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光を受け継ぎし者 ―追放された光は導かれ再起す―  作者: ネオ他津哉
第四章「止まらない継承者」編
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第93話「決戦の前は婚約破棄?」

後書きの下に他作品へのリンクが有りますのでよろしくお願いします。


「レイとにかく急がなきゃ」


「ああ、流美と石谷さんはクリスさん達を仮拠点へ送ってくれ、残りは鴨川へ向かう、 ひなちゃんは俺が連れて行くから掴まって!!」


「はいっ!!」


「う~、今回はしょうがない!!」


 アイリスが不満そうだが今回は我慢してもらおう。俺は氷奈美を抱きかかえるとレイウイングを展開し飛び立った。後ろからアイリスと隠蔽を解除してベラも付いて来るのを確認すると一気に鴨川まで飛んだ。





「ちっ!! お二人とも、特に刃砕殿はバッテリーが無いので気を付け下さい」


 俺達が到着する少し前ワリーが闇の巫女と名乗った黒ローブの女にレイアローを連射しながら自身の聖具にレイブレードを展開し周囲を牽制する。


「彼奴らには術師すら即死させる術が有るから回避に専念せよか……承知した」


「伯父様、なら私が……バッテリーセット行きます!!」


 炎乃華が火影丸の光位術バッテリーを展開し刀身に光の聖霊力を展開していく。そして簡易的なレイブレードを展開して突撃する。


「待てホノカ、奴はレイでも苦戦する相手だ」


「なら、なおのこと少しでも時間を稼ぎます!!」


 実際この場合の炎乃華の判断は間違っていなかった。黒ローブの女、つまり闇の巫女とその一派は既に闇刻術の結界を展開しPLDSや聖霊間通信の遮断も始めていて時間が無かった。


「だが、それは光位術士である場合の話だ君たち下位術師では……だが、やるしかないか……刃砕殿は牽制をお願い致します」


「心得た、役立たずは後ろに下がっていよう……」


 先行する炎乃華に追いつく形で闇刻聖霊を斬り裂くワリーと中央の闇の巫女のみに狙いを定めた炎乃華の一閃が黒いローブを捉えた瞬間、周囲を巻き込み爆発した。


「きゃっ!?」


「くっ!? 聖霊爆弾……だが気配の波長は本物なはず!?」


 咄嗟にワリーがグリムガードを展開し炎乃華を庇ったが二人は聖霊爆弾の直撃を受けていた。


「二人とも無事か!?」


 たまらず親父も聖霊王を二柱同時に呼び出し乱入していた所に俺たちが合流した。それが後からワリーに聞いた話だった。


「無事かワリー、炎乃華ついでに親父も」


「レイ!! どうやら罠だったようだ、すまない」


「気にすんなワリー、アイリスと氷奈美は三人の護衛に!! ベラは俺に続け!!」


「「「了解っ!!」」」


 俺たち四人が戦線に乱入したことにより聖霊使いが二名しか居ないと判明した。報告では闇の巫女と思しき者がいたと報告が来ていたのに該当人物がいない。


「レイ!! こいつらは雑魚ばかり、しかも闇刻術士ですら有りませんよ……」


「ああ、これは前に報告した例のゴーレム術師だ」


 それは土塊の体に術士や術師の魂を入れることで完成する紛い物で日本での一大決戦「闇に包まれた日」事件で闇の巫女が投入して来た人工術師だった。


「いい加減にしろ闇の巫女ブルー!! お前の誘いに乗って京都まで来てやったんだ挨拶くらい現れたらどうだ」


 敵を殲滅した後の河川敷に俺の声が木霊するが返事は無かった。アイリスが後ろで素早くレイフィールドで周囲を浄化し鴨川一帯の汚染区域の浄化の完了を確認すると俺達は素早くその場を去った。





「さて……じゃあ状況を整理しましょう、まずはL&Rグループとしては闇の巫女の台頭と闇刻術士の再度の侵攻を止めるために京都に参りました」


「はい、我ら岩壁の一門は……」


 あれから数時間後、京都市内を俺や日本各地から援軍として駆け付けた術師たちが警邏したが闇の巫女の一団は見つける事は出来なかった。京都全体が混乱しているとはいえ、この監視網から逃れるのは困難にも関わらず発見は出来なかった。


「敵の第一波を偶然にもかわしたと……それは強運でしたね」


 そして現在、岩壁家や救援に来た主だったメンバーは片付けの終わった伏見の別邸に集結していた。京都市内の土聖師は無事な者が多く別邸の修復も最低限は完了し先ほどアイリスや氷奈美による結界の構築も終わっていた。


「はい……それで、その……」


「何でしょうかジュリアス殿」


 俺は先ほどからジュリアスさん、つまり岩壁家の当主代行と話をしていた。現状ではこの人が岩壁のトップだ。唯一の直系のクリスさんは術師としても巫女としても目覚めていないから当然の措置だろう。


「現在、当家は先だっての戦いで当主を失い、此度の戦闘では拠点と多くの同胞も失いました、正直、四大家を名乗れる状況では有りません、お恥ずかしながら海外の、私の母国に派遣している人員を戻しても全盛期の半分以下でしょう」


「なるほど……しかし今回は闇刻術士の強襲による被害です、なので各家、特に例の事件までは険悪だった水森家も今回は協力してくれます、氷奈美そうだな」


「おい、少し待て……」


 俺が、ひなちゃんに確認を取ると頷いた拍子に親父が話に割って入ろうとしたが無視だ無視、こいつに入られると厄介だ。


「はい、先遣隊の者にも私が直接言い含めましたし明日には兄がこちらに入りますのでご安心を……レイさん、そのぉ……」


「ありがとう氷奈美、じゃあ流美、聖霊間通信のジャミングの結界はもうないな?」


「いや、わしを無視するなレイよ!!」


 いいや無視するね、今の状況はひっ迫しているし今は親父の相手をしていたら大変だ。結束すべき時に亀裂を生みかねない。


「はい、ワリーさんとベラが有志と一緒に市内の結界を全て破壊しましたし私の広域の通信も届くようになりました、お陰で東京の支社とも繋がります」


「なるほど、じゃあアイリ――――「いい加減にせんか黎牙よ!! 貴っ様、勇牙が岩壁の娘と逢引きしていたのを知っていたなぁ!!」


 強引に話を進めようとしたが無理だった。そりゃ部屋の隅で二人でイチャイチャしてたら親父でも気付く。そもそも京都への派遣メンバーが親父と炎乃華になった時点で俺は嫌な予感は有ったんだ。


「勇牙よ!! 岩壁の娘など妾か遊びなら構わんが、お前には炎乃華という許嫁がいるのだとあれほど言ったであろうが!!」


「なっ!? 刃砕様……私の大事な姪を妾か遊びですと……撤回して頂こう!!」


「はっ、今は当家の中での話だ!! 部外者は引っ込んでろっ!!」


 ついに岩壁と炎央院のトップ同士の口論が始まってしまった。ちなみに実際は二人ともトップではない。衛刃叔父さんや将来の当主になる予定のクリスさんには頑張ってもらいたいが叔父さんは東京だし、クリスさんなんて勇牙に抱き着いて二人揃ってプルプル震えてる始末だ。


「あ~あ、やっぱりダメだったよレイ……」


「アイリスは悪くない、ひなちゃんと流美までの短い間だけでも上手く流せたのが奇跡だったんだ」


 実は俺は京都市内でヘリを下りたタイミングで既に勇牙を探していた。そして流美の進言で現地にいるはずの高校の教員に勇牙の行方を聞き出そうと考え高校に連絡を取ったのだ。


――――数時間前


『ええ、ですから炎央院くんは一週間ほど家庭の事情で出られないと連絡が来てますけど違うんですか?』


「えっ、いや……修学旅行なのでは」


『はぁ、この三年の忙しい受験の時期に出来るわけないでしょう、え~と、お兄さんでしたか? あなただって高校生の頃は二年の間に修学旅行だったでしょ?』


「え? あ、はぁ……はい、分かりました、はい……失礼します」


 いや、俺、高校とか行ってないから知らんのだが、なんて言うわけにはいかず担任の話を聞いてハッキリした。


「どうでしたかレイ様?」


「あんのバカ、たぶん高校サボってクリスさんに会いに行きやがった!!」


 俺が受話器を叩きつけると流美が頭を抱えていた。俺も同じように頭を抱えたい気分だが俺の妻は違った。


「わ~お、勇牙くんも、やっるぅ~」


「黎牙様、あっ、すいませんレイ様、まだ勇牙様が逢引きしているかは……その、確定ではないかと……思います……」


 興奮する嫁にデコピンしながら語尾が段々弱くなる従者を見る。慌て過ぎて流美は仕事中は呼ばない俺の日本名を言ってる始末で思った以上に動揺していた。こんな事が有って事前に俺たちは勇牙に話を聞こうとしたが闇の巫女の探索を優先した結果、事情を聞く前に全員集合となって今の状況となっていた。





 そして当人よりも両家の親族が言い争いをしている。この争いに京子さん、つまりクリスさんのお母さんは参加せず涼しい顔して茶を飲んでいた。なんか俺の産みの母親と同じ豪胆さを感じたが今はそれどころじゃない。


「レイ様、まずは炎乃華様を……」


「別に大丈夫だと思うけどな~」


 確かにアイリスが言う通り俺の従妹は意外と冷静で怒っている雰囲気は無い。許嫁の浮気が発覚したのだから普通ショックでも受けると思っていたが大丈夫そうだ。


「その、炎乃華……浮気とかに寛容なのも良いが怒る時は怒るんだぞ、お前は今回は完全な被害者なんだし、な?」


「え? あっ、はい……黎牙兄さん」


 しかし炎乃華はキョトンとした顔で親父とジュリアスさんの言い合いを見ていて本当に怒っている感じはなく純粋に事態の流れを見ている感じで、まるで他人事だ。


「レ~イ、お義父さまの方は完全にお怒りだよ~」


「こればっかはな……どうしたもんか」


 今回はどう見ても岩壁家と勇牙が悪い。そしてバレないように裏で手を回そうとした俺たち光位術士サイドの思惑も親父にバレているから忠言を聞き入れるかも怪しい。日頃はどうであれ炎央院は今回は被害者だ。


「まさか次期嫡子が寝取られるとか……炎央院の醜態だ、こりゃ……」


 正直なところ個人的には実家が混乱する様子は、ざまあみろと思ったが起きたタイミングが最悪だ。闇の巫女という最悪の敵が出現したタイミングでお家騒動を引き起こすなんて勇牙よ、お兄ちゃんは悲しいぞ。


「ですがレイさん、早急に解決しなくては……敵も待ってはくれません」


「だね、ひなちゃん何かいい案とか有るかな」


「レイさん、まだ業務中ですので氷奈美ですよ、私は部下なのですから」


 そういえば最近はメリハリをつけるためという意味と、ひなちゃん本人の意志で業務中は氷奈美と呼ぶようにしていた。


「ごめん、どうも慣れなくてさ」


「ふふっ、お気を付け下さい、私も呼び捨てにされると身が引き締まりますので」


「俺は色々と新鮮だよ……さて、じゃあ、どうする三人とも」


 そこでアイリス、氷奈美、流美の三人の顔を見ると困った顔をしていたが当然だろう。ちなみにワリーとベラは厄介事はごめんだと言って京都市内へ二人で行ってしまった。恐らく警邏の続きを二人でしてくれているのだろう。


「いいな~二人はデートか、前に日本にいた時に京都はいいとこだって、お爺ちゃんとお婆ちゃんが言ってたから気になってたんだ~」


「アイリス、俺たちは遊びで来たんじゃないぞ」


 たしなめるように言うがアイリスを止めるどころか一緒になって氷奈美まで盛り上がっていた。


「アイちゃん、京都は湯豆腐が定番ですわ、他にも名所はたくさんです、妄想でレイさんとデートしたので案内出来ますよ」


「妄想で浮気なんて……やるわねヒナちゃん」


「奥様ぁ、それに氷奈美様もレイ様の話を~」


 女がこういう雑談を始めたら大体、話を聞いてくれなくなるのが基本だ。どうするかと考えていると先ほどから俺の後ろにいた炎乃華が無表情になっていた。


「炎乃華、お前も何かあれば言っていいんだぞ」


「えっ、じゃ、じゃあ私も京都には修学旅行で来たこと有るから黎牙兄さんを案内出来ると思うけど……行きたいとことか有る」


 待て、何でこっちに混ざろうとしてるんだ炎乃華よ。お前は当事者なんだぞ。


「いや、それより婚約者が浮気してるんだぞ? あんまり言いたくないが俺と炎乃海姉さんの時と同じ状況だ……お前にまで同じ思いはさせたくないんだよ俺は……」


「えっ、あ……そう、ですね……」


「お前達二人は雰囲気は良かったし俺も少し前までは炎央院を恨んでたから放置してたのは悪かった、お前が不憫でならないから今なら関係修復も出来るし、な?」


「えっと……そう、ですね、はい……決めました」


 そう言うと炎乃華が渦中の二人と勇牙とクリスさんの前に出て行く。俺も慌てて後ろから付いて行くと炎乃華が口を開いた。


「えっと……いいですか皆さん」


「炎乃華……」


 炎乃華と勇牙の二人は同時に向かい合うと目が合って、そして勇牙が目を反らした。何してんだアイツ……本当に不安になって来たぞ。


「炎乃華よ、今こやつらを納得させて炎央院の意を示す!!」


「炎乃華さん、待って欲しい二人の話を……」


 集まっていた面々の視線が一斉に集まってビクッとした後に炎乃華は勇牙とクリスさんを見て口を開いた。


「勇牙……クリスさんのこと、好きなの?」


「えっ、ああ……うん、愛してるよ彼女を……」


「そっか……クリスさんも?」


「はっ、はい!! 私も勇くんを……勇牙くんを愛してます」


 二人の言葉に親父とジュリアスさんが何かを言おうとしたから俺は咄嗟に親父の前に立ってグリムチェインで親父を縛って床に転がすと同じタイミングでジュリアスさんも頭から大岩を落とされ気絶させられていた。


「なっ!?」


「お母様!?」


 大岩を落としてジュリアスさんを物理的に黙らせたのは京子さんだった。俺が動くのに合わせたようで当主代行は完全に気絶していた。


「炎央院の姫様、炎滅紅姫の話が先です……当家の代行が失礼しました、どうぞ続けて下さい炎乃華さん」


 その言葉に頷くと炎乃華は勇牙とクリスさんを見て再び口を開いた。


「仕方ないから……勇牙、婚約破棄してあげる」


「「「「えっ!?」」」」


 京都ツアーの話をしていた三人も今の言葉は聞こえていたようで振り返って驚いていた。聞いていたなら最初から参加しろと言いたいが炎乃華の話はまだ終わっていなかった。


「私と勇牙の婚約はあくまで黎牙兄さんと私の姉の婚儀が上手く行かなかったから急遽組まれたものだし、暴走していた私の姉一派への牽制の意味が強かったんです」


「そう……なのか?」


 そんな話は知らなかったが納得だ。単純に昔からの取り決めだと俺は思っていたが言われてみれば納得の内容だった。


「はい、だから私と勇牙の関係は幼馴染で気心が知れてたんでお互い相手がいなければ結婚もいいかな程度の仲だったんです、勇牙もそうだよね?」


「えっ!? あ、えっとぉ……うん」


「なら相手が出来たなら勇牙はクリスさんと結ばれるべきよ……私は大丈夫だから」


 にこやかに笑うその笑顔は一切の憂いが無くて本心からにしか見えなかった。だけど今すぐに婚約破棄は無いだろうと俺は即座に止めに入っていた。


「いやいや、炎乃華お前、本当にそれでいいのか一回の浮気くらいなら俺が説教して勇牙を更生させるから」


「ふふっ、な~んか黎牙兄さんが昔の私の知ってる世話焼きで少し口うるさくて優しい人に戻ってくれたみたいで嬉しいな……」


 そう言って俺を見つめて来た。そして振り返って勇牙とクリスさんを見てハッキリと宣言した。


「炎央院勇牙、私、炎央院炎乃華はあなたとの婚約を解消、破棄させてもらいます」


「えっと……はい、ぼ、僕も謹んで、その解消を受けさせて頂きます……ありがとう、炎乃華」


「どういたしまして、幸せにね勇牙、クリスさん」


「「はいっ!!」」


 いやいや待て普通にいい話風にまとめるな三人の中で、しかし、そこで拍手がパチパチと聞こえて出所を見ると京子さんとアイリスだった。


「アイリス、京子さんもこれは高度な家の問題で――――「レイ? あなたはいつから炎央院の関係者になったの?」


 アイリスの言葉に俺は後頭部をガツンと殴られたような強い衝撃を受けた。そうだった俺は今は炎央院じゃないんだ。


「えっ、あ……いや、それは、だが……」


「私達はユウクレイドル家の人間だよ、炎乃華ちゃんが大事なのは分かるけど妹離れ出来てないのはレイだよね、今ね炎乃華ちゃんは大人として一人の女として決断したんだよ、それをお兄ちゃんのあなたが止めちゃダメなんじゃないかな」


 そう言われてしまえば俺には何も言えなかった。だから最後に炎乃華にもう一度確認していた。


「……炎乃華、本当にいいんだな? もしかして他に好きな奴がいるのか?」


「いる……ううん、居た……かな、でも、その人はもう手が届かないから、だから勇牙だけでも好きな人と結ばれて欲しい、それが今の私の本音かな」


 そう言って悲しそうに笑う炎乃華の表情を見て俺は目の前の従妹が成長していた事を実感した。俺だけが英国で成長したんじゃない目の前の従妹も成長していたんだ。


「分かったレイ? お兄ちゃんなら妹の成長、し~っかり見てあげなさい!!」


「……了解だアイリス……俺もまだまだか」


 これで家の問題は解決……したかに思えたが何か忘れていると思った瞬間、親父が俺の光位術の拘束を解いて立ち上がった。


「ならん、ならんぞ!! そんな個人の一存で家同士の約定が違えるなど有ってはならんのだ!!」


「だから……なんで上位術士でも無いのに俺の術を解いて動けるんだよ!!」


「ふっ、気合で振りほどいてやったわ!! 最近はお前の術を何度も受ける内に慣れてきたぞ!!」


 そんなことはあり得ない、だって光位術とか闇刻術とかはそういうのじゃないから完全に上位の術なんだよ。


「相変わらず、お義父さまって規格外、一度ラボで人体実験した方がいいかもレイ」


「お、奥様っ!?」


 サラッと俺の嫁も危ない発言をするくらいには親父の謎の耐久性は凄かった。だけど今は眠ってもらおう。


「悪いが話がまとまったんだ寝てろ親父、炎皇流、上火斬!!」


「貴様っ、黎牙っ――――ぐぇっ……」


 後頭部を暁の牙で思いっきり殴って今度こそ気絶させた。これでしばらくはジュリアスさん同様すぐには起きれないはずだ。





「なんか婚約破棄してスッキリしました私!!」


「お、おう……そうか」


 あれから肝心の話し合いは五分で終わった。京子さんの鶴の一声で全て俺に一任され、岩壁家はユウクレイドル家の支配下に完全に入ると宣言されてしまった。


「それって、つまりユウクレイドル家の庇護下に入りたいってことだよなぁ……それに向こうには勇牙だろ、してやられたかもな……」


「ですね、京子さんに上手く乗せられちゃったかも」


「とにかく敵の動きが有るまでは待機と救助活動だな、例の闇の支配者とかいう奴の起こした地震の被害は今も残ってるからな」


「それと黎牙兄さんは伯父様の説得ですね」


 そう、一番の難題が残っていた。おそらく当主の衛刃叔父さんは今回の炎乃華の対応を許すと思うがしかし親父は最後まで許さないだろう。


「ああ、だってお前と勇牙の婚約を決めたのは親父なんだよなぁ……」

誤字報告などあれば是非ともよろしくお願い致します。


ブクマ・評価なども有ればお待ちしています。

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