第57話「因縁と罠」
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「しかし継承者よ、仮初とは言え四卿が揃ったなら……この戦力では……」
「やるしか無い!! 光位術士各員!! あとは下位術師は新しく現れた土塊人形と化した者の相手を頼む!! 四卿は俺が抑える!!」
それに対し聞こえた返事はエレノアさんと一部の光位術士のみで朱家の精鋭や美那斗は今倒された術士を見て完全に腰が引けて、術師も涼風家の三人を含め及び腰だ。
他の全ての術師たちに動揺が走る中、いきなり炎が爆ぜ眼前の死者の軍団に叩きつけられると叫び声を上げる者が現れた。
「相分かった我が師よ!! 黎牙、お前は奴を倒すのに集中するがいい!!」
「クソ親父……あんたに礼を言う事になるとはな……だが、感謝する!!」
そう言って俺はダークフレイの元にレイウイングで飛び掛かった。奴は器用に神器のハンマーで俺の剣先を受け止め弾いた。最初は偽物かとも疑ったが間違いなく本物だ。少なくとも強さだけなら過去と比較して本物以上だ。
「情けない、そして不甲斐ない!! 異国の者達の下と言われ憤った先ほどの気概はどうした!! 戦わぬ腰抜け共は黙って見ているがいいっ!!」
そう言うと二体の聖霊を呼び出し後ろの方でクソ親父も敵陣に単身で突っ込んで行くのを感じた。悔しいがエレノアさん以外に頼りになるのが、まさかクソ親父になるなんて思わなかった。
「継承者!! 腕を上げたな!! 今日はあの女はどうした!?」
「お前の相手など俺一人で充分!! その腕を斬り落としたのは誰なのか、もう忘れたか!?」
神の一振りを横に一閃し、そのままレイウイングを展開して上空から斬りつけると奴は器用にハンマーと同化した腕で俺の剣を捌いた。
「忘れるはずもない!! 六年前!! 貴様に!! しかし本当のようだなぁ!! あの女、お前の唯一無二の巫女は死んだかっ!?」
ガクンと力が抜けそうになる。アイリス……死んでは居ないけど英国も襲われ連絡が取れないこの状況、嫌な考えばかりが頭を駆け巡る。それでも俺は戦わなければならない。俺は光の継承者なのだから。
「さあな!! 答えるとでも思ったか!?」
再度の激突で、体勢を崩した奴が着地した瞬間にレイアローを撃ち込むと奴の脇腹を掠めた。パラパラと奴の体が崩たように見え、奴の声にも呻き声が混じったように聞こえる。
「ぐっ、答えない……それとも答えられないのかっ!?」
奴の戦槌と神の一振りが激しくぶつかり合う度に金属音が響き渡り、その余波で光と闇が飛び散る。その聖霊力の広がりだけで周囲の死者の軍団は消滅していく。そしてそれは奴の肉体も同様だった。
「くっ、仮初の体はこれだから……水と土だけで動いているとは何とも不思議な感覚だなぁ!! 継承者!!」
「なら今度もバラバラにしてやる!! 当たればお前は消滅するようだからな!! レイブラスター!!」
しかし刹那の見切りでレイブラスターをかわすと奴は反撃に黒炎の塊を飛ばしてくる。それをグリムガードで防御し切るとダークフレイは必殺の構えに入っていた。その技はよく知っている。
「さあ、受けろ『黒炎の処断者』!!」
「ぐっ、レイブレード最大出力!!」
PLDSで出力を最大にし、それを神の一振りに纏わせ極大の光の刃で相殺する。その発生した二つの聖霊力のぶつかり合いが周囲の死者の軍勢と術師たちをも吹き飛ばす。しかし中心の俺達は小手調べの段階、戦いはまだ始まったばかりだった。
◇
やっぱり凄い、黎牙兄さんも強いけど驚いたのは刃砕伯父様だ。腐っても『無敗の炎皇』の名は伊達じゃない。正体不明の敵にも果敢に挑んで既に数人の死者の軍勢、ゴーレムの術師たちを砕いていた。
「滾る、滾るぞぉ!! フハハハハ!! こんな戦場初めてだっ!! 奥伝解放!! 焔の拳、壱の構、弐の構、参の構『炎魔』!! はああああ!! 行くぞ!!」
伯父様は叫びながら二体の聖霊王、炎鎧亀と炎瑞王と突撃して行く。そして私や他の術師も、その戦いで気付いた。意外と敵が強く無いと言う事実に、確かに伯父様は強い。
敵は闇刻術士なのかと思いきや術を大出力で放つだけの術師の強化型だと言う点、そして生前の記憶が有るように見えるが黎牙兄さんと戦っている男よりも意志力などが弱く不完全だと言うこと。
「って、つまりどう言う事なの姉さん?」
「はぁ、今の説明聞いて理解してないのあなたくらいよ……」
今の話を少し早口で滔々《とうとう》と話す炎乃海姉さんの話を聞いて皆が納得していた。でも私はよく分からなかった。
「敵は闇刻術士じゃない土塊の人形、つまり不完全な術師なのは分かったけど……」
「あら、ちゃんと分かってるじゃない。補足すると術の威力が強いだけの化け物。ただ涼風の三人は……あのゴーレムに使われてる魂が涼風家の当主とその奥方の二人、つまりは、ご両親と言うことね」
そう言って私は琴音たちの方を見る。早馬さんと楓さんは攻撃術を展開しているけど琴音は棒立ちだった。家族なら辛いはず……そう思っていたら今度は反対側で悲鳴が聞こえた。
「パパ……それにバーナビー、バスターズの皆も……」
「ジュリアスさん……この人たちが!?」
「そうだ、勇牙殿。これが兄のアイザムと甥のバーナビー、その麾下の術師たちだ。遺体が見つからないと聞いていたが、こんな事に……」
そちらの方に駆けつけると勇牙とクリス君、そしてジュリアスさんが率いていた土聖師たちが正面のゴーレム術師と対峙していた。
一度だけ見た事が有るけど大柄な人がアイザム氏、岩壁家の当主だった人だ。つまりはクリス君のお父さん、それにもう一人は研究院でも問題児だったバーナビーだ。こうなると憐れに見えてしまう。
「クリス……ティー……ン。オマエガドウシテイキテル……ナンデオレガ……コンナメニ、オレハ、オレガアアアアアア!!」
そしてバーナビーだった者がクリス君に襲い掛かろうとした瞬間に勇牙が炎の拳で奴の突進を突き飛ばすと守るように立ち塞がった。
「クリスに手は出させない、それが例え弟でもね!! クリスは僕が護る!!」
「勇くん……私も一緒に戦うっ!!」
二人が手を取り合って戦おうとしているけど何だか凄い距離が近い。男同士の友情ってやつなのかな? そんな事を思っていると索敵をして周囲を探っていた流美がこちらに合流した。
「少し場を離れていて申し訳有りませんでした。後ろの本陣も混乱してまして衛刃様と相談を……これは……どう言う状況なのですか?」
バーナビーと対峙する勇牙とクリス君、そしてアイザム氏と対するのはジュリアスさんだった。いきなりこの場に来た流美は見た感じ相当混乱しているようで、すぐに姉さんが戦況を簡単に話していく。
「兄上、いや昔のようにアイザムと呼べば良いか?」
「ガアアアアアア!! ジィィィィル、ギサマアアアアアア!!」
涼風家の三人とは違ってこの二対の兄弟は剣呑な雰囲気で今にも戦いが始まりそうになっていた。そして他人事だと思っていた私達の足元にも吹き飛ばされた人影が突っ込んで来て私たちは咄嗟に避けていた。
「ぐっ、うぬぅ……中々にやる……」
「「刃砕伯父様!!」」
私と姉さんの声がハモって目の前の吹き飛ばされ軽く火傷を負った伯父を見た。どう言う事なのだろうかと混乱している私たちを尻目に流美がいち早く刃砕伯父様を引きずってその場を離れようとしていて、真炎の鳳凰も嘴で引っ張り全員で後方に下がろうと動いてるとタイミング良く後方からは十選師、今は七選師となった者たちに護衛されたお父様が追い付いた。
「あ、兄上!! 炎乃海、炎乃華!! 二人が居ながらどうしてこうなった!!」
「そ、そんな事言っても私たちも何がなんだか……」
「状況としては伯父様がいきなり吹き飛ばされてここに来た。それなりの脅威の敵が居るとしか言えないわ、お父様?」
「うむ、しかし――――「慌てるな……衛刃よ。まっ、たく……お前は今は当主ぞ。一兵卒が倒れたくらいで、動揺するでないわ……っくぅ。我が師を見ろ。アレの方が余程、冷静だ」
お父様が動揺している? いつものように厳しいだけにしか見えないのにと姉さんに視線を送ると姉さんは分かっていたようで頷いた。
そして伯父様は上空で戦い、凄まじい聖霊力のぶつかり合いを演じている黎牙兄さんを見上げながら、お父様を叱咤激励していた。
「黎牙兄さん凄い……」
「あれが黎くんの本気か……本当にあんなに強くなって……」
真炎も姉さんの足元に近付くとレイおじさん凄いと言ってピョンピョンと跳ねていた。本当のお父様になってくれないかなと言うと姉さんが力強く今度こそ落として見せるわとか言ってて流美が苦笑し、お父様が頭を抱えていた。
「姉さん、今そんな事言ってる場合じゃ――――」
「レイガ、レイガ……レイガアアアアアアアアアアアアアア!!!」
すると死者の軍団の中から四人ほどユラリとこちらに現れ、その中心の黒いローブを被った人物が奇声を上げて突撃して来た。
「奴らだ。ワシが不覚を取ったのは……炎聖術、それにあの技と動きは憶えが有る」
「嘘……兄……さん? 祐介兄さん?」
伯父様が言うと同時に流美が呟いていた。驚いて私たち全員がその中心で騒いでいる人間を見る。
「えっと……」
「どうしたのですか? 炎乃華さま……あれは紛れも無く兄ですよ!!」
「いえ、そう言えば、あんな顔だったわね……あれよね意外と家中で会わなかったし……アハハ」
正直あんまり覚えていなかった。さらに周囲の三人もどこかで見覚えが有るような気がしないでもない。
「え~っと、母様? あれって元父様の祐介さん?」
「真炎、いくらあんまり家に居なかったからと言ってそんな事……あら、そう言えば本当にあんな顔していたかしら? 真炎が生まれてから興味が失せ……そっ、疎遠だったから意外と分からないわねぇ!!」
「う、うん……そうだよね」(顔、思い出せ無かった……)
なんだこの親子、仮にも夫であり自分の父親だろ。例え書類上では全く関係無くてもだ。などと思っていると流美も同じ思いだったようでジト目で姉さんを見ていた。どんなに最低な人間でも流美にとって兄なのだ。
「炎乃海さま……それはあんまりでは……」
「じょ、冗談よ!! ふぅ、祐介、随分と変わり果てた姿になったわね……それにしてもいつの間に死んでいたのかしら? 報告など無かったのだけど?」
そう言えば祐介は島送りになっただけで死んでない。でもこの場にいて魂をゴーレムに入れられているなら死んでいると見て間違いは無い……と、思う。どう言う事なのだろうか?
「シンダ? ア、アアアアアア!! レイガアアアアアアア!!」
「あら、実験体βシリーズはここに居たのね? どうも初めまして、私は『四卿』の一人で水を冠するロード、ロード・ダークブルーよ以後お見知りおきを」
四卿、黎牙兄さんから事前に聞いていた四人の強力な闇刻術士で闇の力を持ちながらもあえて四元素を取り込み強力な術を使う四人で、目の前の女のロードは黎牙兄さんが水森の家で戦った相手で、その戦いの後に私と羽田で再会したと聞いた。
「βシリーズ? どう言う意味かご説明頂いても? ロード様?」
「ええ、良いでしょう!! 私は適切なサンプルを探していたの。実験体として欲していたのは暴走レベル3以上の術師。彼らは正にそれだったわ」
炎乃海姉さんの問に答えるダークブルーに合わせるように祐介以外の残りの三人もローブを脱ぐと、元十選師の火津路統二、火乃井陽一、志炎大助の三人だった。
いずれも黎牙兄さんに敗北し最後は家名を落とし零落させたとして家からも断絶され挙句、大助に至っては術を使えなくなり祐介の後に島へ出荷されたはずだった。
「実は最近の研究で分かった事が有るの、ある種の聖霊力の暴走を引き起こす術師と言うのは実は誤りで、力を抑えられているだけ……つまり、まだ成長の余地が有るというのが実情だったのよ……特にそこのβ1えっと、真ん中のソレは継承者の聖霊力を一部入れられた貴重な被験体なのよ」
そうして彼女は語り出す。まるで自分の研究成果を誇るかのように、そして情熱的に語った内容によると目の前の四人は黎牙兄さんに敗北した事により、その力の一端に触れた事で聖霊力が大幅な成長をしたという話だ。
更には制御が不能になるほどの力を半ば強制的に受け取ってしまい術者自体がその過負荷に耐えられない状態になり防衛本能が目覚め、『無能』状態か力を直接入れられた祐介は『災厄』状態になり不安定になったと言う事だ。
「それにしてもβ1は運が良かったわね。継承者の聖霊が封印術を使わなければ体が吹き飛んで絶命していた。腕に聖霊力が澱んで暴発する前に切除した手腕と言い見事。放っておけば良いのに慈悲深い。さすがは聖霊帝なのかしら?」
そう言えば祐介は映像で黎牙兄さんに負けた際に聖霊帝のヴェインさんに何かを撃ち込まれていた。あれは祐介の体を保護するためのものだったんだ。流美に聞いたら腕を斬り落としたのも聖霊帝だと言うし、聖霊が封印術を使うなんても初耳だった。やっぱり聖霊帝は凄いんだ。
「つまりね、暴走状態の術《《師》》を術《《士》》に強引に切り上げられれば戦力は増える……そう思わない? しかも運が良ければ、このようにゴーレム術師並みに支配下に置けるの、さあ、あの方のためのデータ収集頑張りなさい。では、私はここで失礼するわ。最後の仕掛けに忙しいの……ふふふ」
そう言うとダークブルーと名乗った女は闇の霧の中に紛れ込むように消えて行った。どんな術か見当もつかなかったが、私達の目の前には厄介な敵だけが残されてしまった。
「はぁ、全く……島送りにしてまで迷惑をかけてくるなんて……本当に嫌になるわ」
「そうなった原因は炎乃海様が原因かと……決着はご自分でお願い致します。ですが私も見届けたいと思いますのでお付き合い致します」
「はいはい悪かったわ。じゃあ、ま、よろしく頼むわね?」
さすが姉さん、全然悪いと思ってないけど流美に言われて仕方なく反省したようで二人でコンビを組んで祐介と戦うようだ。ちなみに真炎は術の威力の関係上、後方に待機するらしい。
「姉さん、気を付けてよ!! 祐介は一応は門下では最強だったから、姉さんでも油断したら危ない!!」
「分かってる!! でも私の聖霊力も上がっているのよ!! 黎牙の『調律』の、おかげでね!!」
そう言った瞬間に、目の前の祐介の目がさらに赤く輝き出して奇声を上げ目の前の姉さんに襲い掛かって来た。
「レイガ!! レイガアアアアアアアアアアアアアア!!」
思い出したように黎牙兄さんの名前を口に出して黒い炎を出す。今、黎牙兄さんと戦っている四卿のダークフレイが使う一緒の黒い炎のように見える。
さっきの話では、祐介たちはゴーレム術師では無く肉体改造された受け取れた。結局は強化され聖霊力が上がっていると見て間違いは無いようだ。
「炎乃華よ。あの中の一人を任せたい。残り二人はワシと衛刃で抑える」
「分かりました……では」
「お待ちを!! ご当主様方、それに炎乃華様も!!」
そう言って私たちの前に舞い降りたのは光の翼、レイウイングで急降下して来た少女、志炎美那斗だった。この間までは『無能』扱いで給仕や雑務を任されていた子だったけど黎牙兄さんに見出されて光位術士になった子だ。
「えっと、美那斗? どうしたの持ち場は?」
「すいません。今の私は光位術士ではありません炎乃華様、そしてご当主方、どうか我が家の不始末を付けさせて頂きたく思います。志炎大助は……叔父は、私が、この手で倒します!!」
そう言って光の刃を展開して、こちらを真剣な眼差しで見つめていた。
「だが、君はレイの指揮下だ今は――――「良かろう!! 美那斗だったな!? 好きにせよっ!! ならば残りを我らが始末を付ける、良いな衛刃、炎乃華!!」
伯父様やっぱり当主っぽい……完全に指示出してるし、今は決定権も無いのに……絶対に自分の立場忘れて指示してる。でも、これで私の相手は決まり、私も火影丸を構え目の前の怨嗟のうめき声を上げる元門下で敵となった術師と向き合った。
◇
俺とダークフレイの死闘は続いていたが、それでも徐々に奴は疲弊しているのが良く分かる。それは単純に奴の体自体が物理的に削られているからだ。
「やはり不便な体だなっ!!」
「ならさっさと浄化してやろう!!」
俺のレイアローと奴の黒炎が相殺され距離を取る。先ほどからこれと剣戟の繰り返しで奴の体はボロボロになっていた。
「しかし、ご安心を同士!! すぐに治して差し上げますよ?」
「そう言う事だ!! はぁっ!!」
距離を取った俺の真上から風の刃で斬り付けるダークウィンドーに隙を突かれ、その隙を縫うように今度は岩の砲弾が炸裂し、その中から闇の刺と牙が無数に撒き散らされ、俺は後退しながらグリムガードで防御するしか無かった。
「ぐっ、やってくれる、三人同時か……ちょうどいいハンデだ!!」
「確かに……今の貴様ならば。クレタ島の時とは違い格段に強くなった様子!!」
そう言って俺たちが斬り合っている間にダークソイルが何かをしている。それはダークフレイの修復だった。
「あとはこの邪水をお飲みなさい。そうです……どうですか? 土塊の体なれど回復もその分、容易……悪く無いでしょう?」
「あ、ああ……また意識が飛びそうになるな……これが副作用か?」
「ええ、貴方は魂が濃い、ですがこの体には一部しか入れてませんから……完全な新しい体をまだ用意は出来ないのです。全部魂を入れたら体が壊れますので」
「まあいい……さて、ここからは俺達、闇のロードが三人で相手をしてやる!!」
俺はダークウィンドーをレイブレードで牽制し、さらに至近距離からのレイブラスターで奴のローブを吹き飛ばし距離を取りながら三人と向かい合う。
「無限に回復か……状況まであの戦いと同じとは、笑えないな……」
「オイオイそれは違うだろ? あの時との違い……それはぁ!! 光の巫女を失ったお前にぃ!! 勝機などが皆無だと言うこと!! そうだろ光の継承者ぁ!!」
完全回復したダークフレイ、そしてダークウィンドーと、その後方からはダークソイルも術を展開している。
エレノアさんはゴーレム術師相手に一人で戦うので精一杯、朱家の精鋭も同様だ。朱兄妹は今も気を失っていて、別な戦場では炎央院家やそれぞれの四大家の面々が戦っているのが見えた。
「一人での戦いなんて……もう慣れっこだ!!」
俺は叫んで気合を入れ直し神の一振りを、そしてもう一つの刃をアイリスのローブの裏から取り出した。もう温存なんて出来る状態じゃない。
「ほう、それは聖具か? 神器を使いながら紛い物の聖具を使うとは、刀なのは評価するが何か意味が有るのか?」
「ああ、この数年間コイツとは、ずっと一緒に戦って来た相棒だからな……頼むぞ……『暁の牙』!!」
俺は二刀流の構えで神の一振りと暁の牙Ver.2.0を持ち、白の刃に光の輝きを、黒の刀には炎を纏わせる。清一の言っていた奥伝の改良、一応は何度か試していたが8:2でなら光位術と炎聖術は並列して行使出来るようだ。
「お前らに見せてやる!! 光位術と炎聖術のコンビネーションをな!!」
誤字報告などあれば是非ともよろしくお願い致します。
ブクマ・評価なども有ればお待ちしています。




