第40話「思い出を胸に、そして始まる茶番だらけの断罪式」
◇
あれから結局は眠れず、まだ空に陽は登らない時間帯、する事も無いので庭に出て俺は南邸に捨て置かれていた木刀で軽く素振りをしている。昔は使えもしない炎聖術を使えるように日々特訓したものだ。
「ふっ!! はっ!!」
ビュン、ビュンと風を切る音が心地よい。しかし本気で振るったら邸を破壊しかねない、もしそうなったら炎乃華が顔を真っ青にして飛んでくるだろうから少し惹かれるのだが、それは出来ない。そう言えば、あの少女と出会ったのも公園で竹刀を素振りしていた時だった。俺はそれを思い出そうとして目をつぶり過去を思い出す。
――――12年前(当時、黎牙11歳)
あんな夢を見たからだろうか、俺は清一や氷奈美と一緒に四人で遊んでいた顔も名前も思い出せない少女との出会いを回想していた。
「いちっ! にぃ!! さんっ!! しっ!! ごっ!!」
一心不乱に竹刀を振るう、目立つと困るので公園の隅でやっていたが大声出して素振りをしていたので周りからは剣道少年が素振りしているのがバレバレだったらしく近所からは見逃されていたらしい。これは後になって流美から聞いた話だ。
「おに~さんは騎士さまなの?」
「ごじゅうにっ……誰だ? 近所の子?」
「うん。おにーさんは?」
そんな俺に一人の少女が声をかけて来た。日本では珍しくない黒髪の少女。今まで邸から距離の離れたこの公園で話しかけられた事が一度も無かった俺は思わず答えていた。
「わたっ……いいや、俺は炎央院黎牙」
「えんお~いん……れ~が?」
少し、たどたどしい発音に気になって聞いたら年齢が俺より二つ下の九歳、周りの女の子なんて炎乃華は意思の疎通すら怪しい年ごろで、逆に炎乃海は中学生で本格的に俺が見捨てられ始めた頃だった。
「ああ、そうだ。ところで君の名前は?」
「知らない男の子に名前は教えちゃダメって、お爺ちゃんとパパが言ってた~」
「……俺は名乗ったのに、じゃあいい、あっち行ってよ。俺、忙しいから」
何となく俺だけバカを見たような感じがしてムッとした。年下の女の子にこの程度で怒るなんて本当に子供だったし、むしろ警戒感が強いこの子の方がしっかりしていて名前を聞かれてあっさり名乗った俺が御曹司で世間知らずだったとも言える。
「わたしはお姫様だから名前は簡単に教えちゃダメってパパが言ってたもん」
「パパ? 父上の事を、そのような呼び方は軟弱な……何度も言わないで、用が無いなら声をかけないでよ」
それだけ言うと俺は意地を張って、話しかけてくるその子を無視して素振りを続けた。当時は家で無能扱いされていたので隙を見せないようにしていて俺はこんな態度を取っていた。そして数分後に俺は女の子の恐ろしさを知る事になる。
「ひっく……うっ、えんお~いん君が、お話してくれないぃ……」
素振りをしてガン無視を決め込んだ俺だったが僅か五分後には目の前で大泣きしてしまった少女を落ち着かせようとアタフタしていた。
「いや、別に、俺は……ああっ!? ええっと、お話しようか……お姫様?」
当時は必死だったと苦笑する。女の子の宥め方なんて今思えば彼女から学んだようなものだ。彼女とのやりとりがあったから炎乃華にも途中までは頼れる兄貴分なんて思われていたし、小さい頃は面倒を見れていた。そんな事を考えていたから少しだけ反応が遅れたが、俺の背後から誰かが近付いて来たのを知覚した。
◇
「それで? 何の用だ……炎乃華?」
「あっ、その……少し変な聖霊力を感じたから気になって」
「変な聖霊力?」
思い当たる節は無い。今ここには俺しか居ない。確かに今や俺と炎乃華には大きな隔たりが有る。それは関係性だけでは無く聖霊力もだ。
しかしそれでも力の大小に関わらず聖霊力の識別くらいは出来るはずで光位術士だろうが炎聖師だろうが関係は無い。
「はい。そしたら黎牙兄さんが居たから……もしかしたら私の知らない別な何かかと思って……」
「その割に勇牙や炎乃海姉さんが出て来ないのが不思議だな……お前だけなぜ?」
「そんなの私も分からない……」
だろうな、コイツは基本的に脳筋な我が家系の筆頭だ。俺や炎乃海、それに叔父さんが異常な扱いなのだ。だが都合も良いのも事実、炎央院の家で当主以外で戦闘面の実力者は炎乃華と勇牙だろう。この場合、真炎は規格外な上に幼いから論外だ。
「まあ良いか、さて……実は炎乃華に頼みがある」
「えっ!? 私に!! 何でも言ってよ!!」
このバカ従妹が、安易に安請け合いするなと昔も言ったのに……ま、今回は俺が頼む立場だ仕方ない。それに何度も言うが都合が良い。俺の炎聖術を試すのにこれ程うってつけの相手も居ないしな。
「ああ、じゃあ軽く模擬戦を頼む」
「えっと、私、今は神器とか無いけど……良いの?」
「ああ、純粋な炎聖師と戦いたいから俺も使わないさ……それとお前が分かる事があったら指摘してくれると助かる……なんせ炎聖術は使うのがまだ二度目だからな!! さて、デビュー戦だ。行くぞ相棒!! 来い、アルゴス!!」
そう言って俺は軽く炎を右腕に纏わせた。そして俺の足元には炎の犬型の聖霊、先ほど名付けた『アルゴス』が出現する。
ちなみに見た目は秋田犬が炎を纏った状態なので洋風の名前に若干違和感を示していたがレオールと何か話すと納得したのか一鳴きして受け入れてくれた。
「えっ? 黎牙兄さんが炎聖術を? 嘘、どうして? それに炎聖霊!? 待って下さい、それです!! その聖霊力です!! 変な聖霊力!!」
なるほど、俺の炎聖師としての聖霊力なら探知した事が無いから違和感を感じたのか……さすがは現・炎央院の戦力の筆頭と頭の中だけで褒めておいてやろう。
「さっきコイツが来て契約してくれるって言うから契約した。名はアルゴスと名付けた。さて、神器も無いから奥伝は壱と参か……」
「えっ!? なんで……そっか光位術の奥伝みたいなのが使えるなら逆に言えば炎聖術の方も……それでも早過ぎる」
ふむふむ予想通りの反応で俺は嬉しいぞ炎乃華、それにしてもコイツ戦闘に入ると頭の冴えが良くなるな。俺はまず炎気爆滅を放とうと構える。
「ちょ!! 黎牙兄さん!! 何しようとするかだけは言って下さい!!」
「ああ、悪い悪い。炎気爆滅だ。これが出来なきゃダメだったからな」
そう言って炎を圧縮させ爆発させる。炎聖師の基本の術で、これ以外にも二つ有るが先ほど流美たちの前で試したのでこれを使う。
「威力が高過ぎる……基本術でも出力が高過ぎます!! 牽制用の術でそんな戦い方したら」
「なるほど、次は少し弱めに撃つ、何か有ったら頼む」
その後も俺と炎乃華は明け方まで俺の術の行使など俺が家で学べなかった事を吸収して行った。その際は時には褒め、時には上手く煽てて、何か少し媚び過ぎてないかとは思ったが炎聖術をマスターして行った。
そして夜が明ける頃には炎乃華に限界が来て、その場で気絶したので南邸の俺の部屋で寝ている真炎の横に寝かせておいた。
「あの、黎牙様……これは……」
陽が昇り始める時間帯には起きて俺たちに朝餉の用意をしている流美ともバッタリ鉢合わせする事も普通に有る。炎乃華を寝かせている場面に遭遇される事も有ると言えば有るのだ。
「ああ、夜風に当たっていたら向こうから来たからな? 夜の鍛錬に付き合ってもらって今は朝帰りだ、疲れているだろうから寝かせて来た」
「黎牙さまっ!! 炎乃華様には勇牙様と言う許嫁が!? それに、そう言うお役目は炎乃華様では無く、その、私が……」
なんか盛大に勘違いしているなこの世話役、確かに今のは俺の言い方も少し問題が有るからな。しかし流美もこんな顔するんだな……。
八年前に知っていたら俺はコイツにだけは付いて来てくれるように頼んだかも知れないな。だが、そんな未来は永遠に来ない。感傷を捨てさるように俺はニヤリと笑って流美を見た。
「何を勘違いしている? 夜中に炎聖術の基礎を教えて貰っただけだ。そんで術の使い過ぎでぶっ倒れたから連れて来ただけだが?」
「えっ!? あ、黎牙様……あっ、朝から性質の悪い冗談はお止め下さい!!」
「それで? お前ならどうしてくれるんだ?」
「知りません!!」
その後も朝食の準備をする流美をからかった後に俺は汗を流すために風呂に入る。シャワーが無いのが不便だが桶に組んだお湯を頭から被るとスッキリした。
◇
そしてさらに数日後、いよいよ決行の日取りと相成った。南邸は完全に修復され当主とその奥方、つまりは俺の血縁上の両親が来る事になっている。勇牙は最後まで反抗したので叔父さんと俺で協議の上で静かにしてもらった。
具体的には気絶させて封印牢に転がしている。炎乃華と流美には悪いが仕方ないと言ったら二人にもアッサリと納得された。おい弟よ、お前の扱いが凄いかわいそうになって来たぞ。
「さ~て、どうなるのかしらね? 今回の大捕り物……」
「てか炎乃海姉さんこそ良いのか? 今回の告発であんたもめでたく失脚だぞ?」
俺の横でシレっと座っているこの女、今日は珍しく青紫色の着物を着ている炎乃海は嫌に落ち着いている。今日の告発が成功すればこの女もそれなりのペナルティが課せられる。
「あら? 私がそんな簡単に失脚するとでも? あ・な・た?」
「いい加減にしてくれ、冗談でも笑えねえから」
「ええ、冗談よ。ま、当分はタダ働きよ。お父様の監視付きで真炎も西邸で育てる事になるわ……本邸を離れるとかサイアクよ」
それだけ? 俺の中では結界作成までは軟禁生活、その後に放逐されると思っていた。余りにも軽すぎる処分だ。当時の嫡子暗殺の片棒を担いだ人間にしては余りにも処分が軽い。それ以上に俺が納得出来ない。
「そんな軽い処分で? 叔父さんもやはり娘には甘いのか……」
「ふふっ、あなたには不本意でしょうね。放逐くらいは望んでいたんじゃない?」
顔に出ているのかと聞くとバレバレと言われてムッとした。英国に行ってポーカーフェイスは出来るようになったのに、この女にはあまり通じないから思った事を言う事にしている。
「まあな、俺と同じ目にはあって欲しいとは思ったさ」
「でしょう、ね……でも残念。私、悪運は良いのよ? それに今回は黎くんのおかげなのよ? 私のこの破格の処分」
「それこそ意味が分からない。俺が強く言えば叔父さんと言えど――――」
俺が言おうとするとそれを遮るようにニヤリと笑って言った。
「今の炎央院に有効な戦力が何人居るか知ってるかしら? 炎央の十選師にその直属の配下、さらには分家の注目株に新人術師も、ぜ~んぶ倒しちゃったじゃない? あなた自身が……そしてその中には里中の長男の祐司もね?」
「あっ……じゃあ炎乃海姉さんが謹慎処分だけで済むのって……」
「そ、人手不足なの我が家、ありがと~!! お父さまに無償労働と派閥の解散と私財を全没収で今回はお咎め無しなの、だ・か・ら、黎くん、愛してるわ♪」
こんのクソアマぁ……だけど今回は俺も悪い。景気良く都内で光位術を垂れ流し、西は出雲で大暴れして水森に迷惑をかけ、戻った東京では羽田空港を一部機能不全にした後に炎央院邸では術師を次々と倒し続け重体や再起不能も一人や二人じゃない。
そして何より炎央院の運営を担っていた一人、里中の長男をイラっとして全治三ヶ月にしたのだ。今の炎央院を完膚なきまでに叩きのめした責任は俺に有る。
「くっそ……何してんだよ俺は……」
ここで思う人間も居るだろう、炎央院なんて放っておけば良いのにと、しかし問題は関東の結界が完全に無くなり、その上でそこを守護する人間が不在の場合は闇刻聖霊はもとより、災害としての妖魔や悪鬼などが出放題になる。
それこそ百鬼夜行が起きて東京を始めとした地域は壊滅する。その穴を埋めるための三家が動き更に日本は混乱する。そんな事は流石に看過できない。
「ふふっ、同情するわ黎くん。やっぱりあなたも炎央院の人間ね?」
「一番言われたくねえ言葉をありがとうっ!! 炎乃海姉さん!!」
ここまで盛大に力で解決したのは結局のところは脳筋上等主義な、まさに炎央院の人間の所業だ。そんな感じで俺達が静かにケンカをしていると南邸に続々と関係者たちが入って来た。
分家の当主に俺の追放を強く支持した親戚連中なんかも包帯を巻いたり、青い顔をして入って来ている。
ちなみに俺の後ろには炎乃華が、その横に流美と真炎が、上座の一段下には叔父さんが待機している。そして因縁の当主とその妻、俺を追放した女が入って来た。
◇
まずは簡単な当主の挨拶から始まり皆が簡単に挨拶をし、ある者は謝辞をし当主の機嫌を取った。隣の炎乃海姉さんが挨拶すると俺の番だ。皆が俺に注目している。さて成長した冷静な、そして俺らしい挨拶をしようじゃないか。
「この度は私のような人間のために集まって頂き光栄の極み……なんて言うとでも思ったか? 俺の名は、レイ=ユウクレイドル。炎央院黎牙とか言う無能は死んだ。今回はその報告と、愚かにも私に戦いを挑んだ弱者共の弁を聞きたくこの場に馳せ参じた。言い訳や罵倒など好きな事を発言しろよ……八年前と同じようにな!!」
俺の言葉で場の全員がビクッとなるのは気持ち良かった。俺が十五歳の当時コイツらに囲まれて「無能」「恥晒し」「無価値」などと言われ散々に攻められた。あの時の恨みの十分の一も返していないが、やっと言いたい事が言えた。
「黎牙っ、きっさまぁ……言わせておけば!!」
「二度も敗れた無様な皇が何を言う? 炎央院刃砕? 弱者が吠えるなよ?」
俺が言った瞬間に周囲がざわめいた。当主が敗北したのは噂程度には広がっていたようで動揺が広がった。そして顔を真っ赤にした本人が否定しないのが大きくなり波紋も広がった。
「ぐっ、言わせておけばぁ!!」
「兄上、今は黎牙の帰参の挨拶ですぞ? 親ならば受け止めるのが定石。それが例え息子に敗れたとしても……で、ございます」
シレっと叔父さんが俺に負けたと言う事実を上塗りしていく。抜け目ないけど挑発が効いたようで今度は叔父さんに噛みつき出した。周囲はその二人を止める事など出来ない。
いや出来るはずの勇牙はおらず、炎乃海と炎乃華が俺の傍に居て下を向き口を噤んでいる(演技をしている)。そして遂に主犯が口を開いた。
「悲しい事ね……せっかく私たちの息子が試練を終え我が家のために帰って来たのに、あなた、いえ当主も、どうかまずは私達の息子の帰還を祝いましょう。それこそが炎央院の家長たる務めです」
「……さすがは義姉上です。さあ当主も」
「う、む……黎牙よ。よく帰った」
そう言って俺はニヤリ笑って目の前の当主たちを睨むと、横の炎乃海を抱き寄せ頭を床に叩きつけた。そのまま頭を掴み上げて顔を見せた後に半強制的に土下座のような体制をさせる。
ちなみに特殊メイクで口から血を流させているだけだ。実際は全く痛みは無いように扱っているので痛くないのに、この女の演技は天下一品だった。
「がはっ……ごめっ、なさい黎くん……ゆっ、るして……」
『痛い、ちょっと強過ぎよっ!! 黎牙!!』
「俺が強くなった瞬間にすり寄って来て媚び売る辺り、女としての嗅覚だけは有ったようだな? 失礼、当主、この女を躾けてまして……とんだビッチで申し訳無い」
『嘘付け、俺のグリムガードと自前で炎障壁まで張っててノーダメだろ!!』
そう言ってもう一度炎乃海を頭から床に叩きつける。今言ったように聖霊間通信を介してこのような茶番を繰り広げているがそんな事は周りは分からない。
「かはっ……ぜ、んぶ話すから……八年前の事、だから許して……お願い」
『ちょっと黎くん、どさくさに紛れて『ビッチ』とか言わないでくれるかしら? 真炎がまた真似するでしょ!!』
「何を話す? まさか俺を追放した事には何か裏が有るのか?」
『少し演技に力が入ったんだよ。実は主演男優賞目指してんだよ、だからそっちも助演女優賞狙う勢いで頼むわ』
見ると予想以上に一門と当主、そして俺の母は固まっていた。俺と炎乃海の関係の変遷を知っているのにと呆れる。最初は許嫁として誰よりも仲良く、しかし途中から見捨てられ最後は追放された。そんな相手に対して俺が一切の容赦をしない。
例え幼馴染で慕っていた相手でも関係無いと、それを裏付けるように後ろの炎乃華と流美も震えている……振りをしている。妙に演技が上手い気がするが……それは俺の気のせいだろう。
「さぁ、炎乃海、話してくれるか? 後ろの二人にも昨夜は寝所で面白い話を聞かせてくれたからなぁ!!」
「わ~!! レイおじさん頑張れぇ~!! 悪い奴はやっつけろぉ~!!」
うん、空気読んで欲しいぞ真炎ちゃん。さっきからキャッキャと自分の母親が流血する度に喜んでいる真炎ちゃんに教育的指導をしたいが、なんと逆にこれが効いてしまっていた。
余りにも無邪気に笑いながら言う彼女が既に聖霊帝を支配下に置いているのは周知の事実、それが俺を支持している。更に俺自身も正体不明の聖霊帝を使っている事実がより、この場の人間の表情を恐怖に彩っていた。
『おかしいわ。黎くんが来るまでは大人しくて言う事は何でも聞く子だったのよ』
『六歳ながら色々とストレスが溜まってたんだろ、かわいそうにな』
俺は悪く無い、そう思って叔父さんの方をチラリと見たら目が合って首を横に振った。どう言う意味だろうか、一応は事前に説明はしていたんだが……それに万が一怪我などをしてもフォトンシャワーで炎乃海の治療はすると言っていたので問題は無いはずなのだが?
「黎牙よ……どうかその辺りで許してはくれまいか? 炎乃海もそして炎乃華もそれでは真実を話せないでは無いか」
「それもそうですね――――「待ちなさい、黎牙。炎央院の嫡子として戻って来たのに、このような粗暴な振る舞い。許嫁の炎乃海に悪いと思わないの? あなたは昔から優しく平等な子でした、それがどうして……」
このクズ女が、どの口でこんな事を言う。俺は何一つ忘れていない。あの日言われた事を、全てを奪われ、捨てられ他人と言われたあの日の事を……忘れたとは言わせない。さあ、ここからが俺の復讐の始まりだ。母さん?
誤字報告などあれば是非ともよろしくお願い致します。
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