魔剣使いと洞窟脱出
短いけど、重要な設定の間の幕間回みたいな感じで許して。
目を覚ますと俺とアズガレナは森の中にいた。雰囲気からすると、俺が逃走劇を繰り広げた森だな。
「うーん、風が気持ちいいのお。あんな閉鎖された場所にいたから、こんな景色も久しぶりじゃな」
アズガレナが背伸びをする。
「ちょっと、どこにいるか確認してくるよ。待ってて」
「うむ、任せたのじゃ。妾は最近の地形は分からんからな」
俺はスルスルと木に登ると、周りを確認する。冒険者にとって自分の居場所の確認は必須事項なのでもちろんこれぐらいのことはできる。
俺が、ミドウ山であそこにカトン連邦が見えて大きさ的に距離はこのくらいになるから、よし、この方向に進めば大丈夫そうだな。
木を降りる。
「結構、身軽なのじゃな」
「このくらいは普通かな。行き先は俺が決めていい?街に行くだけだけど」
「いいぞ。妾はお主に付いていくからな」
「ありがとう。モンスターの気配がないか確認しておくね。危ないし、手でも繋ぐ?それとも魔剣になる?」
「繋がん。妾を子供扱いするでない。それに妾は久々の空気を直に感じたいんじゃ。じゃから、歩く。ほれ、早く妾を先導しろ」
「了解」
俺が先を歩き、アズガレナが後ろから付いてくる。
明らかに俺の一歩より、アズガレナの一歩は明らかに小さいので、いつもよりかはゆっくりと。
「のう、お主、今は暇か?」
30分ほど経った時、ずっと静かに後ろを付いてくるアズガレナが急に話しかけてくる。
「どうした、もう限界?」
「違うわ!お主が暇なら、魔剣と聖剣とはなんなのかこの時間を使って説明してやろうと思ってな」
「それは嬉しいかな。正直、魔剣について俺とアズガレナの間でかなり知識に違いがあるし」
「ふふ、聞いて驚け。聖剣と魔剣の歴史と。この魔剣アズガレナのかつや、ゴフ」
自慢そうに表情を浮かべてこっちを見ていたアズガレナは足元の木の根っこに思いっきり引っかかって転んだ。
最初の自己紹介の時といい、本当についてない。
やばい、ちゃんと見てたせいで、思い出して笑いが堪えられ
「ふふ」
なかった。
「笑ったな!お主、今、笑ったな!!」
若干、涙目のアズガレナがこちらを凝視する。
「ごめん、ちょっと面白くて、ふふ」
「また、笑ったな。うう、いたいけな少女の羞恥姿を見て面白いじゃと。お主に人の心はあるのか」
「ごめんって、だから、怒らないで」
「絶対に許さぬ」
アズガレナに駆け寄ると彼女の顔や膝についた土を払ってあげる。
「これで大丈夫かな。それじゃあ、いこうか」
俺が立ち上がり、先に行こうとすると、アズガレナが俺の服の袖を引っ張る。
「えっ、何?」
「‥‥‥手」
「手?」
「手を繋がないかのう‥‥‥違うぞ。これは‥‥‥今から妾がお主に魔剣について話から‥‥‥その‥‥‥遠くだと聞こえづらいと思って、手を繋いでいたら離れることはないからで、そっ、それだけじゃからな」
そんなアズガレナを見て、微笑ましくなる。
「いいよ、繋ごう」
俺が手を差し出す。
「その笑顔をやめるのじゃ。本当に実用的に考えてじゃからな」
と言いつつも、しっかりと俺の手を握る。
そんな姿が可愛いよな。三千年生きている魔剣には見えないけど。近所の子供と遊んでいるみたいで。
「気を取りなおしてじゃが、魔剣の誕生、それは今から約三千年前まで遡るのじゃ」
次回ちょっと説明多くなるかも。
許して
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モチベか上がります。