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光を受け継ぎし者 ―追放された光は導かれ再起す―  作者: ネオ他津哉
第二章「彷徨う継承者」編
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第60話「メインヒロインは遅れてやって来る」

明日、二章最終話を更新します。


――――英国、アイリスの病室


 目を覚ますとそこでは四人の人間が固唾を飲んで私、アイリス=ユウクレイドルを見守っていた。そう、私は目覚めた。目の前には親友の水森氷奈美の顔が、どアップで存在していて私達の唇は互いに濡れていた。


「かはっ!? げほっ……うぅ~やっと起きれたぁ……」


「ふぅ、ほら言った通り、どうですか!?」


 そう、私は目の前の親友のヒナちゃんにキスで叩き起こされていた。あの夢での邂逅の後に夢の中身をしっかり覚えていたヒナちゃんは私の両親に報告し、すぐに起こされる事が決まった。

 実は霊薬自体は既に完成していたのに万が一を考えギリギリまで使用をためらっていたのだ……パパが。そして母さんが悩みながらもパパに同意し巧みに隠していたのが真相だった。


「アイリス良く無事で戻った……」


「お爺様、お久しぶりです……何とか戻りましたぁ……」


 二人が隠していた理由は他にも有ってレイの帰還を待っていたらしい。霊薬の服用方法が今みたいに口から直接飲ませる方法でレイにさせようとしていたらしい。

 ナイスアイディアだよパパ&ママと思っていた私だったけど、それを目の前のヒナちゃんが「人命優先時に何を言っている」と一蹴し完成した霊薬を自ら口に含み私に飲ませて一気に目覚めさせてくれた。少し残念だけど的確な判断だよヒナちゃん。


「アイリスぅ……よく無事で……ううっ……俺は、俺はぁ……」


「本当に……良かったわ……」


 両親は泣いてるけどそれどころじゃない。今は私の旦那様が大変で、ついでに日本も危ない状態になりつつ有る。英国での闇刻聖霊の一大暴走事件は解決し収束に向かい始めているらしい。

 こちら側にもかなりの犠牲者が出てしまった。だけど日本はその比では無い事件が起きようとしているのを私は光聖神から伝えられていた。


「それよりもすぐに日本に行かなきゃ!! ここ数日はヴェインに憑依も出来ないし、レイは一人で頑張ろうとするから私が早く行かなきゃ!!」


「アイリス、どう言う意味だ? レイの身に何が?」


「私、寝てた間、ずっーーーーと光聖神様のところで修行してたの!! そこで色々な旧代の術も身に付けて来たの!! あと光聖神様からレイの様子は聞いてたし、最近はずっと傍で見てたの!!」


 私が実際に眠っていたのは最初の半年で後は割とピンピンと意識だけはしっかりしていた。余りにも元気で光聖神からも違う意味で心配された私は先代の巫女が受けていたと言う試練や知識を叩きこまれる事になったのだ。


「それにしても氷奈美さんから聞いて驚いたのよ。期限はあと一年は有ると思っていたのに二ヵ月って……どう言う事なの? アイリス?」


「母さん……そ、それは私が悪いの。レイが日本に行くまではそれくらいは聖霊力も余剰があったんだけど、私、寝ながらここで聖霊術使ってて……」


 そして私は思い出す。レイと過ごした日本での日々を……ヴェインの、光位聖霊帝の体に憑依して私はレイと一緒だった。

 言葉は出せず、時間も限られていたけど日本に着いてから意識だけでも一緒に居ようと必死だった。体を貸してくれたヴェインには足を向けて寝られないよ。


「そんな術が……そう言えば水森の家でも私とレイさんの仲を邪魔したのは、あれはアイちゃんだったんですね?」


「そうだよ!! レイったらヒナちゃんを、お姫様抱っこしちゃってさ!! デレデレして、お嫁さんが眠ってるのに、あれは浮気だよ!! 裁判沙汰よ!!」


 そう言ったらヒナちゃんがニコリと笑いながらこちらを見てトンデモ無い事を言い出した。


「あら、裁判でレイさんと別れて下さるなら喜んで出廷しますし、お金も出しますよ? 主に国からのお金ですけど? どうします?」


「ちょ、ちょっと!! ヒナちゃん!?」


「ふふっ、冗談ですよ? そうやって意地を張ってると私のような悪い女にすぐに持って行かれますよ? レイさんは素晴らしい殿方ですから」


 一瞬だけ目がマジだったよ、この子……まだ諦めて無さそう。それにあの制度を知られたらマズいよね。でも光聖神様にも釘刺されたし、何としてもヒナちゃんにだけにはバレ無いようにしないと、それよりレイの現状だ。


「とにかく私が『流転憑依ノ術』で最後に見たのは数日前の稽古場の時で、そう言えば向こうで新しい光位術士が生まれてエレ姐さんに鍛えられてたよ?」


「なっ!? 真か!? アイリス!?」


「うん。その子がレイに……そう、夜這いしてきて……でも夜這いって言うか夜襲だったんだけど、美那斗ちゃんって子で……十三の小娘でさぁ……」


「アイちゃん? 話が進まないので、その小娘の件は後で二人で対策を考えましょう? それよりも続きをお願い致します」


 私の親友が優秀過ぎて辛い。私は美那斗ちゃんの事を簡単に話すと、お爺様が是非ともスカウトすべきと主張する。実はヒナちゃんの妹の清花さんも既に英国本社でスカウトして、あとは父親の説得だけらしい。


「とにかくレイが中々ヴェインを呼ばないから何度も向こうで勝手に顕現してたんだけど、そのせいで凄い聖霊力を消費して、残りの一年分の聖霊力を結構使ってて……気付いたら期限が短くなったんだよね」


 つまり私はレイの事が気になるからヴェインの体を借りて度々、日本でレイの手助けをしていた。ある時は不眠症のレイのためにお茶を淹れたり、膝枕もしたし、あとはレイに聞いてた実家の泥棒猫は全員をけん制していた。ヒナちゃんもその一環として仲を引き裂こうと必死だったのだ。


「大変だったんだよ。それにしてもまさか四封の巫女の全員が日本に出現するなんてね。ヒナちゃんにも協力してもらわなきゃ……」


「アイリス、あなた体は動くの? 二年以上も寝たきりだったのよ?」


「うん、大丈夫だよ母さん!! 光聖神様に完全に保護されてたから、それに起きる時の霊薬、あれで肉体的にも完全回復してもらったんだよ」


 そう言って私は何の問題も無く立ち上がる。そして母さんにハグされて父さんとお爺様とも抱き合った。


「お爺様、パパ、母さん、ご心配おかけしました……あとヒナちゃん。助かったよ……目覚めのチューありがと」


「まったく、私の初めてを差し上げたのですから感謝して下さいませ……それに」


 そっかヒナちゃんのファーストキスを私が、本当はレイに……なんか悪い事をしたと複雑に思いながら罪悪感に苛まれているとヒナちゃんは続けていた。


「ヒナちゃん……そのぉ、ごめんな――――「そ・れ・に!! レイさんとの間接キスですからね♪ ふふっ、役得でしたわ!!」


 こんの女、そんな事だろうと思ったよ!! レイの前ではかなり猫被ってたからね。レイはコロッと騙されてたし、一瞬でも感じた罪悪感と友情を返せと言いたい所だけど、助けてくれたのはヒナちゃんだから強くは言えない。


「あらあら、アイちゃん? どうかしまして?」


「もうっ!! 何でも無い……っと、それよりも急いで日本に行かなきゃ!! 近くに行けばヴェインに憑依出来ると思うの!!」


 後になって分かったのはこれは日本で決戦の起こる前日の出来事だった。そして後で調べたら私が完全に目覚めた日に実家の女や、他の四大家の女の子と仲良くしていたそうで、後日お説教することになった。でもこの時はそんな事は知らずに私は隊服に着替えると違和感を感じていた。


「私のローブ……レイが持ってるんだ……隊服だけだと何か締まらないのね、これ、白いだけだし」


「そうですか? 私も今はお借りしてますけど下手な霊子兵装やプロテクターよりもデザインは良いんじゃなくて?」


 ヒナちゃんも今はお揃いの隊服だけど確か日本では青色の部分プロテクターに和装の袴みたいな服だったはず、あっちの方が可愛かったと言うと、向こうに帰ったら似たものを貸してくれると言うので私は日本へ行く楽しみがまた増えたと喜んでいた。





 そして本社のエントランスに出るとそこはまだ戦場で窓ガラスなども一部割れ、床などにもヒビが入り天井から無線LANの中継器がぶら下がっていたりと惨憺さんさんたる有様だった。


「こんなに、それに怪我人も!! なら……出番だね!! 全てを癒して、フォトンレイン!!」


 私も一年間、必死に修行していた。だってレイに置いて行かれたく無かったから、その一つがフォトンシャワーの改良術のフォトンレインだ。名前の通り雨の如く癒しの光を降り注がせて無理やり回復させる。この術は母さんのシャインミストと違って即効性が有るのだ。


「こ、これは……」


「一瞬で怪我が……」


「この術……まさか!? お嬢様!!」


 私の術に気付いた術士が騒ぎ出すとエントランス中央エレベーター前にいた私に気付いた数名が叫んでいた。そこからは回復手の光位術士を中心に治療を開始し、ヒナちゃんや母さん達に手伝ってもらい本社内の人々を助けていった。霊薬の効果は凄まじく単純に回復しただけでは無く私の聖霊力そのものもアップしていた。


「しかし、これは……上手く行けば戦力の底上げに」


「そうだな親父、いや当主……だが封印されていた以上、この霊薬にも何か有ると見るべきじゃ?」


 そんな事をお爺様とお父様が話していると回復させたかつての仲間や友人たちも戻って来る。


「ほんとだ!? アイリスじゃねえか起きたのか!?」


「よく、戻ったわね……アイリス……本当に、無事で」


 二年振りに再会したのはフローとジョッシュで私とレイにとって友人で兄と姉代わりのような人たち、二人とハグを交わすと今度は後ろから叫び声が聞こえた。


「お嬢さまあああああああああああ!!」


「おい、ベラ、もう少し静かに――――」


 突撃する勢いで私に抱き着いて来たのはイザベラだった。ベラは一応は年上なはずだけど私にとって英国で出来た妹みたいで今は同僚だ。そしてその保護者のような恋人のワリーも頷きながら手を差し出されハイタッチを交わした。

 懐かしくて泣きそうになる。後はこの場にレイが居ればSA3は全員集合なのに……そんな私の思いが伝播したように四人も沈黙していると走り寄って来たのはヒナちゃんの妹の清花さんだった。


「えっと、あ、眠り姫様が動いてる……って、失礼しましたぁ!! 私、水森清花と申します!!」


「ええ、よ~く知ってるわ? 日本で()()レイにお姫様抱っこされてた女第一号よね? 知ってるんだから」


 そう、あの幼い炎の巫女はレイをお父さんみたいと認識しているから許すけど他は全員ダメだ。離れて数年で私は自分が思った以上に独占欲が強いのがよく分かった。カタカタ震えている彼女を睨んでいると、背後から私と同じくらいのオーラを出して優雅に歩いて来るヒナちゃんが見えた。


「ヒッ!? あ、あれは移動で仕方なくて――――「へぇ、それは私も聞いてませんでしたわ清花? 詳しく話しなさい?」


「ひぅ!? 姉さま……って、皆さん!! それより大変です!! つい先ほどから日本との一切の通信が出来なくなりました!! 直前まで繋がっていた水森家とも聖霊間通信もPLDSも繋がらなくなって皆さんに招集です!! 姉さまと私も!!」


 まだ色々と詰問したいのを抑え私達はすぐにCEOのお爺様の執務室に入ると詳しい状況を聞いて即座に決断を迫られた。もちろん日本行きについてだった。幸いにもユウクレイドル家のプライベートジェットを光位術で一瞬だけ光速化すれば約数時間で到着が出来る。

 そして空港は水森の家の緊急用の滑走路が解放されているらしく通信が途切れる寸前に、お爺様が水森家の当主に手配してくれていた。


「ですが、あの滑走路は霊的な要でも有りますので敵が居る可能性も有ります」


「だから私達も同行して案内します!!」


「日本に行くのはSA3三名とSA0の二名とアイリスと氷奈美殿の計七名」


 お爺様に言われ一瞬キョトンとしたが清花さんは昨日付けでSA3の特別研修社員に配置換えされたらしく、それで七名だ。他にもパパや母さんも行きたがったけど、お爺様が今の英国の状況から戦力を動かすのは難しくレイの救援に割けるのはこれが限界だと言う話だ。私達の先遣隊の後に日本には豪州オーストラリアから私の親戚のセーラとエウクリッド家の部隊が来てくれるそうだ。





 以前にも光速化はしたらしくヒナちゃん達が英国に来る際に使った手だと聞いた。ヴェインは空港での戦いで呼ばれてないので私は詳細を知らなかったが大丈夫そうだ。後はパパは少しだけでも話そうと、かなりしつこかったので母さんに縛ってもらい私はすぐにレイの元に行く準備を整えた。

 そしてパパ達が試験的に作った私を目覚めさせた『霊薬エリクシル』の試作品を数本拝借すると機に飛び乗った。


「意外とすんなり入国出来たね?」


「そりゃそうですよアイリスさん。私達は水森家の人間ですから」


 私達の機は水森の所有する専用飛行場に着陸すると日本は意外と平和だった。降り立った空港で待っていた水森家の使者によると試作型PLDSが配備されていて西日本は平穏だそうで、試作型が正常に作動中だと知らされワリーが喜んでいた。その後にベラに蹴られて静かにさせられていた。


「ねえフロー? 二人はもう?」


「ベラが『お嬢様が戻られるまでは結婚は後回しです!』って煩くてまだよ?」


「あはは……相変わらずで良かったよ、少し責任感じるけど……」


 見ない間に完全に上下関係が出来上がってたのに苦笑していると、ヒナちゃんと清花さんが戻って来て問題が起きているのは関東の、それも首都圏だと判明した。そこで私達は即座に移動を開始する。レイウイングで、すぐの距離なので飛び立とうとした瞬間、試作型PLDSを介して私がヴェインとリンクが可能になった。


「では、お嬢様は私とフローで運びますので先にレイの元へ!!」


「ありがとう二人とも、今から術に集中するから最大戦速はダメよ? 通常の速さで飛んでね、お願い!!」


 今まで眠って使っていたからそこまで不便じゃなかったけど意識を飛ばす術なので起きている間は当然ながら無防備になってしまう。しかもリンクが切れる可能性も考慮して移動スピードは最大速度は出せないのだ。


「姉さまは私が運んであげますね~!!」


「ええ、お願いね清花?」


 そうして全員で飛び立った瞬間に私はヴェインの意識に乗り移る。『いつもありがとうヴェイン』と言うと光の聖霊帝は頷いて意識を交代してもらった。





 意識が定着するとそこは戦場の真っ只中だった。そして私はレイのすぐ横に居た。見ると他の聖霊たちも揃って全員が空中で展開している。辺りは漆黒の闇に包まれていて巨大な闇の巨人、前に戦った敵が、闇刻神の紛い物がそこに居た。


「帰ると誓った!! 俺の最愛の人に!! だから頼む光聖神!!」


(もう、いきなり私に誓うって……え? なんかマズい流れじゃない!? まさか!?)


 予想通りにレイの体が光に包まれて二年前と同じ光景が目の前に広がっていた。やっぱり神降ろしだ。確かに目の前の敵に対抗するにはそれしか無いし、今戦えるのはレイ一人しかいないのは分かる。

 それでも……またレイは一人で戦おうとしている。どうにか止めようとするけど今は協力するしか無いのでヴェインの体で援護する。そして私はイメチェンした格好のダークブルーを見つけると突撃していた。


「くっ!! 聖霊帝か!?」


『レイの邪魔はさせない!!』


 私はレイの近くに可能な限り防御術を展開するとすぐにブルーに突撃してレイブレードで斬りかかる。でも、この女は私の相手をしながらレイにも攻撃をしようとしていた。ゴメンねヴェインと言うと体の主は無言で私に許可を出すと、その身を晒してレイの盾になって還った。


「えっ!? アイ……リス?」


『あ、気付いた!? レイ!! 攻撃を撃つの待って!! もうすぐ私たちも到着するから!! 光聖神様もレイに止めろって言って!!』


 でも、そこまでで、私の意識も途切れて本来の体に強制的に戻された。リンクが切れる瞬間に光聖神様にも伝わったから大丈夫……でもレイって肝心な時に人の話聞かないから急いだ方が良さそうな気もする。





「うっ、う~ん……はっ!? みんな!! 今どの辺り!?」


「アイちゃん!? 間も無く関東に入りますよ~。ですけど……ご覧の通りで」


 見ると遠方には明らかに元凶と思われる暗黒のオーラに囲まれたものがドーム状になっていた。しかもそれは漏れ出ようとしているようで実際に一部の瘴気が漏れ出ていた。私は二人の背から飛び立ち、清花さんとヒナちゃんには後から来てもらうように言って五人で最大戦速で飛び立った。


「レイがまた一人で突っ込んでるから急がないと!! 時間が無い!!」


「ったく、あんのバカ。ま、今回は仕方ないか……あの規模相手ならなぁ……」


 ジョッシュがヤレヤレと言いながら漏れ出ていた闇刻聖霊にレイアローを掃射し浄化する。


「ジョッシュがそうやってレイの無茶を何だかんだ認めるから!! あとバーに誘うのは週二までにして!! 夫婦の時間が取れないの!!」


 私のレイキャノンが全ての闇刻聖霊を一掃する。


「お嬢様の言う通りです。ジョッシュ、それにワリーも男性陣はもう少し遠慮と反省をすべきです。レイにも再会したらキチンと言わない……とっ!!」


 今度は反対サイドから出ようとした妖魔をベラのレイ・ランスの投擲で串刺しにして逃げ遅れた人を守っていた。


「あ、レイへの愛のお説教は私の仕事だから取らないでね?」


「はいっ!! お嬢様!!」


「はぁ……そう言えばこのノリも二年振りね……レイも喜びそう……そろそろね、やっぱり、これPLDSの結界よ。相当無理して展開してるみたい」


 フローが言うと確かに光の人工結界だけど強度が限界寸前だった。だから私は触れてすぐに結界を補強すると、その部分から中に侵入する、後続の清花さんにも分かりやすいように目印を付け突撃すると、正にレイが二撃目を放った瞬間だった。


「もうっ!! レイ……勝手に一人で、やっぱり私が居ないとダメね!! 皆は他の人達を助けて!! 私がレイを!!」


「お任せを!! お嬢様っ!!」


「了解した!! SA3はこれより光の継承者を救出する光の巫女の援護に入る!! 各員散会!!」


 私はワリーの指示を聞かずに全力でレイウイングを展開しレイの元へ向かう。レイは全ての力を使い果たして落ちて行く。なんか満足したような顔して……やり切った顔なんてしちゃダメなんだから。


「ごめん、アイリス……俺はここまで……また、逢いたかった」


 目なんかつぶっちゃって少し笑みまで浮かべちゃってさ、カッコイイけど、すっかり自分の運命を勝手に悟っているようで、だから落ちるレイに手を伸ばして、私はその手を掴んで言った。


「それはダメだよ……レイ。お待たせ、あ・な・た」


「アイ……リス?」


 もう離さない……絶対に!! 二年前あなたが……レイが最後まで私の体を抱きしめて離さなかったように今度は私が離さないし、逃がさないから。

誤字報告などあれば是非ともよろしくお願い致します。


ブクマ・評価なども有ればお待ちしています。

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