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第6章 「緊急入電 対テロ作戦へ参加せよ!」

 和やかなお喋りは弾み、特捜車の窓から望める管轄地域の風景も平穏無事。

 そんな物見遊山のように和気藹々とした武装特捜車内の空気を、ガラリと一変させた物。

 それは、無線機に掛かってきた緊急入電でしたの。

「南海高野線中百舌鳥駅付近で、武装勢力による無差別テロが発生!武装勢力は、産業振興センターで開催されていた新卒向け合同企業説明会の参加者を装っていた模様です!」

 助手席で無線の応対をされていた辻ナギ二曹が、血相を変えてバッと振り返りましたの。

「何ですと、テロリストですの?!」

 さながら電気ショックを浴びたかのように、(ワタクシ)は赤いブレザーの内ポケットから軍用スマホを取り出しましたの。

「くっ、何たる事…!」

 支局のオペレータールームから送信された緊急メッセージの文面は、辻ナギ二曹の報告と同様の物でしたわ。

「現在、特命教導隊と特命機動隊が応戦中…付近を巡回中の部隊に、応援の要請がかけられています!」

「これは聞き捨てならないよ、フレイアちゃん!」

 辻ナギ二曹の報告に被せるようにして、葵さんが(ワタクシ)へ呼び掛けましたの。

 逸る思いがそうさせたのか、既に個人兵装のガンブレードはケースから取り出されておりましたわ。

「私とフレイアちゃんの連携攻撃を、テロリスト相手に思う存分叩き込んでやろうよ!」

 その愛らしい童顔からは、日頃のホワホワした雰囲気が払拭され、ピリッとした緊張感に凛々しく引き締まっておりましたわ。

 これぞ正しく、最前線で戦う防人乙女の顔。

 人類防衛機構の崇高なる正義の具現ですわ。

「当然ですわよ、葵さん。たとえ相手が何人(なんびと)で、どのような主義主張を掲げていようとも…無辜の管轄地域住民相手に乱暴狼藉を働く不逞不埒の輩は、決して許さない。それが(ワタクシ)達、防人乙女ですわ!」

 負けじと私も、黒革製のケースからエネルギーランサーを取り出しましたの。

 安全装置を解除していないので紫色のエネルギーエッジは生成されておりませんが、ランサーの柄を握っておりますと、自ずと闘志が湧いて参りますわ。

「とはいえ葵さん…安全装置を解除するのは、まだ早過ぎるのでなくって?」

「えっ…?ああっ、いっけない!私ったら、気が急いちゃって…」

 (ワタクシ)がチラリと視線をやるや、慌ててガンブレードに安全装置をかける葵さん。

 その素直さは、貴女の美徳ですわ。

「ありがとう、フレイアちゃん…車内で暴発しちゃったら、始末書じゃ済まないよね…」

「それだけ葵さんが、対テロ作戦に闘志を燃やされている証拠ですわ。」

 (ワタクシ)と葵さんが丁々発止と演じるやり取りの賑やかさとは対照的に、運転席後方の席は、随分と静かでしたの。

「小職は必ず、任務をやり遂げます!ですから、お力添えを…」

 手にした個人兵装に向かって、静かに語りかける銀髪の少女。

 どうやら天乃さんは、ソニックダガーの刀身を通して、御自身のお母様に呼び掛けていらっしゃるようですわね。

 反応こそ三者三様ではありますが、3人の特命遊撃士は来るべき戦闘に備えて闘志に火を点けている最中でしたわ。

『これより本隊は無差別テロを実行している武装勢力殲滅のため、産業振興センターに急行致します!』

 そんな時、武装サイドカーに騎乗の天神川久遠(てんじんがわくおん)准尉から、特捜車の無線と私達の軍用スマホに通信が入りましたの。

「はっ!承知しました、天神川久遠准尉!」

 運転席でハンドルを握っていた醍醐深雪(だいごみゆき)曹長が張りのある声で応答し、アクセルを一気に踏み込みましたの。

 戦闘バイクに武装サイドカー、そしてミニバンタイプの武装特捜車。

 そんな内訳の特捜車両の一団が、民間車両が道を譲って下さった幹線道路を、一気に突っ走る。

 その猛々しいエンジン音とサイレン音は、乗車した防人乙女達の闘志を代弁しているかのようでしたわ。

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― 新着の感想 ―
[一言] こういう、戦いの前の雰囲気もまた燃えますね( ´∀` )
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