第44話「集う四大家、繋がる思いと届かぬ願い」
明日は土日投稿なので朝10時投稿になります。よろしくお願いします。
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涼風の姉妹が炎央院の家に向かって北海道を脱出を果たした頃、時を同じくして別な場所でも事件は起きていた。京都某所の岩壁家、ロックウェル邸では既に土聖師に六人もの死者が出ていた。
彼らはいずれも当主麾下の『アース・バスターズ』の精鋭であったが全員の死体が一目見て人間とは呼べないような損壊具合となっていた。
「何者かシリマセンが、我が岩壁の家に土足で入るとは……それなりノ覚悟ヲシテイタダクぞ!!」
「そのわざとらしい日本語の喋り方、米国人はいつまで経っても軽薄ですね、術士の介入が無かっただけで手に入れられた偽りの戦勝国としての繁栄だけで偶然生きて来た国家出身は違いますね?」
「ヘイ、お前はその胡散臭い語り口、イギリスの人間か……気取った態度もあの国を思い出す……来い!! ブレイブマン!!」
そう言って岩壁家、ロックウェル家の両当主と言う特殊な彼は『ブレイブマン』岩の肌を持つ巨大な熊型の聖霊王を呼び出し。自らも神器『比叡の守り』を構える。これは代々と岩壁家に伝わっていた盾の神器だ。
「無礼なアメリカ人に名乗って差し上げましょう。私は四卿が一人、ロード・ダークソイルと申します」
「はっ!? 聞いた事も無いっ!! はぐれの術師が徒党を組んだ新勢力か!? 歴史無き組織など!! 潰してくれる!! 岩刹突き!!」
神器の盾が巨大化し、さらに岩が槍状に盾から生え巨大なランスのように展開された。アイザムが岩壁家を乗っ取った際に奪った技の一つで、今のアイザムの得意技の一つでもあった。この技を破れる者は各当主くらいでそれまでは誰にも破られてはいなかった。
「はぁ、ダークブルーに聞いていたので期待はしていたのですがね……日本の術師は強いと……でも元がアメリカ人のあなたではこの程度ですか?」
人差し指一つで岩の槍は防がれていた。そして次の瞬間にはバラバラに砕けた。
「What!? バカな……先々代より賜った技が……」
「しょせんは猿山の大将ですか……やはり敵は継承者のみ、そもそも彼女の話では光位術士の介入も有ったそうですからね……興味も尽きました」
見るといつの間にかブレイブマンも消滅していた。それに動揺したアイザムは砕けた岩の槍を捨て盾を再び構え奥伝の体勢を取った。
「舐めるなああああああ!! 神器解放、奥伝・無尽の――――「だから、興味は尽きたと言ったでしょう?」
突如アイザムの体の中から出現したのは漆黒の刺と大量の鮮血だった。刺と呼ぶには大き過ぎるそれは、もはや槍と言っても不思議では無い。それが内部からアイザムを食い破り神器もろとも破壊していた。
「ぐっ、な……にが……」
「冥途の土産に教えてあげましょう。この土の力と闇刻術を合わせたのは私のオリジナルの術でしてね名を『腐敗した牙』と名付けまして、まだ実験中でして……おや、もう絶命してしまいましたか……これがこの国の最高峰の一人。脆いですねえ。ああ……ローガン氏、あなたとまた再戦したいものです!!」
「ダディ……う、嘘だ!! 無敵のパパが……」
「おやおや、この雑魚の子供ですか?」
それは次期嫡子と呼び声高いバーナビー=ロックウェルと彼の直属の岩壁の部隊で全員が父アイザムの親衛隊に匹敵する精鋭達だ。
「お、俺はっ……俺は!!」
「まあ良いでしょう。諸君、遊んであげなさい……私はもう興味は尽きた」
そう言うとダークソイルはその場から地面に溶けるように消えた。
「ダディをよくも!? 残ったのは雑魚だな!! 俺が仇を!! 行くぞ!!」
しかし数分後に屍を晒していたのはバーナビー達の方だった。術師程度が闇刻術士のそれも旧代の猛者を相手に勝てる道理など無かったのだ。
◇
「以上が……京都での兄と甥の戦いの顛末です……」
「なるほど、ジュリアス殿、報告を感謝する。よく話して頂いた」
「いえ、衛刃様、本来であれば他家と違い密約も誼も無い我らを受け入れて頂き感謝致します」
現在、炎央院家の南邸、その奥座敷には衛刃叔父さんと俺、そして流美と、岩壁家の生き残りのジュリアス=ロックウェル、アイザムの妻だった岩壁 京子、そして岩壁家長男の岩壁 クリスだった。
「それは構わない。護衛の者も別室にて休んでもらっている。話すことなどあれば広間などを用意させるが?」
「お気遣い感謝致します……では後ほど」
水森家との連携で翌日の昼過ぎに約十名ほどの一団が炎央院の家に到着した。そして例の如く俺の居る南邸(空き部屋がいっぱい)に案内された。おい、俺の邸とか言う建前どうしたの?
なんて思ったがそんな事は言えない雰囲気のまま会談は終わって流美が三人を案内して行った。そして流美と入れ替わるタイミングで岩壁家の面々を連れて来た奴が廊下で俺に駆け寄って来た。
「師匠!! お久しぶりです!! 水森清一参りましたっ!!」
「よっ、来たか清一、お前が水森の代表で良いのか?」
「はいっ!! 父曰く『レイ殿の言う事に全て頷いておけ』との事なので!!」
「そ、そうか……」
それで良いのか水森家……いや、格別の恩が有るから水森家を害するような事はしないけど、そこまで信頼されるような事はしていないのだがな。令一殿は子煩悩な事を除いては有能な当主だから大丈夫だとは思うのだが。
「そうそう、先週に氷奈美と清花から電話が来ました。通信は無理でも今度PCでの動画での通話など出来ればしたいと言ってましたよ?」
「そうか、ひなちゃん達も元気か。良かったよ」
「それと、何かレイさんに文句も有ったようですよ? 氷奈美曰く『何でアイリスさんの事を教えてくれなかったのですか!?』との事です」
「いや、妻が居るとは言ったよな? 名前は言って無かったけど……」
「そうですよねぇ。向こうで名前を知っただけでしょうに何か違うニュアンスに聞こえたんですよねぇ……っと、いけね。俺も挨拶が有ったんだ」
「付き合おう。叔父さんにだろ? 流美も居ないし三人での会談だが構わんか?」
「はい!! むしろ当主の伝言なんで人数少ない方が助かります」
その後、俺たちは水森家の総意として来た清一と簡単な確認事項を話し合いをして解散としたかったのだが……。
「この後は当然!! 俺と稽古頼みます!!」
「はぁ、ま、お前なら良いか。術無しの後に術有りで、それで良いか?」
頷く清一に俺は庭に出た。幸い誰も居ない。ここで炎乃華や親父でも居ようもんなら我先にと来るから困る。そして俺は借りている聖具を、清一は神器をそれぞれ取り出しすぐに模擬戦形式の戦いを始めた。
「はぁっ!! どうですか!? あれから奥伝も少し改良したんですよ!!」
「奥伝を改良とか……出来るのがすげえよ……本当に天才共は器用で困る。炎乃華も地味に自分用に改良してるみたいだしな術体系を」
清一の水を帯びた剣はあれから更に冴え渡っていた。前の会った時には炎乃華や勇牙などが怖いと言っていたが俺から見れば向上心が有り、かつ努力を怠らないコイツの方が強いと感じた。
「慣れですよ。レイさんも今は光と炎の両方ですよね? なら気付けば何とかなりますからっ!!」
「そうか? じゃあもう一本行くか?」
「はいっ!! じゃあ次は光位術出してもらえますか?」
「ああ、目にも止まらぬ剣戟を……っと、スマン清一、少し待て……流美、何だ?」
視界の端にいつの間にか流美が入っていて静かに立っていた。気付かなかったとは油断していたようだ。
「申し訳有りません。清一様に岩壁の方々が、それと楓様が黎牙様にお会いしたいとそれぞれ言伝がございます」
「そうか分かった。流美、清一を案内してやってくれ俺は自分で行けるからな」
「はっ、清一様、それではご案内致します」
俺は二人と別れると涼風の姉妹が居ると思われる部屋に向かう途中で琴音と炎乃華と会い楓が俺の部屋に行っていると聞き俺は自室に戻った。
◇
「待たせたな、かえちゃん?」
「ううん。あ、部屋の外でと思ったんだけど中で待ってて良いって言われたんだけど大丈夫だった?」
「ああ、問題無いさ。そこそこ機密は有るけど今さらだしな、ちなみに許可を出したのは誰かな?」
「炎乃華ちゃんよ。いつも自分がそうしてるからって……やっぱりマズかった?」
大問題だな。仮にも俺の部屋はそこそこに炎央院の機密が有る。そこに他家の、しかも仮想敵の家の人間を入れるのは無防備過ぎる。
「いや、俺個人としては構わないんだが、他家の人間にすぐに気を許し過ぎるきらいがある。八年前もそうだったし、今回もあいつは不用心過ぎるからそこが不安でね」
「ふふっ、相変わらずお兄ちゃんやってるね~? あんな事があったのに?」
「正直恨んではいる。この家にはな、それにあの姉妹にも親父にも、あの女にも叔父さんと勇牙は……まあ状況次第だな」
ああ、今でも心の中はグチャグチャなのが本音だ。炎乃華には厳しく出来ているけど炎乃海姉さんなんかには上手く使われている。
親父はキャラが180度変わったし、一応は黒幕で母親だったあの女に復讐は出来た筈なのに心は空虚なままだ。
「そう言えば勇牙くんの話もよく琴音から聞いてたよ。炎乃華ちゃんとは仲良しでピッタリだって」
「ああ、あれなら炎央院の次期嫡子とその妻に相応しいだろうな。俺も安心して帰れるよ」
「そっか、戻る気は無いんだ……ざ~んねん」
そう言って正座を崩すと足を延ばしてグデーッとする楓をはしたないとは思わない。会った時からこの子は令嬢らしく無かった。行動派で家に居る事が少ない人間だったから俺とも知り合ったのだから。
「もちろんだ。今回は別件でな……ただ、その別件が原因で今回の事態が起きたのだとしたら俺が決着を着けなきゃダメだからさ」
「あの黒いローブの術師と関係が? それとも楓果さんのお家騒動?」
「黒いローブが活動的なのは俺のせい……だと思う。俺は英国で奴らと戦っていた」
「じゃあレイ君を追って?」
「分からない。ただ目的の一つに俺を追撃する事も有ったようだ。だからこちらも援軍を呼ぶ……英国の仲間をね?」
もう手段は選んでいられない。急いで連絡を取らなくてはいけない。そのための四大総会の開催だ。俺はそこでPLDSで本社と会場を繋ぎ双方向通信を行い。オンラインで日本の全術師に呼びかける予定だ。
「その、レイ君が強くなったのは分かるけど……光位術ってのがどれだけ強いのか理解が出来ないんだ……だから」
「見たいのか? 相変わらず研究熱心だな……じゃあ軽く、はぁ……炎乃華!! それともう一人も!! コソコソしないで入ってこい!!」
俺が言うと襖を開けて入って来たのは炎乃華と琴音、そしてもう一人、気配に俺が気付かなかったのには驚いたが先ほど会合で顔合わせをした岩壁クリスだった。
「クリス君、君まで……いったいどうして?」
「すいません。ボクが二人に頼んだんです。レイさんとお会いしたいと、母と叔父様は今は一門の者と話してますのでボクだけでもと思って」
「すまないが君とは初対面のはずだが?」
衛刃叔父さんに事前に聞いた情報では例のバーナビーとか言うあの少年、闇刻術士に負けて殺された彼は次男で嫡子だったはず。つまり彼は長男なのに嫡子になれなかった人間で俺もどこかシンパシーを感じてしまう。
問題は彼と俺は初対面だと言う事だ。普通に考えたら世代の有名人の勇牙の方に行くはずだろう。だが次の一言で俺の疑問は氷解した。
「水森の次期当主の清一さんに最高の師匠だって、何でも教えてくれるって……」
「そうだよ!! 黎牙兄さんは凄いんだから!!」
「炎乃華黙ってろ、案内は感謝する。琴音さんと戻ってるんだ」
「え? 私も一緒じゃ……ダメ……なの?」
普通に同席する気だったか……炎乃華に漏らすと他の奴にも秘密が漏れる。なるべく情報は最後に渡るようにしたいんだよな、炎乃華とクソ親父は口を滑らせるから俺は炎乃華たちを部屋から追い出す事に決めた。
「信用出来る者しか話は出来ない……下がれ」
「あのっ!! レイさん!! 傷を治して頂いたことは感謝します!! ですけど炎乃華に対してあんまりじゃないですか!!」
「あ、あのレイさん。わっ、ボクも構いませんので……」
知らない人間から見たら俺はただの横暴な人間だろうな、恐らくは炎乃華の知人からは印象は最悪だろう、本人がへこんでいて何も言えないのも拍車がかかっている。しかし事情を知っている人間も当然にこの場には居る。
「琴音、事情も知らないで口を挟むのは感心しないわ」
「楓姉ぇ!! だって!!」
「いいさ、かえちゃん。彼女は何も知らないんだろ? 多めに見るさ……」
「ごめんねレイ君。後で言って聞かせるから」
楓は俺の不遇時代や家での扱いを知っている。実際に俺が家でボロ雑巾のように扱われていたのも見ているから同情してくれたのだろう。だが今はそれよりもクリス君の話だった。
「何度もすまないクリス君。それで相談とは?」
「はい……バーナビーが居ない以上。もうボクが戦うしか無いので、鍛錬とか、それと嫡子の心得など教えて頂けたらと……」
清一の奴、色々と教えたな……ま、仕方ない。弟子の紹介なら少しの間だけでも面倒を見るのも良いだろう。
「なんだ、そんな事か……俺で良ければ喜んで」
「「えっ!?」」
俺の言葉にクリス君と炎乃華も驚いていた。何を驚いているのだか……他家の人間に愛想よくするのは当然だろう。
なぜか琴音が睨んで来るが初対面から俺の印象は良く無いのだろう、嫌われたもんだと思いながら、俺はクリス君を部屋に送るついでに道中で詳しく話すと言って部屋を出た。
◇
やっぱり私にはあからさまに厳しい、それが私の感想だった。クリス君が我が家では目立つ金髪でウロウロしていて声を掛けたら黎牙兄さんに会いたいと聞いて私は会話の糸口に利用できると思って連れて来た。
「それなのにぃ……またダメだったよ」
「炎乃華があそこまで歩み寄ってるのに案外と器は小さいのね継承者って言っても」
残った私達の中で反応してくれたのは琴音だった。ライバルだけど親友、そんな間柄で味方してくれるのは嬉しいけど、それに比べて私を少し見た後に興味を失ったように部屋で足を延ばしてスマホを見ているのは楓さんだ。まさか黎牙兄さんと知り合いだったなんて、そう言えばこの人も金髪だ。
「何かしら? 炎央院の次期奥方様?」
「うっ……その様子だと、知ってるん、ですね?」
「まあね、別に炎央院の教育方針や術師の考え方や弱肉強食を否定しないわ……だけど今さら彼に助けて下さいは虫が良すぎるとは思うわね?」
過去の黎牙兄さんの家での扱いを知ってるんだ。そう言えば空港で会った水森家の人も姉さんに対して黎牙兄さんを庇うような態度だった。
「その……楓姉ぇ? レイさんの態度には何か裏が?」
「さあ、炎乃華さんに聞いたら良いんじゃないの? 私の口からはとても、ただ一つ言えるのは二人には、と言うよりも炎央院の家と彼には大きな確執が有るの」
そう言うとまたスマホを弄っている。まだ用事が有るらしく黎牙兄さんを待つようだ。そこでジッと見て来る琴音に根負けした私は今までの事を全部話す事になった。
「……と、そんな訳です」
「それは……普通に二度と口も聞きたくない関係よね、そもそも炎乃華、あなた少しは疑問に思わなかったの?」
「だって楓果伯母様が黎牙兄さんをなんて、他に誰にも相談出来なかったし……勇牙だって年下だからいざって時は黎牙兄さんに全部相談してて……」
そう、結局は私は黎牙兄さんに散々な扱いをしていながら心のどこかで最後は助けてくれると依存していた。甘えていたんだ。
「そうでしょうね……あなたに対しては格別に甘やかしていたわよ? レイ君はね……琴音? 前にあなた炎乃華さんに自分の技が破られたって言ってたわよね?」
「え? うん。だから炎乃華対策の技を、そう言えばレイさんには使う前に破られたんだ。思い出したら腹立って来た」
空港でそんな事が有ったんだ。私対策の技か……気になるかも。
「破られた技は私が教えた『神撃の舞』と『絢爛の牙』だったわね?」
「うん……そうだけど楓姉ぇ、今、何でその話を?」
「それは昔に私がレイ君に何度か見せた技よ。私達は互いの家の技や奥伝について意見交換していたの。もう十年以上前になるわ。その時に言ってたわ『大事な弟子のためのデータが欲しい』ってね? さて、その弟子とは誰かしらね?」
それって、十年前なら私は九歳でまだ火影丸に選ばれていないで、どちらかと言えば強い術師では無くて家では姉さんの扱いが良かった時代だ。そして黎牙兄さんはその頃にはもう扱いは悪かったはず。
「黎牙兄さん……そう言えば私、琴音の技が分かってた……あれって!?」
「恐らくは鍛錬のメニューに風聖師対策、レイ君の事だから水聖師や土聖師対策もしていたのではなくて? そこまで尽くしてくれた相手にあなたが何をしたか、今どうしているか、少しは省みたら? 私が教えてあげられるのはここまでよ……」
そう言うと楓さんは部屋を出て行ってしまった。それを見送った瞬間に目から涙が止まらなくなっていた。黎牙兄さんが何で怒っているか今ハッキリと理解出来た。やっと分かったからだ。
「私、最低だ……私が強くなれてたのって……全部、それなのに私は……一番信頼しなきゃいけない人を信じないで、伯母様や姉さんを信じたんだ。信じなかったから……今も信じて、くれないんだ……」
「ねえ……謝ったの? 炎乃華?」
謝ったけど許してもらえなかったと言って琴音も黙ってしまった。沈黙が部屋を支配して私達はその後に部屋を出た。
どこか居心地の悪さを感じたからだ。しかしタイミングは悪くて目の前からクリス君を送って来た黎牙兄さんと会ってしまった。
「ん? ああ……お前らか、そうだ。聞きたい事が有る」
「えっ!? な、何っ?」
「かえちゃん、楓さんが今どこに居るか知らないか? さっきスマホに部屋を出るから話したいと通知が来てな?」
「え? スマホ……連絡先交換した、の?」
私はしてもらって無いのに? 前に言ったら聖霊での通信で充分だろって言われて納得したけど何で楓さんとはしてるの?
「当たり前だ。連絡を取る手段として有用なのはネットもだ、十年前と違ってネットは今やツールとしては……ん? 炎乃華お前……泣いて」
「なっ、何でもない、ですっ!! 私、知らないから!! 行きます!!」
どうして良いか分からなくて私は目の前から逃げ出していた。後ろで失礼しますと言って琴音も付いて来た。私は自分が情けなくなってどうしようも無くてその晩は自室で一人で泣くしか無かった。
誤字報告などあれば是非ともよろしくお願い致します。
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