘後には特に忙しく部下を見ていなかったと謝罪された。そう言えば、かなり冷たい声だと思ったが、そう言う事だったのか。


「悪い奴では無いのですが、アイリスの、巫女への信愛が強過ぎあなたを傷つけた。それを謝罪したくて」


「良いですよ。言われて当然ですからね。ふぅ……」


「いえ、大事な弟子だと昨日聞かされましてイザベラも大変、反省しておりました」


 それを聞いた瞬間、耳を疑った。


「えっ!? れ、黎牙兄さんがっ!? わ、私を!! 大事な弟子って……」


「はい、正確には大事な弟子で妹のような存在だからレイを悲しませるのは論外だからしっかり謝罪するようにと光の巫女たるアイリスが……どうされた?」


 黎牙兄さんじゃないの!? しかもアイリスさん恋敵の私にもそんな事……って、恋敵とすら見られて無い? むしろ凄い友好的で……そんな……。


「そ、その黎牙兄さんは、ほ、他には?」


「あとはレイの妻である自分にとっても妹のような存在になるのだから酷い事はしないであげて欲しいと、レイのもう一つの実家なのだから夫婦で大事にしたいと……」


「つ、妻ぁ……夫婦っ……は、ハハハ。そう……ですね」


 そこで私はフラっと顔面から書斎の机に倒れ込んだ。鍛錬ですら気絶なんてした事など、ほとんど無かったのにショックでアッサリと意識を手放そうとしていた。


「ちょ!? 炎乃華っ!! 炎乃華ぁ~~~~!!」


「ど、どうした!? くっ、どうすれば……レイ・エナジーは俺には……」


「あっ、私!! エレノア隊長を呼んで来ますぅ~!!」


 遠くで琴音とワリーさんの声が聞こえる。そして慌てた様子の美那斗が飛び出していくのを最後に私の意識は完全にブラックアウトしていた。

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